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貴女の夫は何者?

 ドバイに出張中のはずのシェリルの夫ヴィクタ―が、ロスアンゼルス郊外の道路沿いで、炎上した自家用車の中で黒焦げの死体で発見された。

 第一に妻のシェリルが保険金目当ての殺人として疑われた。


 シェリルは、犯行時間前後にかけては、マリブビ―チの姉の家で沢山の友人達に囲まれて、パーティーをしていたこと。その前日から四日間はボランティア仲間の役者達と、カリフォルニア州内の各老人施設でミュージカルを上演していたこと。

 

 それですぐに疑いは晴れたわけではなかった。

 警察はシェリルに恋人が居て、嘱託殺人なのではないか?とまで疑い出した。


「もう、うんざりだわ。確かに、仮面夫婦だっ わ。でも、彼にかけている生命保険金はほんの僅かよ。恋人だっているわけないじゃない。そんな軽い女じゃないわ。彼は誰かに殺されたのよ❗謎だらけだったもの……………………?!」


携帯電話で姉とそう会話しながら、取り調べを終えてロスアンゼルス警察から帰宅したシェリルは、自宅のドアを開けた途端、恐怖にかられた。


 自宅が滅茶苦茶に荒らされているのである。


「エイミ―、大変よ‼家が荒らされているわ」



 シェリルの姉のエイミ―は、マリブビ―チに住む女流作家だ。賢いシェパードのカルロスと共に、ニュ―ヨ―クから、この大きな別荘に移り住んだ。


「謎だらけってどういうこと?」

 エイミ―は、荒らされたサンタモニカの自宅から逃げてきたシェリルと、海岸沿いのシ―フードレストランで食事をしていた。


「つまり、こそこそしてるのよ。よく判らない人だったわ」

 シェリルは夫が殺されてもいっこうに平気だった。


「いくら仮面夫婦とは言え、その態度はいけないわ。疑われるわよ」 


「姉さんも私の事、疑ってるの?」


「まさか。全く疑ってないわ。こそこそしているって、陰に女がいるとか?」


「貿易会社に勤めていると思っていたわ。毎月分の生活費も沢山くれたの。さっき、ヴィクタ―が死んだことを彼の会社に連絡したら、そんな名前の人はこの会社で働いていない、って言われたの」


「は?」

 エイミ―は驚きのあまり、とても大きい声を出してしまった。


「そんなに目を剥いたら、ゾンビも顔負けだ」


 振り返るとア―ロンが来ていた。エイミ―の隣に座る。


「ゾンビですって、こんな美人捕まえて」

 エイミ―は彼を睨み付けた。

 ア―ロンは元ハリウッド俳優で、射撃の名手。現在は俳優よりもカメラマンとして海外旅行向けのパンフレット写真を手掛けている。エイミ―がマリブに引っ越してきて一番最初に出来た友人だ。


「どうなったの?……君の謎めいた夫の謎めいた死は、解明された?」


「謎は深まるばかりよ」

とエイミ―が言うとシェリルは、呆れたように言った。


「さっき、荒らされた彼の書斎から、沢山の国籍のパスポ―トが見つかったわ。写真は彼だけど、名前はどれも違うの」


エイミ―とア―ロンは声を合わせて言った。


「それってスパイじゃん」




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