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食材をゲットしました

 山の麓へ続く一本道を進んでいるときに、急にガタンと馬車が止まった。

 御者をしている騎士さんが『魔獣です! ブレイズボアです!』と大声をあげた。

 窓から外を見ると、5、6頭のイノシシのような魔獣が群れで走ってくるのが見える。

 ええと、確かブレイズボアは突進してくる魔獣で、力は強いけどそれだけだったはず。

 逃げても相手の方が足が速いので、突進してくるのを止めないといけない。

 馬車にぶつかったら大変だ!


「おっと、ちょうどいい獲物だ! 僕は行ってくるよ! アリスちゃんはここでじっとしてるんだよ!」

「はい、わかりました」

「これ、使わせてもらうね~!」


 カーマイン様は杖を持って馬車から飛び出していった。

 私はもちろんお留守番です。

 猛スピードで走ってくる魔獣に魔法で攻撃するなんて、できそうにもない。

 別の馬車からイーサンも飛び出していったのが見えた。


 騎士様たちも走っていったが、カーマイン様とイーサンが並んで前衛に出た。

 派手な火魔法をぶっ放して、魔獣を足止めしている。

 あの大きさとスピードだったら、つむじ風ぐらいじゃ止まらないもんね。

 広くて見晴らしのいい場所だから、大きな火魔法も使い放題だ。

 

 騎士様たちが剣でとどめをさして、あっという間に討伐は終わった。

 辺境伯様がやっぱり一番強そうだ。

 騎士様たちは手慣れていて、学園の野外学習のときとは全然違う。

 あの時のオオカミの魔獣なんて、かわいく思えてくる。

 カーマイン様がおいでおいで、と手招きして呼んでるみたいなので、馬車を出て近くまで行ってみた。

 近くで見ると、かなり大きい。


「アリスちゃん、これ、持って帰れる? 全部じゃなくてもいいんだけど」

「大丈夫ですよ。素材を使うんですか?」

「それもあるけど、ブレイズボアの肉って美味しいんだよ」

「そうなんですか! 食べたことないです。持って帰りましょう!」


 6頭いっぺんに収納に放り込んだら、みんなに驚いたような顔をされた。

 食材と聞いたら、全部持って帰りますよ!

 調理方法が気になるなあ。


「この子たちがいると、旅が楽だねえ。アルフ」

「まったくだ。いつもこんなに楽だといいんだけどなあ」


 いつもだと、道に横たわったブレイズボアをどける作業だけで時間をとられるそうだ。

 数100キロぐらいありそうだもんね。

 死体を放っておくと、そこにまた魔獣がむらがるんだとか。

 野営地の近くだったら、焼いたり埋めたりしないといけないらしい。

 それは想像しただけでも大変だ……


 山を登り始めると、道がだんだん細くなってくる。

 行けるところまで行って、そこからは徒歩で探すそうだ。

 前回見つけた場所まで行って、その周辺を探すらしい。

 登り坂なので、馬車のスピードも遅くなっていく。


 ちょっと開けた、見晴らしのいい場所に出て、そこに拠点をつくることになった。

 前回もそこで野営したらしく、火を起こした跡が残っている。

 馬車はここまでで、いよいよルナリア草を探しにいくようだ。


 馬車を降りると、私とマリナは護衛さんと一緒に待機しているように言われた。

 見つけたらいったん降りてきて、夜を待つことになるからだ。

 私は体力に自信がないので、ありがたくお留守番させてもらうことにする。

 その代わり、晩ごはんの支度はまかせてくださいね!


 テントをはるのかと思ったけど、目立つので夜になるまでは、はらないらしい。

 なんでも鳥獣は目が良いんだそうだ。

 山の上は肌寒いんだけど、なるべく火も使わないとのこと。

 まあ、収納の中にはアツアツの料理も保存してあるから、火を使わなくてもいいよね。

 馬に水を飲ませてやってほしいというので、たらいを出して水を置いてあげた。

 そうだ。うちの農園のニンジンもプレゼントしよう。


 私とマリナは馬車の中で、おやつを食べながら休憩。

 何が出てくるかわからないので、勝手に外へ出てはいけないと言われてしまった。

 護衛さんは馬車の近くでウロウロしている。


 夜には山を登らないといけないので、体力を温存しておく。

 外は見晴らしがよくて、絶景だ。

 魔獣さえいないなら、最高の旅行なんだけどなあ。


 夕方日が落ちる前に、探しに行った人たちが戻ってきた。

 目星をつけていたあたりに、見つかったらしい。

 日が暮れたらすぐに出発するとのことで、私たちも登山靴に履き替えたりして、用意を始めた。

 あまり夕食を食べると、山登りがキツくなるので、パンや焼き芋などを食べて夜を待った。

 真っ暗な山でルナリア草を見つけられるのか?と聞いたら、花が咲くとぼんやり光るんだそうだ。

 不思議な草だ。


 私とマリナを真ん中に隊列をつくって、魔道具のランプを片手に山を登る。

 イメージでは樹海のような場所で、ヘビやトカゲのような魔獣が出たりするのかと思ったけど、トスカ高山は岩山だった。

 砂漠のように、ところどころ見慣れない大型のサボテンのような木が生えているだけだ。

 このあたりは冬が厳しいし、食物がないので、魔獣もそれほどは繁殖しないらしい。

 危険なのはブレイズボアのような大型魔獣と、鳥獣だけみたい。


 それにしても、登山はきつい。

 昼間探しにいった人たちが、目印の光る石をところどころに置いているので、それを頼りに進む。

 ヘンゼルとグレーテルの話を思い出してしまった。

 2時間ほど登るそうだ。


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