解毒剤
二人をベッドに寝かせてる間に、メイドさんがお医者さんを呼びに行ってくれた
「恐怖現実…ですか…」
ストックさんに話をするエレナ
「何か治す方法を知りませんか…??」
少し悩んだストックだが、そう言えば…と
「昔、マリン様が恐怖現実は魔法では無く召喚だ。と言っていました。もしかしたら、研究していたのかも…マリン様なら、研究した資料は書斎にとってあるかと…」
「いつくらいに研究してたか分かりますか!?」
「え〜っと…たしかシフォンを迎えに行く前ですから、16〜7年前かと…」
「ストックさん!二人をお願いします!!シフォン!!」
「ハイ!!」
二人はマリンの書斎に急ぐ。
勢いよくドアを開ける
書斎にはいくつもの本棚が並んでいて、まるで図書館のようだ
この中から探すのか…
「きっとマリンの事だから、研究した年代別とか、あいうえお順になってたりするはず!!とりあえず探そう!!」
「ハイ!!」
10分…20分…30分…
数が多過ぎて並んでる法則が全く見えない
焦る二人
急に開かれる書斎のドア
「アイリス様とプリム様が!!」
!!!
急いで寝室に戻ると、お医者さんが二人に点滴をしていた
「ふ、二人は!?」
「余りにも衰弱が酷い。このままですと、明日の夜まで持つかどうか…」
…そんな…
「…落胆してる暇は無い!!皆!手伝って!!」
数名のメイドを残し、屋敷の人達総出で書斎の中で研究資料を探す
これも違う…これも違う…
時間ばかり過ぎて行く
途中、厨房の人達が食べながら探せるようにとサンドイッチを作って来てくれ、食べながら探す
だんだん空が明るくなってきた…
すると、メイドの1人が
「エレナ様!!コレを!!」
持って来たのは日記
そこには恐怖現実について書かれていた
「ありがとう!!みんな、休んで!!本当にありがとう!!」
真剣に日記を読む
そこにはこう書かれている
恐怖現実について
なぜコレは魔法では無く召喚なのか疑問に思った。
私も含めた何人かが使えるが、皆、幻術の類いだと思っていたようだ。
だが、使用する際に展開されるのは召喚陣。
一体何を召喚しているのか知っておいた方がイイだろう。
かなり魔力を抑え、少しの霧を召喚し、袋に集めて落ち着くのを待った
袋の下に溜まったのは一見すると砂のようだが、ルーペで確認すると砂とは違い、1つ1つに縦縞の同じ模様が入っているのが確認出来た
そこで、1つの仮説を立ててみた
コレは植物の種なのではないのかという事だ。
「植物の種…」
もう夜遅い。明日、庭で試してみよう
2日目
まずは日向と日陰、両方に撒いてみた
日向は変化が無いが、日陰ではすぐに変化が起きた
花が咲いたのだ。
4枚の細長い花びら
妖精の羽根のような見た目だ
とても甘い香りがする
一時間程すると花は下に落ちてしまい、茎や葉も枯れてしまった。
もう一度日陰に種を撒き、花が咲いたらすかさずシャベルで日向に移そうとしたのだが失敗した。
根が生えていないのだ
つまり、土の上に乗っているだけだ。
もしも根が生えれば自生するのだろうか?
次に、花を切ってみる事にした
正直驚いた
花を切った瞬間に、花びらがまるでクリスタルのように変化したのだ
香りを嗅ぐととても甘い香りがした。
試しに舐めてみるとほとんど砂糖だ。
紅茶に混ぜてみたが、何の問題もなく砂糖だった。
そのまま夜になったが、体に変化はない
また明日、実験してみようと思う
3日目
目覚めるとやけに体が軽い。
昨日いつもと違う事をしたとすればあの花びらを摂取した事だけだ
今日も花びらを採取し、本格的に実験をする
その前に、恐怖現実を使える知人達に連絡を取り、今の実験の事を伝えた。
同じ現象が起こるか試して貰う為だ。
そして、これから自分に恐怖現実を掛け、花びらを溶かした水で解毒を試みることも
メイド数人に私が震え出したらこの水を飲ませてくれるように頼み、自分に恐怖現実を掛けた
実験は成功した。
人や動物に寄生すると精神を侵す毒となる植物だが、地面に生えた物であれば解毒剤になるようだ
他の知人達もほぼ同様の結果になったようだ
ただ、味については術者によって違いがあるようだ
「つまり、地面に生えている花を見つけられれば…」
「二人を助けられる!!!」
エレナとシフォンは喜んだ
寝室に戻り
「助け方が分かりました!!誰か、恐怖現実を使える人はいませんか!?」
急に空気が重くなる
「…申し訳ありません…あの様な高等召喚…出来る者はこの街に…おりません」
ストックさんが俯きながら言った
「そんな…」
愕然とするシフォン
外はすでに日が高くなっている
「…諦めない…この前、ワニを追い払うのにアイリスが街の周りに召喚した!!1輪くらいあるかも知れない!!!」
走り出すエレナ
後を追うシフォン
「イイ!?見つかっても見つからなくても、日没前にギルド前に集合!!アタシは左回り、シフォンは右回りね!!」
「分かりました!!」
木の影や岩の影など、余り日が当たらない場所をメインに探す
必死になり過ぎて、枝などでかなりの傷が出来ているが構わず探し続ける二人
似た花を見つけるも、花びらが5枚
花を切っても花びらが変化する物は無かった
間もなく日没
お互いに相手が見つけている事を願いながらギルド前に集合
落胆するしか無かった…
「せめて…一本だけでイイの…誰か…助けて…」
「ママ〜、もうすぐハチミツのお花取りに行かなきゃ〜」
「そうね。明日の分、もう無いもんね♪これから取りに行こうか♪」
「うん!!」
ハチミツの…お花…??
