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女子大生、温泉で恋落ちます!?   作者: 恋い茶


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23/26

第23話 「食後の一言が、境界線を越える。」

ブッフェの皿が少しずつ空になっていく。

「……もう入らない。」

小春が箸を置いた。

「私も。」

友奈が満足そうに背もたれに寄りかかる。

「幸せすぎて眠くなってきた。」

「それ、油断すると危ないやつ。」

美結が笑う。

デザートコーナーから戻ってきた陽芽が、

小さなお皿を持って言った。

「……これ、すごくおいしい。」

「どれ?」

紗月が身を乗り出す。

「これ。」

陽芽は指差して、

「甘すぎなくて……やさしい。」

「陽芽ちゃんの好みだね。」

紗月が微笑む。

その様子を、

瑞希は何気ないふりで見ていた。

胸の奥に、

さっきと同じざわつき。

(……さっきから、なんなんだろ)

理由を考えようとして、

やめた。

今は、

ここにいる時間を壊したくなかった。

「ねえ。」

友奈が、

少しだけ声のトーンを落とした。

全員の視線が向く。

「さっきの恋バナさ。」

一拍置いて、

「もう一歩、行かない?」

「行くと思った。」

小春が即答する。

「でも、いいタイミングかも。」

美結が頷く。

「無理なら、パスありで。」

叶が付け足す。

その一言で、

空気がやわらかくなる。

「じゃあ……」

友奈が指を折る。

「今、誰の隣が一番落ち着くか。」

一瞬、

全員が固まった。

「それ、地味に核心じゃない?」

小春が言う。

「だから。」

友奈はにやっと笑う。

「今聞く。」

沈黙。

逃げ道はある。

でも、

ここまで来て、

誰も完全には逃げなかった。

「……私から。」

紗月が、そっと言った。

「今は……

陽芽ちゃんの隣が、落ち着く。」

陽芽が目を丸くする。

「……え。」

「一緒にいると、

呼吸が合う感じがする。」

紗月は照れたように笑った。

「……ありがとう。」

陽芽の声は小さかったけれど、

嬉しさが隠れていなかった。

次に、

自然と視線が美結に向く。

「私は……」

美結は少し考えてから、

「友奈。」

「即答!」

友奈が笑う。

「だって。」

美結も笑い返す。

「一緒にいると、

何も考えなくていい。」

「それ、最高の褒め言葉。」

小春が言った。

「じゃあ小春は?」

友奈が振る。

「私はね。」

小春は肩をすくめる。

「今は、誰の隣でも楽しい。」

「ずるい。」

美結が突っ込む。

「本音だから。」

小春は笑った。

残るは、

彩羽、瑞希、叶。

彩羽は少しだけ考えてから言った。

「私は……

今の距離感が、ちょうどいい。」

「さすが。」

小春が感心する。

瑞希は、

しばらく黙っていた。

視線を上げて、

一言だけ。

「……陽芽の近く。」

陽芽が、

はっと顔を上げる。

「理由は?」

友奈がすぐ聞く。

「……安心する。」

それだけだった。

叶は、

そのやり取りを見てから言った。

「私は……

みんなの真ん中が、落ち着く。」

「それ、叶ちゃんらしい。」

美結が言う。

でも、

叶の視線は、

一瞬だけ瑞希に向いた。

誰も気づかないくらい、

ほんの一瞬。

けれど、

その一瞬が、

いくつかの心に残った。

食後の空気は、

さっきより少しだけ、

近い。

境界線を一つ越えた感じ。

「……なんかさ。」

友奈が言った。

「この旅、

帰ったあとも引きずりそう。」

誰も否定しなかった。

夜は、

まだ終わらない。

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