どういうこと?
数日後、ヴィクタ―の焼死体が別人のものと判明した。DNA鑑定の結果、行方不明の医学部大学教授の焼死体だという。
「ヴィクタ―は生きてるわ」
怯えたシェリルがそんな事をいい始めた。
「確かに、貴女にバレたと思ってるわよ。沢山の国籍のパスポ―ト、貿易会社に働いてなかったこと……………………そうだわ、荒らされた家でなくなった物は?書類とか?パソコンとか」
エイミ―は、シェリルがもう警察はうんざりで、この事を通報していない事を心配していた。
「パソコンディスクが床に散らばっていたの。ディスクのどれかを探したみたいな」
「判ったわ。とにかく、サンタモニカの家には戻っちゃ駄目よ。危険だわ。」
エイミ―はシェリルから鍵を借りて、ア―ロンとサンタモニカの家へ向かった。
「どこが一番荒らされているかって、やっぱりヴィクタ―の書斎だわね。」
エイミ―はシェリルの言ってたとおり、ヴィクタ―の沢山の国籍のパスポ―トを見つけた。イギリス.フランス.イタリア.ドイツ.ロシア。
それらを用意してきたバッグに入れる。
ア―ロンはクロ―ゼットの奥から、大変な物を見つけた。
「ショットガンとサプレッサ―(サイレンサ―)だ。それにコッホ社のP30Lにグロック34と24だ。」
机の上にに拳銃類を並べた。
「それ、危ないわ」
「ああ、かなり危ないね」
「サプレッサ―って?」
「人を殺すときに、銃の音を消すのさ」
「シェリルはこんな危険な物がクロ―ゼットの中にあるのに、どうして気づかなかったのかしら?」
エイミ―はそう言った後、シェリルが言っていた事を思い出した。
「書斎に入ると怒られるのよ。最近はベッドも別なの。離婚も考えているわ。」
そしてエイミ―は荒らされた机の中に、ヘミングウェイ博物館の入場チケットの半券を見つけた。
「ア―ネスト.ヘミングウェイ博物館2016/11/12。そう、ヘミングウェイ博物館は、確か、キ―ウェストよ、フロリダの。…………ヴィクタ―は一人で行ったのかしら?」
あんな遠くに、バカンスシ―ズンでもない11月に、何をしに?
「侵入した奴等は、パソコンディスクが欲しかったんじゃないかな。何か重要なヴィクタ―が握ってる情報を奪おうとした。」
と、ア―ロンは推測した。
「残ったディスクと拳銃は持っていくわ」
「止めた方がいいよ。もう、首を突っ込むのは。帰ろうエイミ―」
「医学部教授がヴィクタ―の車で焼け死んだ。犯人はヴィクタ―よ。そしてヴィクタ―はどこにいるかって?きっと自分の国に帰ったわね。…………… ねぇ、ア―ロン、調べてほしいのよ。医学部教授が何の研究をしていたか。そうよ、ヴィクタ―.テイラーって、本物のヴィクタ―.テイラーなのかしら?」
「どういうこと?」
「シェリルの夫はヴィクタ―.テイラーではないんじゃないかしら?」
続く