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女子大生、温泉で恋落ちます!?   作者: 恋い茶


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20/25

第20話 「ラウンジの灯りと、距離が縮む音。」

ラウンジに入った瞬間、

ふわっと甘い香りと、やわらかい灯りに包まれた。

「……え、ここ、めっちゃ良くない?」

美結が一番に反応する。

「落ち着く系だ。」

瑞希が短く言う。

「お酒もあるって書いてあったよ。」

彩羽が案内を指さす。

「はい優勝。」

小春が即断する。

「今日一番の情報。」

「まだブッフェ前だからね。」

叶が笑いながら釘を刺す。

「わかってるって〜。」

友奈が言いつつ、

グラスを手に取る動きは一番早かった。

ソファに分かれて座ると、

自然とグループができる。

友奈と美結は隣同士。

小春はその向かい。

紗月と陽芽は少し端の席。

彩羽は全体が見える位置。

瑞希と叶は、少しだけ距離を空けて腰を下ろした。

「山寺のあとにこれは、反則。」

友奈がグラスを見ながら言う。

「わかる。」

美結が頷く。

「人間、回復すると口が軽くなる。」

「急に怖いこと言うじゃん。」

小春が笑う。

「でも、たしかに。」

紗月が小さく同意する。

陽芽は、グラスを両手で持ちながら言った。

「……さっきより、みんな喋りやすい。」

「それ。」

友奈が指を差す。

「温泉マジック。」

「湯気でガード下がる説ある。」

小春が適当なことを言う。

「ありそう。」

彩羽が真面目に頷く。

笑いが起きて、

空気が一段軽くなる。

美結が、ふと思いついたように言った。

「ねえ、せっかくだしさ。」

「ん?」

友奈が顔を向ける。

「今日ここまで来て、

一番しんどかった瞬間、言おうよ。」

「それ恋バナじゃなくない?」

小春が即ツッコミ。

「前段階。」

美結は真顔だった。

「心開くやつ。」

「じゃあ私。」

友奈が手を挙げる。

「山寺の途中で、

可愛いブーツ選んだ過去の自分を恨んだ瞬間。」

「それ全員。」

小春が即答する。

「はい次。」

美結が笑う。

「……私は。」

紗月が少し考えてから言う。

「滑りそうな階段で、

誰かの背中見て、

あ、無理しなくていいんだって思ったとき。」

「誰かって?」

友奈がすぐ食いつく。

「……内緒。」

紗月はふわっと笑って流した。

陽芽が、少し間を置いて言った。

「私は……

手を貸してもらったとき。」

一瞬、

瑞希が視線を逸らす。

「怖かったけど……

安心した。」

その一言で、

空気がほんの少しだけ変わった。

「……それ、恋の入り口じゃない?」

美結が静かに言う。

「えっ。」

陽芽が慌てる。

「ち、違う、たぶん。」

「たぶんね。」

小春がにやっとする。

「ほら〜、もう始まってるじゃん。」

友奈が楽しそうに言った。

叶は、その様子を見ながら言う。

「無理に話さなくていいけど、

出てきたら、止めなくていいよ。」

「それ、許可出た?」

美結が聞く。

「出たね。」

彩羽が静かにまとめる。

瑞希は、グラスを置いてぽつりと言った。

「……聞くのは、嫌いじゃない。」

「出た、瑞希の本音。」

小春が笑う。

「それ貴重じゃん。」

友奈が身を乗り出す。

笑いが起きる。

ここには、

無理に盛り上げなくてもいい空気があった。

仲良しの距離。

初めて見せる顔。

まだ名前のついていない感情。

ラウンジの灯りの下で、

それぞれの輪郭が、少しずつ見えてきていた。

このあと、

ブッフェ前の軽い一言が、

本格的な恋バナの扉を開ける。

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