欠席者続出!?
翌日の教室。何かがおかしい。やけに空席が多いのだ。ソラミは隣の席のミズホに
「今日、大会とかだっけ?」
と聞いた。すると
「違うよ。バレー部は。てか今日どこも大会じゃなかった気がする」
基本的に単独行動のソラミはクラスの様子をあまり知らない。
観察はしているけどね。
そして朝のSHR。
「今日は20人欠席です」
「何でですか?」
「分からん。連絡来てない。でも何か感染症とかかもしれないからもしかしたら学級閉鎖かもしれない」
「っしゃー!!」
男子で生き残った2人。イノウエとトサが叫んだ。
「喜ぶなーっ!!」
一喝。男子は13人中11人が休みだった。女子は23人中9人休みでそこそこ残っていたが。
ソラミは天に向かって言った。
「これも世界の破滅と何か関係あるの?」
「ピンポーン」
「軽々しく言うな」
「早く食い止めないとどんどん大変なことになっていくぞ」
「どうすればいいの?」
「もう一人戦士をつかめて谷川小学校にあるイチョウの木に上れ。そして天と通信しろ」
「通信ってどうやって…??」
「やれば分かる」
「それ以前に小学校に勝手に入るなんて不法侵入なんじゃ…??」
「アスミ使え。アスミ。」
「アス?」
「アスミが忘れ物したとか何とかで学校に入りその間に…」
「だめだよ。あいつ忘れ物するような奴じゃないしあまり遅くに出たらお母さんも心配するしアスミのこと。」
「じゃ、自分でやるしかないな」
ちなみに谷川小のイチョウの木はなぜか校庭のトラック内にある。しかも創立時からある大木だ。
「登れないし。あの木」
「気合で登れ」
気合で登れる木ではありません。
「はしごか脚立使え」
それを使っても登れません。
それにもし見つかったら…。
「で、期限は明後日の夜中」
「あのー。深夜徘徊したらつかまるんですけど。わたしただえさえ2,3歳子どもに見えるらしいのに」
夜中11時から4時までは出歩いてはいけないと聞いたことがある。
「だから俺がお前が周りの人間に見えなくなる魔法をかけてやる」
「お前魔女か?」
「違ーう!!俺男だし。ソラミ細菌魔女モノの本読みすぎなんじゃないの?」
「その通りです」
最近ソラミは魔女モノにはまっている。その前にはドキュメンタリー、さらに前にはなぜか政治モノにはまっていた。読書好きである。
「とにかく魔女でも魔男でもなんてもいいから早く見つけろよ」
「はーい」
なんと言う上から目線の天の声。でもやっぱり誘うならトモカしかいないよね。そう思った。
そして教室はもしかしたら学級閉鎖かも?というムードで大盛り上がりだった。
「っしゃー学級閉鎖だ!」
「いやーならないっしょ。インフルじゃないし」
「なるっしょ。確かクラスの2割かなんかが感染したらって聞いたことある」
「デモ1年生のときうちのクラス10人以上休んだことあったけどなんなかったじゃん」
「それは1年生終了まであと3日とかだったからじゃん」
「しかもそのときカワダ3姉弟全滅だったし」
「だったねー。あとトナコはインフルと感染性胃腸炎とダブル感染だったよね。あいつって強そうに見えて意外に弱いのかもね。今日も来てないし」
「あーでもそういえば去年1-5かどっか学級閉鎖にな」
キーンコーンカーンコーン。
1時間目の始まり。ちなみに現代文。
「あれ、何でこのクラスこんなに少ないの?」
「さあ?20人休みです。森先生も連絡来てないから分からないって言ってました。」
いや、現代文の先生は隣の3-3の担任だししかも森先生と職員室の席隣なんだから把握しとけよと心の中で突っ込んだ。
「まぁまさか僕の授業がイヤで休んだと言うことはないよな。今日進めてもいいのかな?」
「進めなくていいでーす。何か面白い話してくださーい」
とイノウエとトサ。今日はやけに仲のよい2人である。
「はい、イノウエくんとトサくんがそんなことを言うので授業を進めまーす」
「えー。」
「つべこべ言わないの」
「でも休んでいる人かわいそうじゃないですか」
「まぁそうだけど。でも僕そんなに性格よくありませんので。はい、昨日の続きやるよ」
ぴゅー。先生の後ろで冷たい風が吹いた。
良くも悪くも天邪鬼な先生であった。
2時間目と3時間目はこのことを把握している先生だったので復習だった。
4時間目の古典の先生は職員室Cからくる。ちなみにAは1,2組の職員室でBが3組の職員室である。
ソラミは古典係の仕事で黒板に白文を書かなくてはならない。
「カワダソラミ」
とトサ。
「何?」
「黒板書かなくていいんじゃね?」
「いや・・・一応書いておく」
キーンコーンカーンコーン。
先生は教室に入ってきた瞬間、とても驚いていた。
