黒翼の天使と翼の無い妹
魔力炉6号機に向かって真っ直ぐ飛ぶプリム
「さすがアイリス♪住人さん達を引き付けつつ、プリムの視界もしっかり確保です(⁎˃ᴗ˂)」
プリムの視線の先にひらけた場所が見えて来た
「あの辺りのはず…」
1度旋回し、住人がいない事を確認しようとしたが、影になってよく見えない場所も多い
「…ちょっと不安ですが、行くのです!!」
魔力炉の正面に降りる
ピースを取り出し、差し込む場所を探すが暗くてよく見えない
「く〜、シフォンかマオ君、連れて来れば良かったのですぅ〜…」
すると、後ろから松明の灯りが照らしてくれた
「シフォンですね!?また身体強化で強化して…さすがの速さなのです!!( • ̀ω•́ )✧」
そのまま振り返らずに差し込む場所を探す
「…あったのです!!」
ピースをはめ込むとカチッと音がした
魔力炉の真ん中にある透明な部分にクリスタルが浮かび、ゆっくりと回転し始めた
「やった!!再起動成功なのです!!シフォン!!早く戻りま……しょ……?」
振り返ると、そこにはシフォンの姿は無く、松明を持った住人が立っていた
「………( ・∇・)」
「三(((((´ω`;)オネガイタスケテ…」
思わず後退りするプリムだが、住人は空いている手を顔の前で横に振って何か伝えたそうだ
「…もしかしてアナタ…まだ正気なの(。´・ω・)?」
プリムが聞くと、必死に首を縦に振る
「そっかぁ…そうだよね。正気じゃなかったら松明なんて使えないもんね…怯えてごめんね(๑•᎑•๑)」
住人はしゃがむと、地面に指で文字を書いた
「カ…イ…ン…?アナタの名前なの??」
頷く住人
「カインは強いんだね。他の人達、もう正気じゃないのに」
カインはまた文字を書き始める
「困ってる人が…いたら…助けて…あげなさい…ママ言ってた……そっか。カインはヒーローなんだね♪」
さらにカインは
「街の人達、助け方、分からない。お姉ちゃん、助けてくれる?…もちろん!!必ず助けるから!!信じて待っててです!!」
カインは立ち上がると、ペコリとお辞儀をして暗い街の中へ消えてしまった。
…早く皆の所に戻ろう
空に舞い上がると、中央広場の方に目を向けるプリム
…明日、陽が登ってあの広場に行けば…みんな、ちゃんと天国に逝けるからね…
その時、新たに撃たれた照明弾により中央広場が照らされる
……人影??
もしかしたら、照明弾の灯りを見て辿り着いた冒険者かも!!
早くお城の事を教えて、今のうちに避難させなきゃ!!!
中央広場に急ぐプリム
…さすがアイリスの血。いつもより速く飛べる!!
中央広場に着き、先程の人影を探す
「この辺りだったのです…」
周りを確認すると
「……姫???」
そこには、アイリス姫と見た目がそっくりな女の子が立っていた
「……アナタ…誰です……?」
女の子は答える……歪んだ笑みを浮かべ
「…アナタ達ですか…見つけた場合は殺せるようなら殺せ…そう言われているんですよねぇ…ヒヒヒ…」
次の瞬間、ソイツの背中から生えた翼。
その色は…
「黒!?!?って事は…魔族!?」
「…少し遊びましょう??(ΦωΦ)フフフ…」
…マズい…コイツの魔力……強い……
間合いに入られる前に空に上がるプリム
「鬼ごっこですかぁ??いいですよぉ…アタシが鬼だね〜…いち、にい…」
全力で羽ばたき、お城へ向かう!!
アイリスの血のお陰でかなりスピードが出せる!
コレならニセ姫だって追いつ
「どうしました??何故止まっているのですか??」
歪んだ笑みを浮かべたニセ姫がすぐ後ろにいた
「ウソ…!?こんなに速いの!?」
「では、た〜っち」
ニセ姫が軽く触れただけのはずなのに、いきなり吹っ飛ばされるプリム
「…こんな……事って……!!」
「プリム!!」
この声は…シフォン!!
「身体強化!!」
城壁の上でプリムを受け止めたシフォン
「大丈夫!?怪我はない!?」
「…大丈夫!でも、アイツ凄く強い…」
上空から見下ろしているニセ姫
「おやおや。今ので潰れてくれると思ったのですがねぇ…仕方ありません」
そのまま突っ込んで来るニセ姫
だが、アイリスの銃弾が行く手を阻む!!
「二人とも!!早くコッチに!!」
アイリスはニセ姫をロックオンし、自動追尾の弾で撃ち続ける
が、どの弾もことごとく躱され、障壁や魔法で撃ち落とされてしまう
プリムとシフォンがアイリスの元に辿り着いた時、すでにアイリスはかなり疲弊していた
「なんで…こんなに速いの…コイツ…ハァハァ…」
ゆっくりと降りてくるニセ姫
その時、やっとニセ姫の顔を見たアイリス、シフォン、エレナ、マオが叫ぶ
「姫様!?」
後ろにいた姫も目を疑った
「くくく……イイですねぇ、その反応。そう、コレはアナタの体ですよ??アイリス姫…」
ニタァ…っと気持ちの悪い笑い方をする
「つまり、お前は紅玉の魔導師…と言うことですね??」
姫が問いかける
「そのとーり!!!アナタの体、魔族化して頂いたんですよぉ〜??魔族は歳をとるのがかなり遅いから長生きなんですよ〜??しかも、見た目はほぼ変わらない。この美しさのままなんですから、イイでしょぉ〜???」
…体を…魔族化…??
