片翼の刺繍
ガタゴトガタゴト……
馬車の荷台で、何人もの人と一緒に揺られている
「…アイリス様が……こんな事に……」
「あんなに強いアイリス様が……」
そんな話し声が聞こえる
「おい、何で下を向いている?アイネ」
紅の髪に紅の瞳、まさに小さなアイリスそのもののアイネ
「……ぼくが助けられたら良かったのにな……って………」
もう一度下を向く紅髪の少女に対し
スパーーン!!と、イイ音を響かせたのは屋敷のストック
「…アイリス様は、強かった‼️でも、とても弱いお方でした……」
……アイリス様が、弱い……?
「ええ。アイリス様はいつも、エレナ様、プリム様、そしてシフォンに支えて貰っていたのですよ。つまり、皆に頼っていたのです。」
……皆に………頼って…………
「アイネ、貴方は姫様に言われたのでしょう?タバルに行って、アイリスお姉ちゃんに会いたいと言え、と」
……コク
無言で頷く
「ソレは、誰かに頼る事を覚えなさいと、姫様が仰ったのでは無いですか??」
アイネはハッとした
姫様と会った時に「ご飯も自分で作れる」と言ったら、姫様は「タバルに行きなさい」と言った……
「アイネは、本当にアイリス様そっくりですよ♪」
ギルドの受付のお姉さんが言う
「いっつも誰かの為に頑張って、自分の事は二の次で……アタシは大好き♪……きっと、ワザワザルイステリアへ向かってるこの1団の全員が……アイリス達のファンだね♪」
一緒にルイステリアへ向かっているこの馬車達……………
この数百の馬車が全てアイリスの為に向かっているの………??
モンスターが少ないが、遠回りになるこの草原を走っている馬車達
「アイリス様に会いにいくぞーーーーーーーーー‼️お前らーーーー‼️」
「おおーーーー!!」
「……アタシも、アイリス様みたいになれるかな……??」
真っ白な翼を広げたアイネはストック達に尋ねる
「………貴方なら、きっと……」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
4人の葬儀が終わらない
皆が別れを惜しみ、帰らないのだ
「……まぁ、仕方ないかꉂꉂ(ˊᗜˋ*)笑」
ハルはあきれたように笑う
「お前だって、今「帰れ」って言われたら帰るか??」
レナスが尋ねると
「絶対に帰らない!!( +,,ÒㅅÓ,,)=૩૩フンッ」
チャキ!
「分かってるから刀を抜く気になるな!!ヽ(`Д´#)ノw」
ワイワイガヤガヤワイワイガヤガヤ………
「…………あ、あのローブ……可愛い…♡‼️」
アイリス達への献花に向かう途中にアイネが大きな声を出した
「……そうですね。アイネ様は喪服がありませんから、あのローブがイイかもしれませんね(˶ᵔ ᵔ˶)」
ローブを売っている主人に話し掛けるアイネ
「あのね!コレからアイリス様達のとこに行くの‼️でね、アタシはもふくって言うのが無いからね‼️このローブが欲しいからください‼️」
主人は
……この子は小さいアイリス様そのものじゃないか………
そう感じた
「そうか…!でも、お嬢ちゃんの大きさのはないから、このサンプルしか無いんだ………タダでイイから、コレを着て行ってくれるかな?」
「イイの⁉️(✪▽✪)ありがとう‼️」
ローブを抱えて走って行く女の子
………あのローブはアイリス様が試着したけど、小さかったローブ………
「あげちゃって良かったの?アナタ?」
お腹の大きくなった女性が声をかける
「イイんだ。あの子にきっと似合うからさ………」
「……そうね♪」
ローブを抱えたまま、何とか広場に着いた
既にストックさん達は姫やレナスに挨拶をしている
あ、あの……
緊張しながらストック達の後ろから声をかけると
「アイネ!!」
真っ先に抱き締めてくれたのは姫だった
「良かった……良かった………無事で……………ヒック」
「姫、この子は…?」
アイリスと同じ紅の髪、紅の瞳………先の戦闘を知っているハルは分かっている
だが、あえて聞く
「はじめまして‼️アイリス様のクローンで、アリス様のクローンでもあります!………でも、名前は姫様から頂いた、アイネと言います!!よろしくお願いします!!」
とてもハキハキと答え、そして文句の付けようが無い挨拶だが
「おい、キサマ…」
ハルが言う
「は、はいいいいいいい⁉️」
すぐにアイネの前に立ち、ハルの威圧を抑える
「……ハル………何かする気………??」
病み上がりとは思えない魔力を漏れ出させている姫
横ではレナスが既に抜刀する準備は出来ている
「おいおい落ち着け……私は名前をくれた者を「姫様」と呼んだのが気に入らなくてな」
ゆっくりとアイネの前に座るとハルは
「名前をくれたのなら、お前の家族だろう?呼び方は自分で決めるとイイぞ♪アイネ(˶ᵔ ᵔ˶)」
(* >ω<)ヾ(`ω´ヾ)ワシャワシャとアイネの頭撫でる
「うん‼️ありがとう!!この人はね!アイネのママ!!」
………え??
姫はどうしてイイか分からない
「でね!!ママの旦那さんだから、コレがパパでいっか♪」
「適当な感じはやめてーーーーーー。°(°´ω`°)°。」
皆が爆笑する
その時
アイネが貰ったローブを羽織る
それは
♡のマークと片翼の刺繍が入ったローブだった




