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RELIEVER  作者: 咲良帆春
1/2

prologue

始まり方は暗いですが目指すはライトめな世界滅亡です(爆)


所々シリアスっぽいですが、余り重くならないようにしたいです。。。


因みにゾンビは出てきません。出てくるのはもっと可愛げがある物体(笑)です(*^ω^)ノ


ちょっと異色なBL作品になるかも…苦手な方はUターンお願いします(;uu)





「…あ…?」




頭がずきりと痛む。

埃っぽい空気に咳き込みながら身動ぎすると何故か全身が鈍く痛んだ。


重い瞼を無理矢理開くと薄暗く埃っぽいコンクリート剥き出しの天井が見え、仰向けになりながらはてと首を傾げた。その拍子に後頭部がガリガリ擦れた。痛い。


天井は所々パネルが剥がれ落ちて配線やら配管が丸見えで、時折パラパラと塵が落ちてきている。

電気は通っているらしい。半分落ちかけている蛍光灯が低音を響かせながらばちばちと点滅を繰り返している。



俺は…一体…?




「い、ぅ!…あたたた…」




取り敢えず今の自分と周りの状況を確かめようと肘をついて身を起こすと、全身が軋み、思わず声を上げた。


頭からパラパラと細かい破片が落ちくる。その感覚が気持ち悪くて頭を些か激しく振ると髪の間から更々と細かい砂がサラサラと落ちた。

髪に指を差し入れて思わず顔を顰めた。ざらざらと埃まみれで、よく確かめてみれば頬や手も灰色の砂埃にまみれていた。


頭は相変わらずズキズキと痛んだが全身が砂っぽく…



砂っぽく?

全身が?




寝惚けた頭をリセットして自分の格好をよく見てみて仰天した。覚えもないのに病院で着るような薄手の患者衣…つまり作無衣と言うか浴衣みたいな前開きの服を着ていたのだ。しかもそれ一枚きり。



足元がスースーするし、まるで健康診断を受けてる最中だ。


バリウムを持ってないのが逆に不思議な位のこの出で立ちはかなり心許ない。




「俺…なにやってんだ…?ってかここどこだよ…」




見回してもそこは薄暗い廃墟だ。勿論人の気配なんて微塵も感じない。


せめて破壊される前だったらとも思うが…どちらにしてもこの場所には見覚えがない気がする。



まさに『此所は何処?私は誰?』状態だ。

いやまて俺は…


軽くパニックになりながら深呼吸を一つした。




(大丈夫だ。大丈夫。落ち着いて整理してみよう。…まずは俺の名前。俺の名前は…)




「俺はいおり。あすま、いおり。…ん、字も思い出せる。」




遊馬伊織。うっすら砂埃の溜まる床に指でなぞると下手くそな字が浮かび上がった。




字を書いて気付いたがどうやら握力が弱くなっているようだ。

まるでずっと動かしていなかったように強張り、芸人が演じる老人のように奇妙なまでに震えていた。


これはどういう事だと思いながら伊織はゆっくり指の曲げ伸ばしをした。


身体を他にも調べてみれば、全身がだるいのは元からだが、試しに動かしてみれば全身に上手く力が入らない事が分かった。

大分長い間眠っていたみたいな…。




(俺に一体何が…?)




答えを求めて見回し、目に映るのは人の気配のない部屋…。いや、建物全体に人気はない。

周りに奇妙な機器が多く倒れ積み重なったりしているが、なんだか病院と言う訳ではない気がする。




「…廃墟…」




自分の声が暗がりにこだまして伊織はぞっとした。改めて人の気配所か生き物の気配すらしない事がリアルに感じられたから。独りぼっちなのだと実感したから。



何故?俺は至って普通に暮らしていた筈なのに。

突然こんな廃墟にいるのはどうして?いつから…?


