10話
周囲の土が渦巻きながら、僕を煽っていく。
下から徐々に身体が隠れて、もう少しで完成だ…
向こうはまだ此方の居場所が分からないみたいで、まだ風を集めている。
(良かった…間に合いそう。)
僕の見立てだと巣はあと数秒の内に完成する。
対して向こうはまだ多く舞っている砂塵を払っている最中。
どう考えても僕の方が早く事を済ませられる!!
はずだった…。
パァン!!!
風船が弾ける様な音と共に打撃音が至る所から、響き渡る。
散弾となった空気の弾丸が至る所に被弾し、木々を抉り、なぎ倒していく。
(っ!!!あのクソキツツキ〜〜!!)
木が倒れるなど、現在絶賛ミノムシの僕にとっては、高層ビルが倒れる様なもの、
ゆっくりに見えるが、実際はかなりの速さで迫ってくる大木を前に足が竦みそうになるのを何とか耐え、
全力で回避する。
本日かなりの活躍をしている【糸吐き】を使用し…あ。
スキルを発動しようとして、8割ほど土埋まった下半身を見る…
(アレ、【糸吐き】って、何処から出るんだったっけ?…)
決定的なミスによって起きる空白の時間。
ほんの数秒の刹那の時間。
大木は抗いようの無い天災となり、楓を襲った。