ショートショート:おじいちゃんに電脳化してもらうには
「おじいちゃん!また病院に行かなかったの!?」
「あれは勘弁しておくれよ。この歳になってあんなの受ける必要はないよ」
「またそれ!お隣の拓也さんも去年に手術してもらってるのに!」
「あいつか……なんかあれから様子が変わっちまった」
「何を言ってんの!後頭部にカバーが付いただけじゃない!みんな一緒なんだからあれが普通なの!」
「そうガミガミ言うなよ秘双美。かわいい顔が台無しだ」
「もう!おじいちゃんが聞き分けないからでしょ!電脳化手術を怖がるとかだらしない!」
「そうは言うけどね。頭を開けて手術して機械を入れるとか、やっぱり人間として自然じゃないんだよ」
「そういうの、駅前で配ってたビラに書いてあったやつじゃん。自然が一番だとか、機械を入れたらおかしくなるとか、どこかの国の陰謀だとか!そんなことないって、かかりつけの富士之宮先生に何度も説明されたでしょ!聞いてなかったの?」
「そうは言うけどね秘双美。こういうのは理屈じゃないんだよ」
「理屈なの!やらないとこっちも不便だし!」
「ああ、徘徊防止とかだろ?わしはそこまでボケとらん」
「なってからじゃ遅いの!今のうちにやっとくの!電脳にしたら色々できて便利だってのも説明したよね?税金の計算も自動でやってくれて優遇税制の適用もあるんだから!家族に電脳化してない人がいたら税金が高くなるのよ!」
「そこまでやらないといけないってのもおかしな話だよ。お金で釣ろうなんて、それこそ妙だと思うんだが」
「そうじゃないの!ちょっとの金額じゃないの!言いたくないけどおじいちゃんが電脳化してくれないとうちの家計が苦しいの!わかってちょうだい!」
「ああ、困っちゃったなぁ……わしが手術を受けるかどうかなんて、わしの勝手じゃないか」
「おじいちゃん……ちょっとこれを見て。日本の電脳化率はもう九割を超えてるのよ。だからみんな電脳ありきになってるの。ね?」
「みんながそうだからって横並びでやらなくてもいいだろう」
「……しょうがないなぁ。お友達の平川さんに教えてもらった方法を試すしかないのかしら?ああやだやだ」
「む?なんだい?」
「はい、おじいちゃん。これを見て」
「何を……なんと!電脳化すれば若い子とあんな事やこんな事を!?アッチが衰えても電脳なら関係なし!?ネットであらゆる行為がやり放題!?」
「……はぁ。あんなに嫌がってたのに。あれを見せたらすごい勢いで行っちゃった。男の人って年齢に関係なくそういうのが好きなのね……」




