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超魔導兵器

「お前の言いたいことは分かる。なぜ自分たちが第三騎士団の尻拭いをせねばならないのか、ということだろう? だが、嫌な予感がして仕方が無いのだ」


「……軍団長の勘は良く当たりますからね……何か根拠もあるのでしょう?」


 アクトが幾分真剣な表情でそう尋ねた。


「うむ……まず、真竜を倒した帰り、怪我人もいて警備に手薄だからといって、騎士が五人も揃って大事に運んでいた魔石を奪おうとするだろうか?」


「……えっと、その盗賊は、それが真竜の魔石って分かっていたのですか?」


 ミリアが浮かんだ疑問を素直に質問する。


「戦いに参加していた冒険者は多いからな……先に帰されたとはいえ、何かの魔道具で真竜の後始末を観察していたとしても不思議ではあるまい。第三騎士団側も、特に隠す理由も無かった」


「なるほど……それで取り出した魔石を、騎士五人だけで運ばせた」


「先に討伐の証として魔石だけ王に見せるつもりだったのだろう。牙や角の回収は後回しだったそうだ」


「まるでアリが獲物を解体するみたいですね」


 ミリアが無邪気にそう言う。彼女の場合、皮肉は込められておらず、思ったことをそのまま口に出しているだけだ。


「……それで、騎士五人に対して、盗賊は何人だったんですか?」


 アクトの問いに、軍団長は


「おそらく、数人だったらしい」


 と曖昧に答えた。


「おそらく? 数人なのに、ちゃんと数えられていないなんて……まさか、全員殺されたんですか?」


「いや、樹木の影から突然催涙性の煙幕を張られて、むせ込んでいるところに金属製のネットをかぶせられ、さらに電撃魔法を浴びて身動き出来なくなり、あっという間に奪われたそうだ」


「へえ……相当手練れですね……でも逆に、武装している騎士から真竜の魔石を、リスクを冒して奪う意味がわからないな……。そんな盗品、手配書がすぐまわるだろうから、表では買い取ってくれるところなど無いでしょうし」


「確かに表のルートなら、な……そしてここからが、私の悪い予感にひっかかってくるところだ。まだお前たちには話していなかったが、つい先日、古代遺跡群にて、非常に強力な超魔導兵器が見つかったらしい」


「超魔導兵器? 見つかったらしいって、確定情報じゃないんですか?」


 アクトが前のめりにそう質問する。


「ああ。魔導騎士団が異常な魔力の波動を検知しただけらしいからな……だが、その波長が古代の文献に存在する、その超魔導兵器の特徴と一致したということだ……その古文書によれば、(いにしえ)の魔法大戦において、一機で強固な砦を壊滅させるほどの性能だったらしい」


「えっ……ちょっとまってください、そっちの方がよっぽど大変じゃないですか?」


 さすがにミリアも、なにかヤバそうだと気づいた。


「いや、波動の解析の結果、現時点では発掘により初期起動試験が自動的に発動しただけのようだ。正式に起動させるには、大量の魔力が必要になる。強力な魔術師がほとんど存在しない現代において、そんな超魔導兵器を稼働させようと思ったら、それに見合う強い魔力を帯びた魔石が必要になる」


 そこまで聞いて、なぜ軍団長が自分たちを緊急で呼び寄せたのか、二人とも理解が追いついた。

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