ソラミの過去~中3終わりから高1はじめまで~
これはほぼ作者の実話です。
その夜、ソラミは夢を見た。
そこには中学3年生、15歳になったばかりのソラミがいた。
残念ながら身長は今とほぼ同じ150cm弱だった。
数ミリ伸びたけどね。
季節は秋から冬に変わろうとしていた。
「進路」を決めなくてはいけない。
中学3年生ならば誰もが通る道だ。
「ソラミはどの高校に行きたいのですか?」
三者面談。当時の担任の先生(社会)に相談室で言われた言葉だ。
「えっと・・・。市立高校が第一志望で第二志望が南北高校で山丘航行を併願で受けようと思っています。」
「あー。私立高校ですね。ま、通るとは思うんですけど。その後がね…。ソラミ、数学と英語苦手でしょ?社会は得意だけど」
ちなみに中3当時の成績、社会だけやたらよくて数学と英語は壊滅状態だった。
国語と理科は平均並みだった。
市立高校は地区で唯一の進学校である。地方のイナカの学校なので都心の方たちから見るとあまりレベルは高くないのであろうと思われる。
「で、南北高校はですね…ちょっと荒れてるんですよ。ソラミの性格的に大丈夫かな?と思うんですけど」
この学年は全部で4クラスあった。(1クラスあたり31人くらい)で毎年クラス替えもあった。
なのに3年間担任の先生は変わらなかった。(私と3年間同じクラスの子もあと2人いた)
なのである意味性格や成績推移などもばっちり熟知されているのだ。
人付き合いが苦手でコミュニケーションが下手ってことももちろん。
そういえばよくグループ作るとき余ったな。
「適当にグループ作ってください」
この言葉が小学生の時から高校生になっても嫌いだ。1番嫌いな言葉だ。
この谷川中は背の順は大きい順に並ぶ。そして3年生当時クラスの女子は奇数だった。そしてソラミはなぜかクラスで一番小さかった。
それで当然あまり、自由に組むときも余った。小学校の修学旅行は悲惨だった。
友達はこのクラス(3組)にはいなかった。
2組と4組にはいたけど…。
1組のメンバーは言っちゃ悪いが性格悪い子ばっかりだったので1組だったら間違いなく不登校になっていたと思う。
でも3組だったから3年間1回も欠席にならずに学校へ登校できたのである。
「まあ、頑張りなさい市立高校。」
「はい」
1月の最後の日曜日、山丘高校の入試。
この県にしては珍しく大雪の日だった。
入試教科は国数英。
そして合格発表。
中学校にて受けた人個人個人封筒を渡された。
合格だった。
ところがこの直後地元のニュースにて発表された公立の倍率。
市立高校…1,4倍。
定員割れが当たり前の地域の田舎者の感覚じゃ1,4はかなりでかい。でかすぎる。
というのも理由はこの年から1クラス減ったからだが。
ソラミは本気で悩んだ。
すると親に
「山丘行け」
と言われた、半ば渋々そうすることにした。
公立の合格発表の日
1、そのまま公立の志望校を受ける
2、志願高校を変更する( )高校( )科
3、公立高校を受験しません
見たいなプリントを貰っていたので3に丸つけて出した。
出した瞬間の担任の先生の驚いた顔が忘れられない。
「ちょ、ソラミ…」
いきなり変更したもんだからそらびっくりするわな。
そして呼び出し食らったのは言うまでもない。
「ソラミ、ほんとに納得してる?」
「…もういいんです…」
こういうわけで山丘高校へ行くことになったのだ。
そしてふとソラミは思った。
「山丘の私のいく買って私のほかに行く子いるのかな…?」
ソラミの行こうとする科は「すべり止めの定番」であるが専願で行く子はあまりいないところ。
ちなみにこの近辺、私立は山丘しかない。
そして進路の先生に聞いた。
「先生、私の行く科って私のほかに誰か行きますか?」
「んー。他の科は何人かずついるけど…。ソラミさんのいくかだけ1人。今のところ。」
そしてこの年は公立受けた人は見事に全員合格したそうだ。
それに加えてもう2月なのに3-3に友達がいないことへの焦り、高校生活への不安がだんだん強く、強くなってきた。
中学校生活最後の音楽の時間のことだった。もちろん卒業式の歌の練習。
「手紙」を歌った。