紅玉の魔導師
「あの日、神になられたあのお方なら造作も無い事。あのセレモニーの日にね!!」
…やはりアイリスの読み通りって事か…
「つまり、広場にいた数万人に及ぶ人達を…」
紅玉の魔導師
「そう♪ギュッと圧縮して賢者の石を創り…あの方は取り込んだ…そして、残りのひと欠片で私を魔族化してくれたの…♡たったひと欠片であなた達は手も足も出ないのだから、あの方は神以外の何者では無い。」
「随分…余裕なのね…」
エレナが問う
攻撃の魔導師
「当たり前でしょう??現に全力のあなた達の攻撃、当たらないじゃないの??」
アイリスの前に立ち、髪を片側に寄せるエレナ
「まだアイリスの全力は見て無いだろう?アイリス!!」
「うん!お姉ちゃん!!」
エレナの血を吸うアイリス
「…頼むよ…♡」
翼が生え、目の色も変わるアイリス
紅玉の魔導師
「へぇ〜…コレが…」
魔銃を抜き、魔剣モードにするアイリス
しかも両手持ち
一撃で決めるつもりだ
「いいでしょう。来なさい」
誰よりも速く、誰よりも強く踏み込み、そのスピードをも乗せた一撃を放つアイリス
…とらえた!!!
そのまま魔剣を振り抜こうとした
だが…
紅玉の魔導師
「…弱い…弱いですね…」
アイリスの手首を右手で掴み、軽々とアイリスの攻撃を止めた
「アイリスの攻撃が効かない!?」
そのままアイリスを持ち上げる
「イイですか??攻撃とはこういうものですよ??」
「がはぁ…!!」
ニセ姫は動いていないのに、アイリスの体が跳ね上がった
何度も何度も…
跳ねる度にミシミシと音が鳴っている
「アイリス!!お願い!!もうやめて!!」
エレナが叫んだ
「…殺せるなら殺してイイと言われていますので無理ですね。マルス様に」
ドクン……
マオの中で何かが壊れた
「…そ〜かぁ〜…お前、マルスと一緒に俺を封印してくれたヤツかぁ〜…」
マオの体から恐ろしい程の魔力があふれ出している
紅玉の魔導師
「な、なんだお前は…誰だ!?」
「思い出させてやろうか…??」
マオの周りの魔力が黒い霧となり、マオの周りを覆い尽くす
霧が晴れた先には黒い翼を生やし、背丈も大きくなったマオの姿があった
…ただ、魔力が尋常ではない
「思い出したか…?カス野郎…?」
紅玉の魔導師
「ま、魔王レナス!?まさか!?あの封印は完璧だった!!内側から破れるはずなど無い!!外からでも人間に破れるはずは!!!」
「…タダの人間には無理だろうな…だが、ヴァンパイアクイーンなら…」
紅玉の魔導師
「…キサマが…キサマがぁ!!!」
アイリスにトドメを刺そうとする
「…俺の恩人に何しようとしてんだ…??テメェ…」
紅玉の魔導師の目にも写らない速さの一撃を止めるマオ
「…いい加減その手を離せよ…」
紅玉の魔導師が怯んだ瞬間にアイリスを抱きかかえ、姫の所へ運ぶレナス
「少し待っててね。アイリス。(⁎˃ᴗ˂)」いつものように笑う
「…さて…その体は姫のものだ。返して貰うぞ…?」
「ひぃ!!」
逃げようとする紅玉の魔導師の前に回り込み、顔を掴み持ち上げる
紅玉の魔導師
「い、いやだ!!死にたくない!!!」
「…知らねぇよ。んな事。…いや、そうか…死にたくない無いのか…」
クックックッ…と笑うレナス
「なら、死にたいけど死ねない世界に送ってやるよ…」
レナスの足元に展開される召喚陣
「顕現しろ。夢を狩り取る者!!」
ゆっくりと召喚される死神…
しかし、鎌を持っていない
「コイツは死神の亜種でな…魂と旅するのが趣味なんだ…コイツとの旅は楽しいぜぇ…??魂が消滅しないギリギリの苦痛をいくらでも持ってくる…楽しんで来いよ。カス野郎…」
「は!!はなせぇ!!!!」
「連れてけ。」
姫の体から魂のみを引き剥がし、そのまま召喚陣に消えて行った
姫の体を抱きかかえると、手首で脈の確認をするレナス
「…大丈夫だ。姫、体に戻れるぞ。」
ビックリするアイリス姫
「で、では!!また前のように暮らせるのですか!?」
レナスが首を横に振る
「…この体はもう魔族になってる。前と同じとはいかない。だが、アンタが妹とハグしたいなら必要だと思うぜ?」
シフォンに視線を向けるレナス
「お姉ちゃん…」
不安げな目をしているシフォン
決意した目つきで答えるアイリス姫
「…戻ります!!」
「そ〜来なくっちゃな♪」
自分の体に触れるアイリス姫
触れた指先から吸い込まれるように体の中に消えた
すでに空が明るくなって来ている
少し時間が掛かったが、体はほぼ回復したアイリスが体を起こす
朝日が照らす中、抱きしめ合う黒い翼の天使と翼の無い妹の影がとても美しかった




