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魔導具アイデア

 イーサンからの報告を一通り聞いて、こっちからも留守の間の進展を報告。

 まずは、戦闘班の補欠登録をどうするかという話だ。


「補欠登録? 他のみんなはどうすんの?」

「ローレンとケイシーは不参加。登録するとしたら、イーサンと私とマリナ。でも、イーサンがやめとくなら、私たちもやめとく」

「いや、俺は登録しても構わないよ。元々あっちで出たかったぐらいだから」

「そっか。じゃあ、三人は補欠登録するということでいい? そうすると戦闘班の訓練にある程度参加しないといけないかもだけど……マリナもそれでいい?」

「うん、いいよ。私で役に立てるかどうかわかんないけど。まあ、補欠だし?」


 イーサンからの情報では、王立学園の補欠はアレンひとりらしい。

 みんなザダリア侯爵家に目をつけられるのが嫌で、辞退してしまったんだとか。

 なんというか。王立学園ってそういうの野放しの学園なんだね。

 私はカイウス学園でよかったな。ほんと。


 ケイシーとローレンからの報告で、小型冷凍庫に使う銅線の加工を、業者に依頼したと聞いた。

 開け閉めできる蓋のついた小さい箱で、丈夫な素材のものも探してもらっている。

 銅線のループが完成したら、そこにマリナの魔力を流してループさせる実験をする予定。


 もし、冷蔵庫に失敗した場合は、弱い火魔法をループさせて、ホットボックスにするという案もある。

 温かい食べ物や飲み物を保温しておけるやつ。

 これも、冬の時期には需要がありそうな気がするし、冷凍庫よりは完成する可能性が高い。

 魔力を循環させると、熱を発するってセドック先生も言っていたし。


 今のところ研究の方は素材待ちなので、私とマリナはイーサンに戦闘面の手ほどきをしてもらうことにした。

 今回は団体戦だから、戦い方が去年の個人戦とは違うしね。


 最後は予備の案として、治癒魔法を循環させた医療グッズ。

 これも、引き続きケイシーとローレンの方で、魔力伝導線の極細のものを編んで、生地にしてもらう研究を続けてもらう。

 できた生地は、固めの生地なら腰痛ベルトに。

 柔らかめのものは膝や腕のサポーターに。

 治癒魔法がかなり有効なら、怪我にも使えるはずだ。


 あとは、ポーションを軟膏状にしたものを定着させた布から絆創膏を作る。

 このへんは協力してくれる人がいれば、意外と早く仕上がるんじゃないかと思ってる。

 なので、クラスの治癒班の女子で、魔導具クラブに参加してくれる人を募るつもり。


「思ったよりたくさんアイデアが出てよかったな。俺にもできることある?」

「イーサンは私たちの戦闘訓練の面倒を見ないといけないから、それ優先でいいよ」

「オッケー。悪いな、面倒なこと任せっきりで」

「僕とローレンは戦えないから、適材適所さ。任せとけって」


 笑顔で胸をはるケイシーが頼もしい。

 出逢った頃はひ弱であまりしゃべらないイメージだったけど、最近はケイシーも変わってきたな。

 なんていうか、すごく積極的になった!


「ローレン、ケイシーといい感じ?」


 マリナにこそっと言われて、顔を赤らめるローレン。

 あれっ? ひょっとしてローレン、脈あり?

 何があったんだ。

 もしかしてもしかすると、ケイシーが次期鉱山男爵になる未来も?

 うわー。それなら応援しちゃうよ!


 イーサンから受け取った手紙を持って、私はひとりで実家へ転移した。

 お父さんとカイルが心配しているから、一刻も早く届けないといけないと思って。

 お母さんからの手紙を見せると、お父さんはじっとそれを見つめたまま、しばらく固まっていた。

 何度も何度も読み返して、それからふーっと長いため息をはいた。


 ここんとこよく眠れていないと言った。

 ずっと心配してたんだよね。カイルも暗い顔をしている。

 お母さんがいなくなってしまったから、お父さんとカイルはふたりで協力して食事を作っているそうだ。

 だけど元々料理が得意じゃないふたりだから、同じようなものばかり食べているらしい。


 そうか、私もそこまで気が回っていなかった。

 私はいつでもここへ帰ってこれるんだから、できる限り食事を届けてあげることにしよう。


「お父さん、お母さんは必ず帰ってくるよ。だから、魔術大会が終わるまで待ってみよう。私の友達が王都まで行ってアレン・ロートレックに会ってきてくれたんだ。そしたら、アレンは悪いやつじゃないってわかった。だから、お母さんはきっと大丈夫」

「そうか。アレンはまっすぐ育ったんだな。それを聞いてお父さんも嬉しいよ。現ロートレック伯爵の奥方は、低位貴族だったけどとても優秀な人だったと聞く。ロレッタと逃げた後、現伯爵の婚約が破談になったと聞いてずっと罪悪感があった。しかし、その後結果的に今の奥方といい家庭を築けたということなんだな」

「うん、まあそういうことだから、もしかしたら伯爵はお母さんのことをもうそんなには恨んでいないかもしれないね」

「そうだといいんだがな……元は仲の良い兄妹だったんだ」


 お母さんのことを恨んでいるとしたら、駆け落ちが原因で爵位を譲ることになった、前伯爵夫妻かもしれないな……

 私からすると、おじいさま、おばあさまにあたる人。

 今は領地の方へ隠居しているという話だけれど。

 お母さんの話では、おじいさまは最後までザダリア侯爵家に嫁に行けと言っていたらしいから、そっちの方が溝が深いよね。


「お父さんは、お母さんをそんな目に合わせたロートレック家に思うことはないの?」

「俺は……まあ、騎士だったのに、主君への忠誠心を捨てたわけだから、本当なら打ち首になっていてもおかしくなかった。それを今まで見逃してくれていたんだから、ありがたいことだと思ってたさ」

「そうだね。おかげで私たちは幸せだったわけだし! ね、カイル?」

「うん……でも、本当にお母さん帰ってくるかな?」

「大丈夫! いざとなったら私が連れて帰ってくるから。約束する」

「そっか、アリス姉ちゃん転移できるようになったもんね。すげえや」


 素直に目をキラキラさせて、カイルが褒めてくれる。

 こんなにカワイイ弟を持って、私はなんて幸せ者なんだ!

 お姉ちゃん、頑張るからね!



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