そしてソラミはアルト。身長の関係で場所は真ん中。
ソラミは歌っている途中で息ができなくなっていた。
「…ソラ??」
隣にいた現在山丘高2-5の律架は気付いたみたい。
「ソラ、大丈夫?」
「…」
ソラミはそのまま過呼吸を起こしてしまった。
先生のピアノが終わると同時にチャイムがなった。
「せんせー1年間ありがとうございました!!」
生徒にかなり人気のある音楽の先生だった。
ソラミはその場に座り込んでしまった。
「カワダさん、大丈夫?次、6時間目受けられる??」
「大じょ…ぶ…です。」
消え入りそうな声で言った。
そしてふらっふらの足取りで音楽室のすぐ近くの教室に帰ろうとした。
そのとき音楽の先生に制服をつかまれ
「ふらふらしてるよ?本当に大丈夫?」
本当はとても大丈夫とはいえない状況だったが先生の前で強がり頷いた。
6時間目の数学はずっと机に突っ伏してた。
公立入試直前で自習だったので助かった。
でも当然音楽の先生から担任の先生へ話は行ったみたいで
放課後、呼び出しくらった。
「ソラミ、音楽のとき泣いたんだって??」
「…?」
泣いたというより過呼吸に・・・。と言いかけた。そのとき。
「あのさ、ソラミ。あなた人と関わるとき構えちゃう所あるよね。何か強がってるし。もう少し人を信じてもいいんじゃないの?」
ふとそんなことをいわれた。
「あと、高校生活不安なんでしょ。大丈夫だから。ソラミだから」
その10日後。卒業式。
「カトウリツカ」
「はい」
「カワダソラミ」
「はい」
「カワダリコ」
「はい」
ちなみに中学校のときもカワダが2人いた
こうしてソラミは大好きな中学校を卒業した。
でも、卒業式は全く卒業するという実感がなく、女子みんな泣いてたのにひとりだけけらけら笑いながら男子と喋ってたソラミだった。
ところがこの年薄々予想はしていたものの担任の先生はどこかへ転勤することに。
3月下旬の辞任式ではバッチリ泣きました。
このときにようやく「卒業するんだ」という実感がわいてきた。
長い子で幼稚園から中学校まで12年間一緒。
ずっと同じクラスって子はさすがにいないけど、1番長い子で10年間同じクラスだった。
そして4月。セーラー服からブレザーに変化した制服を着て谷川中学校とは逆方向の山丘高校へ向かったのだ。
入り口の所に谷川出身の女子が全員集まっていた。
ソラミ、リツカのほかにサナ、アユミ、アイカ、マキ、ハヅキ、カノの8人だ。
「ソラー」
「あ、みんな」
「クラス編成表見た?」
「ううん」
「見てくれば?」
「うん」
1年3組の所に名前があった。(この科1クラスしかないので今考えたら別に見る必要ないと思う)
それ見てすぐにカワダが3人いることに気付いた。
何か大変そうだな。同中いないし。
もちろん知らない人ばかりのこの学校。
「1-3どこに並ぶの?分からない。どうしよう」
そこで目が覚めた。
「ふう。迷子の子猫ちゃんだな。私って。」
ちなみにその後、ソラミは無事に並び場所を見つけ、泣きそうになりながら並んだのだ。
いつも1人でいるから迷子になる。迷子の子ネコ。
そして子ネコを探してくれるイヌのおまわりさんはいません。
そして私は子どもの頃は自分が迷子になってることに気付かず、親が大変だったそうだ。
高校生になっても学校帰りに道を間違えてまいごになったり避難訓練で1人だけクラスのみんなとはぐれて迷子になったり…。そして最終的に森先生と隣のクラスの副担任の先生に「何で迷子になったの?」と問われる始末。
高校に入学下ばかりの頃は休み時間は耳を塞いで机の木目をひたすら見つめているか本を読んでいるかどちらかだった。そんな私に近寄りがたかったのかクラスの子からはあまり話しかけられることはなかった。
ちなみにクラス全員の顔と名前がなんとなーく一致するまで2ヶ月以上かあった。何となくだぞ。何となく。
高校生活折り返し過ぎたの今でもたまに間違えます。
1年生4月終わり。遠足。なぜか水族館と博物館に行った。「小学生か…」と心の中で突っ込んでおいた。
そのころはクラスの女子とは挨拶交わすのがやっとの状況だった。
「カワダさん。チュッパチャプス好き??」
