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女子大生、温泉で恋落ちます!?   作者: 恋い茶


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16/26

第16話 「山寺を降りて、温泉へ。」

登るよりも、

降りるほうが、神経を使った。

足元を確かめて、

一段ずつ、ゆっくり。

「……下りのほうが怖いんだけど。」

友奈が真顔で言う。

「それ、山あるある。」

小春が苦笑する。

「さっきより滑る気がする……。」

美結は慎重に足を運びながら、前髪を押さえた。

瑞希は、自然と陽芽の少し前を歩く。

登りのときと同じ距離。

「段、低いから大丈夫。」

短い言葉だけど、

それで十分だった。

陽芽は小さく頷く。

「……ありがとう。」

言葉は少ない。

でも、気にしてくれているのがわかる。

 

途中、また少し開けた場所に出る。

さっき見た景色とは逆に、

今度は足元の石段と、

近くの木々がよく見えた。

「こうやって見るとさ。」

紗月が言う。

「さっき、ちゃんと登ってきたんだなって思う。」

「うん。」

彩羽が静かに答える。

「自分の足でね。」

叶は、みんなの後ろ姿を見ながら歩いていた。

最初は、

ちゃんと時間調整できるかとか、

無理をさせていないかとか、

そんなことばかり考えていた。

でも今は、

ただ一緒に来てよかったと思っている。

 

駐車場が見えたとき、

自然と空気がゆるんだ。

「……あった……。」

友奈が安堵の声を出す。

「生還した感ある。」

美結が笑う。

「これで温泉行ける……。」

小春が両手を合わせる。

陽芽は車に近づくと、

そっと深呼吸した。

冷たい空気が胸に入って、

体の奥まで行き渡る。

(……頑張った)

それだけで、

胸が少し満たされた。

 

車に乗り込むと、

一気に力が抜けた。

「……足、やばい。」

友奈がシートにもたれる。

「明日、筋肉痛確定だね。」

美結が言う。

「それでも、いい思い出。」

紗月が微笑む。

叶はエンジンをかけながら言った。

「じゃあ……月岡ホテル、向かおう。」

その言葉に、

車内の空気が一気に変わる。

疲れているはずなのに、

気持ちは軽かった。

 

温泉街に戻ると、

さっきよりも灯りが増えていた。

提灯の明かり。

湯気。

夕方に近づく、柔らかい空の色。

「……さっきより、きれい。」

陽芽が窓の外を見て言う。

「山登ったあとだからかな。」

瑞希が答える。

「たぶんね。」

彩羽が微笑む。

 

ホテルの建物が見えたとき、

友奈が声を上げた。

「見えてきた……!」

「やっと入れる……。」

美結がほっとしたように言う。

叶は、ゆっくり車を停めた。

「おつかれさま。

まずはチェックインしよ。」

ドアを開けると、

温泉街の空気とはまた違う、

あたたかい空気が流れてくる。

ここからは、

癒される時間。

でも、

山寺で縮まった距離は、

もう元には戻らない。

それぞれの胸に、

小さな変化を残したまま。

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