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大きな社会と小さな社会  作者: 懸垂日和
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ユートピア 1話

佐藤「ここは天国だ」


起きれば仕事が用意され、明確なルールがあり朝昼晩ご飯を食べることができる

しかし外の人間はここをデストピアと呼ぶ


この世界は二つの社会に分けられている

自由で聡明な人間しかいない大きな社会と、徹底的な監視社会に加え落ちこぼれしかいない小さな社会だ

高校卒業と同時にどちらの社会に属するかが決定する

ほとんどの人間は大きな社会に行けるのだが、2割の人間だけは大きな社会から隔離されたこの小さな社会に送り込まれることとなる


そしてその2割の決め方は、高校卒業までの学力・素行で決められ、俺こと佐藤晴人はこの小さな社会、すなわちデストピアで生活している

幼少期から学校や親から小さな社会のことをデストピアや地獄などと教育されるため、誰もがデストピアへ行かないように努力する

そしてデストピアに行くものは、もれなくバカのレッテルを貼られ、一族の恥となる

デストピアにいる人間は救いようのないバカか、どうしようもないヤンキーの二択であるため、普通の人にすれば、ここはデストピアと呼ぶにふさわしいのである

それに反し、デストピアの人間は大きな社会のことをユートピアと呼んでいる

デストピアはバカや荒くれ者しかいない社会とは思えないほど平和である

なぜなら、ここには明確なルールがあり、完全監視社会であるため犯罪はほとんど発生しない

以下はデストピアのルールである


ルール1 仕事は月代わりで決められた業務をこなすこと

この社会は月代わりで仕事が変わる

工場や街の掃除、畑仕事など多岐にわたる

そしてご飯付きと言うのだからありがたい

しかし、それだけではない

このルールの面白いところは好きな仕事が見つかった場合、その職に就職することができるようになっている

そして転職もまた可能なのである

だが、同じ仕事を続ける忍耐力のある奴はここにはいないため、就職する奴は少ない


ルール2 土日祝は必ず休み

超ホワイトだ


ルール3 平日の外出は23時まで、華金と休日の外出はご勝手に

デストピアは平日には門限があり、それを破ると厳しい罰が待っている

恐らく犯罪の抑止と次の日の仕事に支障をきたさないようにするためだろう

ちなみに住まいは団地に一人一部屋支給され家賃、光熱費は無料だ


ルール4 子供を産んではならない

デストピアに来る際に女性は必ず不妊治療を施される

これは馬鹿な子供は馬鹿であることが遺伝的に証明されているからなのだろうか


ルール5 60歳を過ぎたものは定年し、必ず「老人ホーム」に行くこと

デストピアでは60歳を超えると強制的に「老人ホーム」と呼ばれる場所に送り込まれる

そこでは仕事をしなくてよく、余生をのんびり過ごすことができると言われている

ユートピアは定年が伸びているのに対し、これはデストピアが唯一ユートピアに誇れる部分である


ルール6 100万円払うとユートピアに行くことができる

これはデストピアの人間の救済処置である

年に数人ユートピアに行く人間はいるが、その人たちがユートピアでどのような生活をしているかは知らない

そもそもこんなに福利厚生が充実しているのに、わざわざユートピアに行こうと思う奴はほとんどいない


少し変わっているとは思うが俺はこの社会で悠々自適に暮らしている

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