第2話
第2話
美少女さん(仮名)の腹の虫が収まるのを待ち、やっと落ち着いて話せるようになったのは彼女が腹を鳴かせて数分立った後ぐらいだった。
なんでその間に逃げないの?とか言われそうだが、少しでも動いたら目の前で相当な圧を放っている彼女の前で変な行動を取れば何されるかわかったものではないのだからしょうがない。
他にもよくわからない世界のことも知りたかったし、ついでに言えば俺は健全な男子高校生だ。まぁ、ここまで言えばわかるだろう?
そう俺はなんでもいいから美人とおちかづきになりたいのだ。
これは大抵の男子高校生だったら少しでも夢見てしまうことだろう(個人の見解です)。なので俺としては少しでもコミュニケーションを取りたいのだが…
「えっと、冒険者ギルドとか無いですかね?」
「あ?」
「いえ、なんでもないです!」
「はぁ?」
と、このようになるわけですよ。話の共有ならまだしも、別に知らない人と仲良く話せるコミュ力があるわけでも無い のである。そんな勝手に落ち込んだ俺を見て美少女さん呆れたようにため息をついて一言。
「君、僕と喋れるってことは僕と同じで日本から来た人かい?」
彼女がしっかりと話せる人で良かった。そのことに安心する。そしてわざわざ日本から来たと聞いてきたということは、やっぱりここは日本では無いのだろう。少しの不安と少しの期待が湧き上がる。しかし気になることもできた。
「って、僕と同じってことは美少女さんもこの世界の人じゃないんですか?」
そうさっきの言葉についてだ。美少女さんは美少女?とつぶやきながらどこか満足げな表情をしていた。この人チョロい。そう考えていれば彼女も流石に呼び名が美少女なのは抵抗があるのか呼び名の変更を促してくる。
「そうだよ。っていうか美少女さんって誰さ!?流石に美少女さんはないよ。こう見えて僕二十歳だよ?君、学生服着てるってことは高校生でしょう?僕のほうが年上なんだからね!」
はい。普通に注意されちゃったよ。
「そうですけどって、え…年上?」
なんかさっきからめっちゃ驚かされ得る気がする。だって身長とか…ねぇ?
「そうだよ!君ちょっとさっきから失礼すぎるんじゃないかな!?」
うん、流石に少し失礼だったか。身た目で決めるのは今度から気を付けよう。
失礼なのはお互いな気もするが俺はしっかりとしたやつなので謝る。
「あ、すみません」
うん。やっぱ謝罪は必要だよね!見てよ彼女の顔。なんか威厳を見せつけれたみたいな感じでドヤってるもん。どうしよう、この人チョロすぎて怖いんだけど。と、話が脱線した。
「えーと、さっきの人とかも話は通じてなかったんですか?」
「うん。なんか変な言葉喋ってるし、相槌うってたら路地裏に連れ込まされそうだったから逆に利用としたんだ!」
なぜ彼女はカツアゲを自慢風に話しているのだろうか?
「まじですか。じゃあここに来るまでの経緯とかは?」
「うーん、気づいたらここにいたって感じかなー?
しかも前後の記憶もよく覚えてないし」
彼女も俺似たような感じなのか。
異世界転移っていうよりかは神隠しにあった感じに近いのかもしれない。
やばい。最初から何も知らないでプレイさせられるとかどんだけハードモードなんだろうか。
「やばいねー」
彼女はめっちゃ軽い感じで言ってくる。
彼女の辞書にも不安という文字はないらしい。
彼女のにも?■■■■■■■■■■■■■■■
「ちょっと!ねぇってば!!」
「ファイッ」
なんか変な掛け声を出してしまった。
「君は考え事が多いようだな」
「はぁ」
「君に合わせると疲れてしまうことがこの短時間でわかってしまったよ。」
「はぁ」
「ほら、情けない声出して無いでさっさと散策に行くよ!」
ということで勝手に話が決まってしまったようだった。




