表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
不遇スキル【撤退】しか持たない商家の三男、死ぬたびに最適解を見つけてダンジョン攻略  作者: 昼ライス


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

15/18

第15話 見慣れない気配

毎日20時投稿

中層へ足を踏み入れることが、特別なことではなくなっていた。


最初に入った日の緊張は、もうない。浅い層を抜けるまでに時間も体力も使わなくなり、気づけばそこはただの通過地点になっていた。


ゴブリンは少ない。


スライムも点在する程度。


危険というより、確認作業に近い。


何日か同じことを繰り返すうちに、体が覚えてしまったのだろう。どこで止まり、どこで進み、どこで戻るべきかを、考えなくても判断できるようになっていた。


「最近、早いね」


肩のあたりを飛びながら、リアが言う。


「戦う回数が減っただけだ」


倒せる相手でも、時間がかかるなら避ける。無理に進まず、持ち帰れる分だけ持ち帰る。


やっていることは変わらない。


ただ、迷うことが減った。




中層に入って少し進んだところで、ロイは足を止めた。


通路の脇、壁際に小さな箱が置かれている。


これも、もう珍しくはなかった。


「またあるね」


「ああ」


宝箱。


中層に入るようになってから、時折見かけるようになったものだ。


最初に見つけたときは罠を疑ったが、何度か確認した限りではそういうものではないらしい。開けると中身が入っていて、それだけだ。


蓋を開ける。


中には魔石がいくつかと、小さな革袋。それと巻かれた羊皮紙が入っていた。


ロイは羊皮紙を手に取る。


「またそれ?」


「スキルスクロールだな」


最近、時々入っている。


文字を確認するが、見慣れない名前だった。


効果を完全に理解できるわけではないが、少なくとも今の戦い方に必要なものではない。


槍で距離を保ち、危険になる前に下がる。


それだけで足りている。


「使わないの?」


「今は必要ない」


ロイは迷わず袋にしまった。


ギルドで売れば、それなりの金になる。


使い道が分からないものを抱えておくより、装備や消耗品に変えた方がいい。


商売と同じだ。


価値は、使える場所で決まる。




探索は順調だった。


ゴブリンは単体ばかりで、問題にならない。スライムも、位置さえ把握していれば危険はない。


戦闘の回数が減った分、奥まで進む時間が増えた。


気づけば、これまでよりもさらに深い場所まで来ていた。


それでも、緊張はない。


浅い層とやることは変わらない。


「中層って、こんなものなんだな」


「どうだろうね」


リアは曖昧に答えた。




通路を進んでいると、ふと違和感があった。


気配察知に、かすかな反応。


敵というほど強くはない。だが、ゴブリンともスライムとも違う。


ロイは足を止め、上を見上げる。


天井の暗がりに、何かが動いた気がした。


光がわずかに反射する。


細い線のようなものが、揺れている。


「……何かいるな」


「かもね」


リアの声はいつも通りだった。


攻撃してくる様子はない。


距離もある。


ロイはしばらく様子を見ていたが、やがて視線を外した。


追う理由がない。


危険かどうかも分からない相手に近づく必要はなかった。


進む。


それだけだ。




さらに奥へ進むと、魔物の気配が変わった。


数が少ない。


代わりに、空間が広い。


足音が少し響く。


ロイは自然と歩く速度を落とした。


気配察知に、今までとは違う反応が引っかかる。


重くない。


だが、速い。


次の瞬間、通路の奥から影が飛び出した。


低い唸り声。


地面を蹴る音。


灰色の毛並みをした獣が、ロイの前で足を止める。


ゴブリンでも、スライムでもない。


鋭い牙を見せ、低く身を沈めている。


「……新しい魔物か」


ロイは静かに槍を構えた。


獣は唸り声を強め、わずかに体を揺らす。


飛びかかる寸前の姿勢だった。


いつもありがとうございます。


面白いと思っていただけたら、

★★★★★評価・ブックマークで応援していただけると嬉しいです。


本作は毎日更新中です。

明日もお待ちしています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