アレは多分ミズホだったと思う。ソラミは一瞬固まり、肩から掛けている学校指定のサブバックの紐を握り締めた。
「・・・ごめん。私、あまり好きじゃない。・・・」
それだけをいうのがやっとだった。
弁当も教室同様1人で食べた。せっかくの三年間でただ一度きりの遠足なのに。
ちなみにこの時期ソラミが唯一自分から声を掛けることができる人間がなぜかノダだった。
この学校に入学して初めて声を掛けたのもこいつだったし。
ところがゴールデンウィークの始まる前日。ちょっとした事件があった。
この学校の3組は毎日洗濯授業である。そのため帰りのHRは5時間目後に。(そして荷物を全部持っていってソラミはこの日は「英語」(というよりオーラルコミュニケーション)を選んでいた。
ちなみに場所は1-3の教室。ソラミは自分の席は後ろのほうだったので前につめて座った。(座席自由)
そして授業が終わった。
自分の席に戻って帰ろうとしたときだった。
ふと机の左上に貼り付けてある「川田空海」のしたにこんな落書きが。
「男たらし」
その瞬間、ソラミの中で「何か」が切れた。
ただ単に女子とは全くって言っていいほど会話ができてなかったしクラスの女子で名前を覚えているのは苗字が同じセンリと中学校の頃から知っているトモカのみ。センリ以外の近くの席の人ですら覚えていないという…。(座席当時は名簿順)でも男子で覚えているのはノダと苗字の同じセイヤとなぜかいきなりアドレスを聞いてきたオガワのみ。
1ヶ月かかって5人しか覚えてないソラミの記憶力って…。
で、男子のほうは人数が少ないので比較的仲がいい。そのつながりで少し会話ができるくらいだった。
顔も名前も知らない人から「男たらし」といわれる筋合いはないと思う。(一応クラスメイトです)
そして「何かが切れた」ソラミはどうしたかっていうとサブバック投げて自分のまだ買って1ヶ月もたたないとある熊のキャラクターが描かれた弁当箱を壊した。外国人の英語の先生の目の前で。(先生がまだ教室にいたことに気付かなかったソラミ)そしてその先生が職員室で森先生に言ったかなんかで教室へ登ってきた。
「何があったカワダソラミ。職員室へ来なさい」
そうやって連れて行かれた。
その日を境にソラミは休み時間教室で過すことができなくなってしまった。
2年生の今は廊下で読書しているが1年生のときは3階から屋上へつながる階段に座って読書していた。
ある日。
「カワダさん」
誰かに声を掛けられた。だらだか分からなかったがネームの色がソラミと同じだったのでクラスメイトだな。と思った。多分ミオだったとおもう。
「…何?」
「あの落書きごめん。あれ、カワダさんに向けて書いたんんじゃないから」
「…じゃ、誰に向けた書いたの」
「アズサちゃん」
「…」
それだけいって友達と楽しそうに教室へ帰っていった。
アズサちゃんって誰?・・・てかソラミの机の名前が書いてある所の下に書かれてあったんだからソラ勘違いするわと思った(でも今思えばそのミオの言い分も本当かどうか疑問である)
1学期中間テストの日、教室にいつもいないソラミを見て1人の女の子が声を掛けた。
「教室、入らないの?」
あれはシオンだった。シオンも当時はまだ友達ができてなかったみたいでいつも一人で座っていた。だから一応ソラミも何となく気になってた子だ。
「…私、教室好きじゃない。うるさいし…。ウルサイのキライだから…」
「ふーん。そうなんだぁ。でももうすぐテスト始まるよ?」
「…ありがとう。ハザマさん…だよね?」
「うん。そうだよ。シオンでいいよ」
「…わたしもソラミでいいよ」
「じゃ、ソラミちゃん。教室入ろっか」
「うん」
シオンはクラスでセンリの次に下の名前で呼び合うことができるようになった子である。
ちなみにセンリは入学当初からお互い下の名前で呼び合ってた。
クラスで2人目。
ちなみに今でもクラスの女子ではソラミのみ半数ほど苗字にさん付けで呼んでいるしクラスの7割ほどから苗字でさん付けで呼ばれている。カワダ3人いるのにね。(センリはセン、セイヤはセイヤと呼ばれています)
下の名前で呼び合う仲が羨ましいと思ったソラミであった