…もしかしたら
「すいません!!あの、ハチミツのお花って…」
「あ、エレナ様!!日没の時間になると咲くお花なんですよ♪不思議な花で、花を切ると花びらがクリスタルみたいになるんです(⁎˃ᴗ˂)」
!!!!!!!!!
「その花!!生えてる所に案内してもらえませんか!!!」
不思議そうな顔をするお母さん
「いいですよ♪一緒に行きましょう♪」
案内された場所は、街の入り口を出てすぐの場所
そこには何の変哲も無い雑草が生えているだけだった…
「もう…誰かが…」
しゃがみこむエレナとシフォン
太陽が沈み、二人の影が見えなくなった時だった
カサ…
カサカサ…
二人が顔を上げるとそこには
一面に咲く、薄いピンクをした4枚の花びらを持った花が咲いていた
「ほら、エレナ様!!」
女の子が花を切ると、花びらがすぐにクリスタルのようになった
「こんなにたくさん…」
「この子達ね、凄いんだよ!!シッカリ根っこ生えててね、全然抜けないの!!」
「毎日、日没の直後になると満開になるんです。いくら採っても、次の日にはまた咲いているんです。」
…話が違うじゃん…マリン…
「この花、アイリス様がワニを追い払ってくれた日の夕方から咲いてるんです。だから街のみんなはアイリスの花って呼んでます」
「強くて、優しくて、他の人に甘くて、何度でも立ち上がって笑顔を振りまく。アイリス様でしょ??(⁎˃ᴗ˂)」
涙が止まらない二人
でも、時間が無い
お礼を言い、花を2輪採ると屋敷に走る
屋敷に着くとすぐに厨房で水を2杯貰い、クリスタルになった花びらを入れる
花びらはあっという間に溶けた
寝室に向かう二人
扉を開けると、衰弱仕切ったアイリスとプリムの姿
すぐに二人の上半身を起こし、水を飲ませようとする
しかし…
衰弱仕切った二人の口からは水が溢れるだけで飲む事が出来ない…
すぐに自分の口に水を含み、アイリスに口移しをするシフォン
しかし、飲んではくれない…
…舌を刺激すれば…反射的に飲んでくれるかも…!!
自分の舌をアイリスの舌に絡ませるシフォン
…お願い…飲み込んで…!!!
…ゴク…
…飲んだ!!
数秒で目に生気が戻って来たアイリス
プリムにはエレナが同じように口移しで飲ませたようだ
「…シフォン??」
アイリスに抱きつき、泣きじゃくるシフォン
「良かった…良かった…♪」
「…助けてくれたんだね…ありがとう…」
シフォンの髪を撫でるアイリス
ぐぅぅぅぅぅ…
かなり大きい音でなったお腹の音
「お腹空いた人〜」
その場にいる全員が素早く手を挙げる
「…あはははははははははは♪」
厨房の人に頼んで、寝室で一緒に食事をする4人
「へぇ〜!!シフォン、そんなに強いんだぁ〜!!見たかった…(๑•́ ₃ •̀๑)ショボン」
アイリスが残念そうな顔をする
「そ、そんな強いワケじゃ…( ,,>_<,,)」
「お酒は強いよね〜♪ウイスキーをラッパ飲みしてたしwww」
「ワイルドwww」
「\(\(\(°○°;)/)/)/アワワワ」
「でもさぁ…」
プリムが呟く
「昨日の今日でこのご飯にする必要ある…??」
アイリスとプリムにはパン粥のみ
エレナとシフォンにはかなりスタミナがつきそうなオカズがたっぷり
「それくらい衰弱してたの♪二人はね♪」
( ゜д゜)ハッ‼︎
何かに気付いたアイリス
「つまり、アタシとプリムが元気になれば美味しいご飯食べられるんだよね??」
「そりゃそうでしょ??」
不思議そうなエレナ
プリムに目配せするアイリス
意図を瞬時に理解するプリム
「じゃあ…」
ジリジリとシフォンに近寄るアイリス、エレナに近寄るプリム
「…ま、まさか…」
「いっただっきまーす!!♪」
なす術も無く噛み付かれ、血を吸われるエレナとシフォン
こうして、なんとか一命を取り留めたアイリスとプリム。
書斎には、一冊だけ落ちているマリンの日記
風で1枚ページがめくられた
4日目
ルイステリアから驚くべき報告が届いた
あの花が根を生やし、自生したという。
花びらの味は砂糖よりもハチミツと言ってイイ程だという
やはり、術者の性格や考え方で味や強さも変わるようだ。
術者はルイステリアの王女
とても真っ直ぐで優しい子だという
もうすぐ二人目の子も産まれると言うし、落ち着いた頃に会いに行ってみるとしよう
会うのが楽しみだ
アイリス=ルイステリア




