ミノムシ転生
第2話めです
第2話 抜け出た先
気がつくと頭が動く。首が動く。
さっきの破ける音の後、僕はいつの間にか、首から上の自由を手に入れていた。
頭部が動くようになって初めて気づいたが、僕は今、身体全体を覆う棺桶のような物の中に、入れられているようだ。
ちょっと頭を揺らすだけで、バシ、バシっと、壁に頭がぶつかる事から、かなり狭い空間である事が理解出来る。
一体何故、頭部が動かせるようになったのか全く分からないが、取り敢えず僕は、今唯一動かせる部位である頭を、一心不乱に動かし続けた。
しばらくの間、壁に頭をぶつけながらも、必死に頭を動かし続け、少しだけ目眩を感じ始めた頃、またあの音がした。
ーーピリ...ビリ...ビリリーー
最初の物とは比べ物にならない音量の破れる音と共に、今度は頭部より下の体が、自由になった。
自由なったと言っても、相変わらず両手の感覚は、ない。まるで始めからそこに存在してないかの様であり、足に関しては、何と表現したら良いのか分からないほどの、とてつもない違和感をさっから感じている。
今まで、生きてきた中で経験した事の無い体験を、この短時間の間に多量に経験して、若干自暴自棄になりかけていた僕だが、まず今は、この棺桶の中から脱出する事が先決だと判断した。
僕はさっきのヘッドバンキングによって一番脆くなっているであろう、棺桶の壁に、今度は胴体をくねらせて勢いを付けた、渾身の頭突きを棺桶の壁に撃ち放った。
ガン!!
...さすがに一撃では破壊できなかった。だが、何度も体をくねらせて、勢いを付けた頭突きを叩き込んでいる内に目の前の壁に小さなヒビの入り始めた。
ガン、ガン、ガン
ーービキビキーー
ガツン、ガツン、ガツン
ービキビキビキー
ガツン、ガツン、ガンガンガン、ガツンガツンガツン
ービキビキビキビキビキー
何度も何度も何度も、くねらせては、打つ、くねらせて、打つを、繰り返していくにつれて、ヒビは大きく広がり、
ついにその時が来た。
ガン、ガン、ガン、ガン、ガン、 ガン、ガン、............ ガキン!!
頑張ります。