7話
(た、助かった…)
赤黒い肉壁に尻から出した糸を張り付かせブラブラ揺れながら、僕は深いため息をついた。鳥に飲み込まれた後、咄嗟に【スキル:糸吐き】を使用した事が功を制みたいだ。
(これからどうしようか…)
取り敢えずこのまま宙吊りも怖いから糸を巻き取り、壁に張り付く事にした僕は糸を巻き取る。ふむ、なるほど、一度出した糸でも身体に戻せるのか…いちいち切り離したりしなくていいし、色々使い道がありそう…などと考えている内に、壁に到着。複数ある足を使って壁にくっ付き上を見てみる。
少し遠いが上の方に光が見える為、このまま登って行けば外に出られるだろう。だが出る為には、あの鳥のクチバシを通って出ないといけない。今出て言ったら、ヘタをすればクチバシで上半身(どこ?)と下半身(何処?)を真っ二つにされかねない。
(しょうがないか…少しココで様子を見よう。)
流石に夜になればこの鳥だって何処かで身体を休める。それまではココで大人しく待って夜になったら抜け出そう。
考えがまとまったので、次に僕はこれから、夜までココでどうやって暇を潰すか考え始まる。
(んーこのまま夜まで寝て待つってゆうのも捨てがたいけど、イイ機会だし、ちょっとスキルについて色々色々試してみるか…)
昨日は結局睡魔に敗北して、現状確認もソコソコに夢の世界に旅立ってしまった為、自分のスキルがどのような物か完全に把握していない。そう思った僕は夜になるまでの時間を使ってスキルについての実験をする事にした。
(スキル【糸吐き】ッ!!)
まずは【糸吐き】からやってみる。
始めは一度にどの位の長さの糸を出せるかを試した。スキルの発動し尻から出た糸を垂らしていく。
…暫く垂らしていくと糸が胃か何かに到達したの分かった。どうやら相当長く糸を出す事が出来るらしい。
次に同時に複数の糸が出せるから試してみた。
結果は失敗…。糸は一本ずつしか出せないようだ。てか、お尻裂けるわ!!メッチャ痛いよ。他にも糸の形状や性質の変化が可能かどうか、尻以外の箇所から糸を出す事は出来るのかなど実験をしたが、どれもうまく行かなかった…。
(やっぱりまだレベルが低い性なのかな〜?。ま、今後に期待って事で次行くか〜)
何やかんやで、結構面白くなって来た僕は、次のスキルを発動する。
(スキル 【固くなる】ッ!!)
次は【固くなる】を発動する。瞬間、皮膚がピキピキ音を立てて固くなって行くの分かる。
(良し、ちゃんと発動したな。さてさて、何を試そうかな〜〜って、あれ?)
僕は【固くなる】の効果を確認ため、その場を移動しようたが、足が動かない…。
(こ、このスキル、発動したら、全然動けなくなるのか?…)
なんてこった…コレを使って、自分のプニプニボディを防御しながら、戦ったりしよう考えていた僕としては、これは痛い。
(あ〜現実とのギャップで地味に凹む…)
調子が出て来たと思った矢先に出鼻をくじかれ、もう止めようかと、楓は思う。
(うーでも、もう後【巣作り】だけだし…さっき見たいに使えなかったら、どう使えないか分からないと困るし…)
実際、【巣作り】と言う名前の時点で、巣の製作の時の作業効率上昇〜〜とか、スタミナ上昇〜〜とか、そんなもんだろうと、中端予想は出来るし、やらなくて良いような気はするが、結局試すことにした楓は、
スキル【巣作り】を発動する。
(はぁーま、やる気はしないし、材料ないから失敗しそうだけど、一応試すか……【巣作り】、はつど〜)
ビチャ!!!
視界が赤く染まった。