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第三十七話 人さらいたちとの激戦2

まだ続きます


「侵入者だ!」


「行くわよ」


 クローディアさんは大声を上げた男に近づいて顔面を殴る。殴られた男は地面に倒れこみ、頬に赤い拳の跡をつけていながら目を回していた。


 まあ、こうなるよな。


 俺ははぁとため息をつく。

 そして酒盛りをしていた計七人の男たちが武器を手に取っていくのを眺め、端にいる人質を視界に収めながらこれからどう動けばいいのか考える。

 クローディアさんが全部かたづけてくれれば楽なんだけどな、なんて思いながら。


「てめえら何者だ?お前らも少し待て」


 ぼさぼさな髪の毛と中年太りしているのに意外と鍛えられている腕が印象的な男が、こっちに今にでも向かってきそうに武器を持って殺気立っていた者たちは足を止める。

 クローディアさんもいきなり事を構えるつもりはないのか、仕掛ける様子はない。


「オズボーン家の用心棒をやっているクローディアよ。大人しくそこに捕らえている人たちをこっちに引き渡してくれるんだったら、あんたたちに用はないから」


 用心棒ではなくメイドなはずだが、おそらく舐められないようにするためにそう名乗ったのだろう。

 まあ、クローディアさんは用心棒っていう肩書でもおかしくない実力は持っているしそういう側面もあるだろうから、嘘をついているというわけでもない。


「ん、オズボーン家ってことは――」


「その女の人の隣にいる男がセオドアよ」


「何を言ってるんだ!」


 縄に捕らえられているなんか見覚えがあるなと思っていた金髪の女性が、こっちを見つめて淡々とした声で俺の名前を口にする。

 それに対して、隣で縛られているウォルトさんがその金髪の女性の発言で怒鳴る。

 

 あの金髪の人、多分クラスメイトだよな?……ウォルトさんと知り合いのようだし、俺のことを知っていることからしてクラスメイトで合ってそうではあるけれど。


「お前がセオドアか。ふっ、まさかそっちから来てくれるなんてな。こりゃあ、運がいい」


 え、運がいいって、なに?……こいつらまさか、俺狙いなの?

 ……だから、あの女の人は俺の名前で呼んだということか?


「あの、自分がなにか貴方たちにしましたっけ?」


「俺たちはお前にはこれといった感情はねえが、今回の依頼主にお前さんをネムレス学園に通えないような体にしてほしいって言われてな」


 ……何それ。そんな恨まれるようなことをしたことないはずだけど。

 そもそも恨みを買うような交友関係を持ってないし。

 俺に良くない感情を抱いている人がいるのだとしたら、フィリス様と食事を取った時にいろいろ言ってきた貴族ぐらいだけど……。

 え?ちょっと気に入らないみたいな理由で、盗賊に依頼なんてしないよな……?


「そういうわけだから、嬢ちゃんの要求は飲めねぇな。それに、胸はないが気が強そうでいろいろと楽しめそうな嬢ちゃんを見逃す理由もねえしな」


「殺す」


 こっちを馬鹿にしたような態度を取る盗賊のボスっぽい奴に、隣にいるだけの俺が恐怖を抱くぐらいの殺気を放ちながらクローディアさんは向かっていく。


「な!?」


 盗賊のボスっぽい奴は盗賊たちが誰も反応できない速さで懐まで潜り込まれたからか、驚いているように見えた。

 そして盗賊のボスっぽい奴は吹っ飛び、壁に叩きつけられる。


「ぐはぁ!……てめえら、やれ!!」


 壁に叩きつけられた盗賊のボスっぽい奴は耳が痛くなりそうなぐらいの張り上げた声を上げると、空気がぴりついた。


 見た目からしてちょっとだけ腕の立つ中年のおっさんなんじゃないかと思っていたけど、結構タフだな……。今ので終わってくれれば良かったんだけど。

 まあでもあのボスはクローディアさんに任せれば良さそうか。


「クイックバレット」


 とりあえず目につく取り巻き達に魔法を放つ。

 放たれた魔法の弾丸は頭や腕、胴体を貫き、魔法を放った奴ら全員即死とは言えないまでも動きづらくさせることに成功する。

 そして、縄で縛られている人たちがいる方からも悲鳴声が聞こえて来る。

 もしかして危ない状況なのかと人質にされている人達を確認してみたら、ただ単純に血が流れたことに声を縣だけのようだ。


「アースウォール」


 誰かが魔法名のようなものを唱えると、盗賊のボスっぽい奴とクローディアさんを遮るようにして土の壁が現れる。

 

