表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/13

Black Hawk Down

 ドラゴンは敵味方問わずに攻撃を繰り広げていた。

 WTの放っている攻撃はドラゴンのタングステン合金の様に硬い鱗に弾かれ、智樹が戦場に戻った時には、多くのWTから黒煙が登っていた。


「こちらローフィ! レッド01、シモー1、バレル8、応答してくれ!」


 智樹はその惨状を目の当たりにして、居ても経っても居られなくなり、アゥストフ、グエル、クロノスに無線を使って呼びかけた。

 少しすると無線が開き、独特のノイズと共に3人の声が聞こえてきた。


「どうした、ローフィ」


「ナマケモノってのは、実はスゲー頑張り屋さんなんだぜ?」


「ローフィさぁぁぁん! 見てくださいよ! あれがドラゴンですか! 空飛ぶWTだぜぇぇぇぇぇぇ! WTより装甲厚いか!」


 アゥストフのいつものようにやる気のない声と、グエルのよくわからない自分のジョークで大爆笑してる声、クロノスのただただ暑苦しい声が無線から聞こえてきた。

 その他にも第3部隊の隊員達の声が聞こえてきて智樹は安堵した。

 その安堵もつかの間、智樹はアゥストフにドラゴンが襲来してからの戦況を聞いて唖然とした。


「マジかよ…… ドラゴンが来てからたった2分で両軍ほぼ壊滅状態」


 アゥストフの話によると、空を飛びながら火球を吐き爆撃、着陸してからは炎のブレスで辺り一帯を一瞬にして焼け野原に変えてしまったらしい。

 敵も味方も関係なく攻撃しているらしく、攻撃しても跳ね返されてしまう。

 かろうじてグエルの撃った弾がドラゴンの右目にヒットしたが、それ以降の攻撃は翼に阻まれている状況らしい。


「隊長! あんなクソトカゲ野郎、俺がバッチバチにしてやりますよ!」


 クロノスはやはり過剰な興奮している様だった。

 無理もない、大量の戦死者や重傷者を目の当たりにしているのだ、急性のサバイバーズギルトや、PTSDから来る恐怖感から心を守るための強がりを言っているのだろう。


「バレル8、待て! ここはシモー1とローフィに先制を撃ってもらう! 俺達はその後方支援だ!」


 珍しくアゥストフの檄がクロノスに飛んだ。


「わかりました……」


 クロノスの腑に落ちない様な声が聞こえて来たのがわかる。


「ローフィとシモー1は聞いて居た通りだ、ローフィは空からミサイルを奴にぶち込んでやってくれ。シモー1はその隙に、ライフルを奴の目ん玉にぶちかませ。俺達は残りの敵を殲滅しながらそっちも援護する」


 智樹とグエルはアゥストフの指示を受けて、撃破の為智樹はすかさずドラゴンにミサイルを撃ち込み、素早く配置についていたグエルはドラゴンにライフルを撃ち込んだ。


「やったか!?」


 智樹とグエルは一瞬喜んだが、爆煙が消え去るとその喜びは、春の夜の夢の如く儚く散った。

 ドラゴンは自らの翼を盾にし、ほぼ無傷の状態だったのだ。


「マジかよ……」


 ドラゴンは攻撃された事に腹をたてたのか、自分の周りにブレスを吐いた。

 辛うじて地上部隊は、退避体制が間に合いブレスをかわすことが出来ていた。


「ローフィ、トカゲ野郎に後ろからクラスター爆弾を投下して翼でガードさせるんだ! その隙に奴の前に回り込みミサイルを撃ち込め! 流石に奴の鱗でもミサイルは耐えれないだろう! その鱗が剥げて、むき出しになったところにシモー1、ライフルで狙い撃て!」


 敵残党と交戦中のアゥストフから新たに指示が下され、智樹はドラゴンの後ろに回り込み、爆弾槽を開きクラスター爆弾を投下。

 クラスター爆弾は散弾銃の様に拡散して爆発を始めた。

 智樹はドラゴンがその攻撃を翼でガードするのを確認せずに、バイパーゼロのスロットルを一気に上げアフターバーナーを点火、一気に機体をループさせてドラゴンの目の前に回り込み、ガラ空きになったドラゴンの前面にミサイルを撃ち込んだ。


「喰らえよ!」


 激しい爆煙と共に大量の血しぶきと、ドラゴンの雄叫びが聞こえた。


「やったのか?」


 だが智樹は、グエルのライフルの発射音を聞いては居なかった。

 その代わりに、「やってやるぜぇぇぇぇぇ!」と聞き慣れた威勢のいい声が無線から聞こえてきて、ドラゴンの前に一体のシュータードッグが立っていた。

 そのシュータードッグは、サブマシンガンをドラゴンの欠損した右肩に当てて連射。


「このクソトカゲ野郎ぉぉぉぉぉぉ! 死んじまえよぉぉぉぉぉぉ!」


 ドラゴンは堪らず再度雄叫びを上げた。

 そしてドラゴンは大きな口を開き、その口には炎が溜まっているのがアゥストフには見えた。

 ライフルを撃とうとしているグエルは、密着していて動いているシュータードッグのせいで狙いが定まらない、智樹も密着しているせいでミサイルを撃てずに攻めあぐねていた、そしてその姿を見たアゥストフが、無線を開きながらシュータードッグを救けに入ろうとした時には、もう遅かった。

 ドラゴンは口に溜めた炎を一気にシュータードッグに向けて吐き出した。

 密着していたシュータードッグはみるみる燃え盛る炎に包まれ、その炎がエンジン部のコアに引火してシュータードッグは爆発した。


「クロノス……」


 一番若い部下を失ったアゥストフの力無い声が無線から聞こえてきた。

 それを尻目にドラゴンは空に羽ばたこうとしている。


「させねぇよ!」


 グエルが放った1発の弾丸がドラゴンの欠損した肩に一直線に飛んでいったが、弾丸は翼に叩き落された。

 するとグエルのライフルが口火を切ったのか、残りの自軍の兵もドラゴンに総攻撃を仕掛ける。

 だがドラゴンはその攻撃を無視して、空に飛びたっていった。

 智樹は飛んでいこうとするドラゴンを追いかけ、残りのミサイルを全て撃ったがドラゴンの火球に破壊された。

 そして智樹のバイパーゼロも、翼にドラゴンのブレスがヒットしてコントロールを奪われ、緊急着陸を余儀なくされてしまった。


「クソっ! なんだよ…… これ……」


 この鎮圧作戦は自軍の勝ちで幕を降ろしたが、両手を上げて喜べるものでは無く、失うものが多く、多くの犠牲者を出してしまう惨劇だった。

 そしてクーデターを起し、亡命を企てた研究員達はコロッと手のひらを返したかの様に、飛行機の研究に積極的に参加していった。

 後にノーリから聞いたのだが、クーデターの事を餌に国王が研究員達に圧力をかけて研究に参加させたらしい。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