「何で今日こんなに少ないの?今日何部か試合だったっけ?」
「ないです。いずれも原因不明です」
「まさか私の授業が嫌で休んだとかじゃないよね…?」
何か微妙に現代文の先生と似たようなことを言ってるな。
「そうなんじゃないですかね?」
と先生をからかう馬鹿男子共。今日だけはなぜか息ぴったりである。
「それはないと思います…」
教科連絡としてボソッと呟いておいた。
「授業進めませんよね?」
一体何考えているんだか。男子共。
「えーでも、せっかく係の人が書いてくれたんだし・・・。まとりあえず現代語訳だけしてその後は復習しいましょう」
「カーワダソラミ!だから書くなって言ったのに」
「え、私?」
「いや、別にソラミさんは悪くないから大丈夫」
昼休みと掃除を挟んで5時間目数Ⅱ。担任教科です。
「だって3月までに教科書終わらないもん」
と言い訳していつものスピードで進んでいく。
確かに数Ⅱの教科書はやけに厚い。
「ここある意味数Ⅰの復習だから大丈夫」
とフォローになってないフォローをしていた。
この日の内容は「三角関数の不等式」
三角関数とかこの先人生で二度と使うことがないような気がするのはソラミだけではないと思う。
6時間目の日本史は復習で終わった。
…放課後。
卓球場についてから天に言った。
「授業の妨げになるからどうにかして」
「いや、お前戦士だろ。自分でどうにかしなさい」
「元はといえばお前のせ…」
「1つ聞く。今日休み多かったのは2-3だけか?」
「え、いや、何か聞いた話しによると1-1も半分くらい休んでるって…あ」
「分かった?」
「キビノのクラス!!」
「そう。マサトのせいだと言ったら語弊があるが…。とにかくマサトが絡んでる。明後日の夜中が期限だから明日までに『戦士』見つけなさい」
「…無理でしょ」
「無理って言うな。」
「不可能だ」
「言葉変えただけだろ。無理でも何でも見つけなさい。世界が破滅するぞ」
「…はーい…」
翌日の学校はというと。
欠席増えてる!!36人中26人休み。10人しか残ってない。
そして男子は全滅した。
残ったのはソラミ、ナナ、トモカ、ミズホ、センリ、シオン、マホ、アミ、チナツ、レオの10人。
帰宅部が結構多いこのクラス。生き残った10名はトモカを除いて全員何かしら部活をしている人たちだった。
「男子全滅したね」
「トサはバカだから大丈夫だと思ったんだけどね」
などと会話
「先生ー学級閉鎖なんないんですか?」
とミズホ。
「えーっと…。とりあえず教室で待機しておいてください」
「学級閉鎖なったら帰省らしいよ」
と寮生のセンリ、シオン、マホ、チナツ。
しかし数分後。
「とりあえず今日まで様子を見ましょう」
「えー」
ブーイングが起こった。
「だって誰からも連絡来ないから理由分からないし。…1時間目英語だぞ。準備して」
「はーい…」
何ともやる気のない返事である。
ところが、午前中のうちにナナ、シオン、マホ、アミの4人が早退した。
5時間目のLHRはソラミ、トモカ、ミズホ、センリ、チナツ、レオしかいなかった。
「今日のLHRは人数が少ないので何も活動できないので図書室でどく…」
森先生が言葉の途中で固まった。
「え、ちょっとちょっとどうしたんですか!?」
「先生?」
「大丈夫ですか?」
とミズホ、レオ、チナツ。
「ソラミちゃん、職員室いって誰か先生呼んで来て」
「分かった、センちゃん」
そして職員室に残っていた2名の先生とチナツ、レオで森先生を保健室へ運び出した。
ソラミは荷物持ち。
保健室はかなり遠い。
保健室は森先生と同じような状態の人でごった返していた。しかも1-1の人が大多数だった。
保健室は人が多すぎては入れなかったので外の廊下にいることに。
そのときセンリが走ってきてチナツに何か言っていた。
「ソラミちゃんは保健室でモリケイ見といて」
「え、何で私?」
「ソラミちゃんはモリケイ顧問でもあるでしょ。一番つながりあるから」
「センちゃんは教室帰るの?」
「いや、寮へ。さっきイッチー(隣のクラスの1の3の先生)が2-3は全員帰れって」
「うん」
そして20分後。
「カーワダさん」
「ナツノさん」
「これ、カワダさんの荷物。一緒に門まで行こう」
「でも先生このままでいいの?」
天から声が聞こえた。
「先生はもうすぐ動くようになるから」
そして先生は動き出した。
「あれ…なんで俺ここにいるんだ…?」
「何か説明の途中で固まってましたよ。そしてイソダさんたちが先生つれてここまで来てました。それでカワダサンがずっと先生についてましたー」
とトモカが説明。
「なんかごめんな。カワダ、ナツノ」
「いやー、私は何もしてません」
