第九十七話 会議室3
「陛下!ここでこの者を捕らえるべきです!」
こういうときにこそ冷静な話し合いをしようとするはずのリンスコット様が声を荒げる。
すると、いきなり空気がなくなった。できているはずなのだが、呼吸をしているとは思えなくて、首元に両手を添えて必死に口から空気を取り込もうとする。
「止めろ!俺はここを争いの場にするつもりはない」
その一言で空気が戻り、ゲオルグさんは背中に差している大剣に手を掛け、ブラウン様は腰に差している剣の柄を握り、グリーンフィールドさんがこ生意気そうな笑みを浮かべていた。
そのことで、あの呼吸困難はこれらの人たちが闘気を漲らしただけで起きた現象なのだと気づく。
ここにいるのはバケモンばっかりだな……。
「向こうが一線を越えたからと言って、こっちが道理を超えていい理由にはならない」
「ですが陛下!」
「キース!お互いが一線を越えてしまえば、終着点は一つしかなくなる。お前も知っているはずだ」
皇帝陛下らしい威厳の満ちた立ち振る舞いに、リンスコット様は口ごもる。
「日時を記したものはこの者に渡しておく」
ゲオルグさんは近くに立っていた衛兵の人に書簡のようなものを渡し、
「要件は済ませた。失礼させてもらう」
そう告げると、誰も引き留めるものはおらずゲオルグさんは去っていった。
そして、今回の会議はもう意味のないものとなっていた。
「ふふふ。久しぶりに面白くなりそうですね」
場違いな発言ではあったが、重苦しい雰囲気を振り払うにはちょうど良かったのかもしれない。
分かってはいたけど、想像以上なことに起きちゃったな……。まあ別に、俺たちが関わらなくてもいいとかいうか、関わらないのが普通なんだとは思うんだけどね……。
どこか覚悟を決めたように見えるフィリスさんがいた。俺がそう思い込んでいるだけかもしれないが。
短すぎるのでもう一話投稿します