落ち着かせた思考が再び混乱の兆しを見せて、伊織は自分を掻き抱きながら自分に何が起きたか思い起こそうとした。




(最後の記憶は………ダメだ、…思い出せない…)




ぽっかり記憶に穴が開いている。




しかし何をしたにせよこんな廃墟に放置プレイされる覚えはないのだが。

理不尽な状況に不安と怒りが混ぜこぜになって苛つく。


苛立ちに任せて頭を掻きながら伊織は改めて整理する。


この不完全な記憶の中では自分は至って普通の人畜無害な高校生の筈だ。

今年18になる。受験シーズン真っ只中で、進学しなきゃとは思うけど、かといって何か目標がある訳でもなく…




(うん。普通だ。変な所なんてない。)




まさに青春真っ只中。




「…何がどうなって…?」




いくら頭を捻っても答えは出ず、伊織は考えるのを止めた。


何にせよ、こんな廃墟に一人でいるのは精神衛生上よろしくない。

先程から曲げ伸ばししていたお陰か、大分力が戻ってきた事だしと、伊織はゆっくり立ち上がった。

が、足が、と言うか下半身が全く言う事を聞かず、腰砕けになってそのまま傍のひっくり返ったベッドに突っ込んだ。




「痛っ…」




やれやれと、今度こそベッド(と言うより寝台と言った方がしっくりくるかもしれない)を支えに立ち上がる。

掴まり立ちしながら足腰の運動も兼ねて足踏みをしていてふと思った。




(多分この上に寝かされてたんだろうけど…)




床には瓦礫だけでなく小物も大分散乱している事だし…とてつもなく大きな地震でもあったのだろうか。それで、俺だけ逃げ遅れた?っていうか忘れられた?…見捨てられた…?




「だとしたら皆薄情だな…ってかベッドから落っこちても気付かなかった俺って…」




神経が太いな。

大体目覚めてから知らない場所で独りぼっちと言うホラーゲームや脱出ゲームにありがちなこの状況でも余り恐怖を感じてないし。




(ただ、かなり心細いだけで…)




それと今の状況に至るまでの記憶が全く思い出せない自分に腹が立つだけで…。




「ぐだぐたしてても仕方ないか。…外に出よう。で、取り敢えず服探そう。あと人がいそうな避難所か。」



患者衣一枚で下着も靴下も履き物もないのはかなり嫌だ。この格好で他人に遭遇するのも恥ずかしい。

身体に異常がないし、心当たりも無いので、こんな格好をしているとまるで自分が変質者になったみたいで気分が悪かった。



大分足に感覚が戻ってきてから、伊織は破片や物を踏まないよう気を付けながら部屋を出た。

右を向くと廊下の先がぼんやり青白く明るくなっていた。


どこかで電気がばちばちとショートしている音を聞きながら伊織は光の方向へゆっくり歩みを進めた




そして、建物から脱出した伊織はここにきて初めて自分の置かれた状況に絶望した。



目の前はまさしく読んで字が如く「ゴーストタウン」だった。



壁や道路に少量ながらも血痕があるのがなんともリアルで鳥肌が立つ。


血溜まりはあれど、人はなし。

生きている人間はおろか死体すらない。


死体がレスキュー隊などに片付けられたとしても、そのレスキュー隊が一人もいないのはおかしいのでは?

と言うか、確かに崩れかかった建物もあるが見渡せばここは高層ビル群のど真ん中。

見覚えもない街だがこれだけの大都市なら人がいない訳はない。


火事場泥棒と言う言葉もあるとおり、災害に紛れて店に強奪に入る市民のイメージが浮かんだ伊織は近くの店を覗いて見るが多くの店が殆ど手付かずだ。



そして、周りは火の手の上がるビルや車も少なくない。なのにサイレンの音も車が走る音もない。あるのは何かが崩れる音や小さな爆発音。火が燃える音くらいだ。


もしレスキュー隊や自衛隊が救助活動を終え、市民を根こそぎ避難させ街を離れているのだとしても納得できない。現に要救助者がここにいるのだから。

これだけの被害で運よく死者が出なかったとしても、怪我人は沢山いた筈だ。道にも建物にも。伊織だけが取りこぼされたなんて、奇妙だ。絶対におかしい。




「まるで某ゾンビ映画じゃないか。」




思わず呟いたが笑えない。もしかして本当に某傘社がウィルスばら蒔いて俺がショットガンぶっ放さなきゃならなくなるのか?

だとしたら御免被りたい。


勿論そんな事あるわきゃないと伊織は信じているが。




「取り敢えず、服。そして飯。」




伊織は今度こそ深く考えるのを止めた。分からないのは分からない。考えたって仕方ない。



そう吹っ切って伊織は誰もいなくなった恐ろしいほど静かな街を歩きだした。

当面は衣類と食料の確保が最優先。



誰かに会えれば良い。一人でも、とにかく誰かに会えれば…。




そんな淡く望み薄な希望を抱きながら、伊織の非日常の世界の幕が上がった…








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