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掌編小説集7 (301話~350話)

羞恥心

作者: 蹴沢缶九郎

「この人痴漢です!!」


朝の通勤で人々が混雑する、満員の電車内に若い女性の声が響いた。


「い、いや違う!! 誤解だ!!」


女性に手首を掴まれ、痴漢の疑いをかけられた男は必死の弁解をするが、女性は怯まない。


「何が誤解なのよ!! 認めなさいよ!! さっきからイヤらしい手つきで触ってきて、私知ってるんだからね!!」


「ふ、ふざけるな…。証拠はあるのか!?」


男は女性に詰め寄る。そこへ、事の一部始終を見ていた一人の青年が現れ、男に言った。


「…証拠なら、僕があなたの痴漢行為を見ていました。あなたは、この女性の肩に確かに触っていましたよ。僕は見ました。とりあえず、次の駅で降りましょう」


青年の言葉に、最早逃れる事は敵わないと悟った男は、がっくりと項垂れた。



「どうもありがとうございます。助かりました」


と、『肩』以外全裸の女性は青年にお礼を言い、『肩』以外全裸の青年は「いいえ」と笑った。


人前で『肩』を出す事が恥ずかしいとされるその世界では、肩に触れる行為は痴漢行為であり、人々は皆が『肩』以外全裸である。

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