実際本当に何もしてなかったトモカ
「あんまり大人数でワーワーしたら迷惑だから」
と言っていた。せんせいはまだふらふらしていたので
「保健室にいてください」
と言って無理やり2人で押し込んだ
門の前。ソラミはトモカに行った。
「今日の夜中11時ごろ谷川小に来てくれる?」
「カワダさんがそんなこと言うって珍しいね。補導されるよ」
「あの、絶対信じてもらえないと思うけど何か周りの人には私たちの姿は見えなくなるって」
「山丘市谷川町暗いでしょ。田舎だし。あそこらへん裏のほう外灯ないし。それで周りの人間には見えないだけだと思うよ。でも、ま、いいよ」
意外とあっさりOKされた。
そして夜11時。谷川小裏門。
「カワダさーん」
「あ、ナツノさん」
「ここでいいんだよね…?」
「中入るよ」
ちなみにイナカの小学校。校舎の中にしか防犯機能見たいなのはない。入り口に柵があるわけでもない。悪く言えば校庭には不審者入り放題。
「この木に登るよ」
「え、これ?」
谷川小名物のイチョウの木。
校庭のトラック内にある。
「いやー無理っしょ」
「大丈夫。お前ならできる。ソラミ、トモカ」
「誰?」
「俺は天の主だ」
「あんた主だったの?」
「ソラミは黙って。俺の声は戦士と呪われている人にしか聞こえない」
じゃ、私とカワダさん呪われているんですか?」
「敬語は使わなくていい。お前ら2人は呪われていない。戦士だ。5人集めないと世界は破滅する」
「じゃ、このお前カワダさんが言ってたことって本当だったんだね。」
「うん」
「話は後で。早く登りなさい。ソラミ、トモカ。」
とtでも一人では抱きつけない太さの大木。どうするのか。
魔法を書けた天の声の主。これで2人の姿は見えなくなり、不審者扱いされルカ区立は下がった。
が木に登れない。ソラミはトモカに肩車してもらったが
「だめだ、全然届かない」
「これ使おう」
それはどこかのクラスがおきっぱなしにしていた長縄2本。
「いけるかも。」
長縄を2本つなげ一番低い所にある枝(それでもかなり位置は高い)に掛けた。
しかしその縄には背の高いトモカの指先が届くほどの長さだった。
「どうする?」
「これ使おう」
用具倉庫の横に立てかけてある脚立を持ち出した。
高校生の少女2人が縄を登るなんて難しい話。
しかしなぜか奇跡的にトモカが登れた。
そしてトモカの知恵で奇跡的に極度の運動音痴のソラミも登れた。
その下の枝から天が指示する枝まで移った。これは結構簡単だった。
ここで時空を声全然知らない場所へ。
「トモカ、ソラミ、よくここへたどり着いた。お前ら2人のおかげで少しは破滅が遅れた。しかしまだ戦士の数が足りない。あと3人見つけなさい」
「はい」
「あ…。はい。」
そして元の世界へ戻った。谷川小のいちょうの木下に2人はいた。
そして天の力で瞬間移動し、家へ帰った。
翌日、何事もなかったかのようにほぼ全員登校した。
しかし休んでいた人たちは休んでいる間の記憶なし。
「26人休みだったんだよ!」
と昨日来ていた人たちは言っていたが休んでいた人たちは
「男子全滅ってまじ?てか俺って休んでるときのこと覚えてないんだけど」
などなどいろいろぼさいてた。
そして部活のほう。
「こんにちはー。」
「ちわーっす」
と1の1トリオ。
「お久。」
とソラミとコウタ。
「先輩、相変わらずチビデブス(チビでデブでブス。ソラミは卓球部で1番背が低い)ですね!」
とキビノが綺麗な笑顔で言った。
「あ…」
「キビノが元に戻った!」
「は、何のことですか?」
「あんた地区大会のとき長い眠りについた。覚えてないの?」
「え、俺寝てないっすよ」
「じゃ、試合結果どうだった?」
「えっと…あれ…コウ、俺どうだったっけ?」
「2回戦敗退」
「…」
「そういえばそのあと中間テストあったよね?」
「え、テストまだっすよね?」
「は?」
ソラミ、アヤミ、コウタ、カノン。4人の声が重なった。
「キビノくん何言ってるの?とっくにおわったよ。あんた数学の点数悪すぎって担任に怒られてたよ」
ちなみに1-1トリオの担任の先生も数学の先生。そしてさらにコウタのクラスの担任も数学の先生。ある意味奇跡。
「え…。」
「はい、キビノに問題です、今日は何月何日だ」
「10月5日?」
「ブッブー。正解は10月25日でしたー。」
「じゃ、あれ??この間の俺って一体?」
「さ、部活するよ。フットワークから。用意スタート。」
「ちょっと、先輩!!」
「キビノもフットワーク!」
「先輩の鬼婆!」
「小学生レベルの悪口飛ばすな!いいからフットワークしろ」
「はーい」
そしていつもの卓球部が始まったのだった。