第25話 「朝の光は、嘘をつかない。」
カーテンの隙間から、
やわらかい光が差し込んできた。
誰かが身じろぎをして、
布団が少し擦れる音がする。
「……朝?」
友奈の寝ぼけた声。
「朝だね。」
小春が、まだ目を閉じたまま答える。
空気は静かで、
夜の余韻がまだ部屋に残っている。
昨日の恋バナが、
夢だったみたいに。
でも、
胸の奥に残る感覚だけは、
ちゃんと本物だった。
陽芽は、
そっと体を起こした。
窓の外を見ると、
白い景色が朝の光に照らされている。
「……きれい。」
その声に、
紗月も目を開ける。
「雪、少し積もってるね。」
「うん。」
陽芽は小さく笑った。
「昨日より、静か。」
美結は、
布団の中で天井を見つめていた。
昨夜、話したこと。
言葉にした過去。
言えなかった気持ち。
思い出すたび、
胸が少しだけきゅっとする。
(……でも、悪くない)
そう思えたのが、
自分でも意外だった。
瑞希は、
誰よりも早く目が覚めていた。
けれど、
すぐには起きなかった。
隣の布団から聞こえる、
小さな寝息。
それだけで、
心が落ち着く。
(……安心する、って
こういうことか)
昨日、自分が言った言葉を、
今になって噛みしめる。
「……おはよ。」
叶が静かに声をかける。
「おはよう。」
何人かが、同時に返す。
そのやり取りだけで、
朝が始まった感じがした。
「ねえ。」
友奈が、布団から半分起き上がって言う。
「昨日さ、
話してよかったよね。」
「うん。」
紗月がすぐに答える。
「なんか……
距離、縮んだ気がする。」
「物理的にもね。」
小春が言う。
「布団、近い。」
「それは狙ってない。」
美結が笑う。
朝の空気は、
夜よりも正直だった。
取り繕えないし、
隠す元気もない。
だからこそ、
ふとした一言が、
まっすぐ胸に入ってくる。
「……朝風呂、行く?」
叶が聞いた。
「行く。」
友奈が即答する。
「絶対行く。」
美結も続く。
「目、覚めそう。」
紗月が言う。
準備をしながら、
何気ない視線が交差する。
昨日よりも、
少しだけ自然。
昨日よりも、
少しだけ近い。
部屋を出る直前、
陽芽がぽつりと言った。
「……今日の私、
昨日より、
ちゃんと前向いてる気がする。」
誰も大げさなことは言わなかった。
でも、
その言葉を、
ちゃんと受け取った。
朝の光は、
嘘をつかない。
昨日話した過去も、
今日芽生えた気持ちも、
全部、そのまま照らしていた。