 ……土系統の魔法か。

 ここまで拠点にしやすい洞窟が自然にできているのはおかしいなとは思っていたけど、作れる奴がいたのなら説明がつく。

 ただ、ここが出来るまでどれくらい時間を掛けたのかは知らないけど、少なくとも俺じゃあ数日程度でこんな洞窟を作れないな……。

 この洞窟は作った奴からしてみればテリトリーとでもいえるような場所であるはずだから、優先して倒さないと不味そうだな。


「チェスター!先に男の方をやれ!」


 俺は土魔法を使ったやつを探していたところ、盗賊のボスっぽい奴が大声でチェスターとかいうのに指示するのが聞こえてきたと思ったら、俺よりも一回りほど小さい少年が俺の方に向かってくる。


「クイックバレット」


 自分よりも年下に見えるがボスに頼られていることからどことなく強キャラ感があるけど、この距離間なら魔法で牽制していれば悪いことにならないだろうと高をくくっていたら、少年は魔法を無力化させてこっちに向かってくる。

 そのことに驚いている暇もなく近づかれ、腰から短剣を抜いて振り下ろしてきた。

 俺はとっさに学園で習ったばかりの身体強化魔法を掛けた後、後ろに飛ぶ形で避ける。


 なんで魔法が効いてないんだ?防御魔法を張っているようにも見えないし。

 そんな特段威力のある魔法ではないとはいえ、生身で食らったらタダじゃあ済まないはずなのに。

 魔法をもろともせずにこっちに向かってきたことが不可解すぎて、魔法を作った防御壁であいつの攻撃を受けるのが怖いからとりあえず避けてはみたけど。


「ん?よく避けたなお前。たいていの魔法を使ってくる奴はこれで終わりなんだけど」


 今のような短剣を振り下ろすだけで魔法使いを仕留められたってことは、魔法を頼った防御じゃ防ぎきれなかったってことだよな。

 てことは、そんな防御魔法も突っ切るような力があるか、魔法を効きづらくするないし無効化させているってことになりそうだけど。

 ……え?じゃあどうすればいいわけ?


 どうしようどうしようと若干パニックになっていたが、こっちが落ち着くのを待ってくれるはずもなくチェスターと呼ばれた少年が近づいてくる。


 せめてあの短剣を防げるものがあれば。


 ふとそんな考えがよぎり、少し前にクローディアさんからもらったものを思い出す。

 そして、一回も鞘から出したことがない短剣を抜いて、向こうが振り下ろしてくる短剣にかち合わせた。

 向こうはさらに追撃して来るが、太刀筋が見えるので後ろに押される形でありながらも何とか防ぎきることが出来た。

 

「これ防ぐんだ。意外と近接もいける感じ?」


「……そうみたいですね」


 防げるものがあればと考えはしたが、刃物とか使ったことないから絶対に無理だと思っていたけど。……意外といけるみたいだ。

 身体強化魔法を掛けているためか力負けしないし、クローディアさんとの特訓である程度は動けるようになったことで対応が出来ているんだろう。

 俺でも防げているってことは、この少年は魔法を無効化できる能力を持っているということか。なら、魔法を使っても意味がなさそうだな。


「アースウォール」


 向こうがまた襲い掛かって来るが、防ぐだけならなんとかなると余裕が出てきたところで背中に何かがぶつかる。


「あっ」


 思ったような動きが取れずこっちに短剣が振り下ろされるのが見えたことで死が脳内でよぎっていたところに、クローディアさんが視界の横から現れ少年に蹴りを入れていた。


お読みいただきありがとうございます

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