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Prologue1 ~What did the tree watch?~

まだ、このプロローグの意味は分からないと思います。

この作品が完結し、読み終わった後、再びこのプロローグに戻って来てく出されるよう、頑張ります

東京都多摩。河童、妖怪で知られているこの町を常闇が包んでいた。

午前零時半。草木も眠るとまでいく程静かではないが、それでも通行人、車はほとんど見当たらなかった。 高台から一望すれば、町全体寝ているようにも取れる程、灯がない。

多摩を縦断するように流れる多摩川は、たまに近くを通り過ぎる車のヘッドライトで照らされたりして、きらきらと水面が光っている。しかし、道路の死角、橋の下などは、どこまでも光を吸い込んでいきそうな黒いうねりが流れていた。

街路樹の桜や梅は綺麗に色付き、さらさらと揺れている。だが、その下の通りに人気は無く、華やかな夜桜と対照的に暗い暗黒空間が広がっていた。

そんな町の一角に、とある「坂」がある。そこの近くに昔から住む人は、その坂を「御化け坂」と呼んでいた。理由など無い。ただ、いつしかそう呼ばれていたのだ。

この坂の中腹付近に、名前もない小さな公園がある。遊具もベンチもないそこには、大きな一本の桜の木だけがそびえたっていた。いつからそこにあったのか、誰がそこに植えたのか、誰も、何も、知らない。

ここまで話をすれば、やっと噺が出来る。今、これから起きてしまう、新しい「現代の神話」にして、はるか昔に起こった、誰も知らない「古代の神話」の噺が。


それは、この樹から始まった。

それは、この樹で終わった。

それは、この樹から始まった。

それは、この樹で終わった。

幾度となく始まり、また終わりを繰り返し続け、その度に、世界に騒乱を起こし続けた。

その神話に題名を付けるなら、神々の黄昏「ラグナロク」

北欧神話にあるそれとは違い、一神話の出来事では無く神話そのものであるそれは、天地を焼き焦がし、全てを無に帰す、焉わりの戦にして、新たなる地を創造し、生命を生み出す、創まりの戦でもあった。

その本質は、旭日昇天の勢いがあったはずの神々でさえも滅び、また、新たな力を持つ者が全てを牛耳り、それも滅びていくというまさに、栄枯盛衰、諸行無常そのもの。

たったそれだけが紡ぐ奇跡であり、たったそれだけがつなぐ不幸。

そんな戦いを、この一本の桜は見てきたのだった。

何年も、何十年も、何千年も続く物もあれば3日で終わるような短い物もあった。

だが、長かろうと短かろうと、何時だってそれは神の気まぐれで始まり、神の気まぐれで終わった。

しかし、それを繰り返すたびに汚れるのは神の手ではなく、人の手である。神はいつでも理不尽なのだ。

そして、一度終わったとしても、また神の興を満たすためだけに繰り返される。

時は巡り、今

二〇一四年、四月十四日、午前零時半。

また舞台の幕が上がろうとしていた。

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