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転生してから3日が経った。
わかったことは少ない。私の名前はリーゼ。5歳。苗字はない。
苗字があるのは貴族のみ。私は平民の生まれ。
家計は日々を過ごすのに問題はないが余裕もないといったところ。
家族は両親と姉がいる。
父親の名前はクルト。金髪で赤色の目。やや厳つい顔をしている。
門番の仕事をしており、町の治安を守るために働いている。
母親の名前はミシュア。紺色の髪に青い目。こちらの世界の基準はわからないが美人だとは思う。
仕事は裁縫職人である。
姉の名前はクレア。私の一つ上であり母親の容姿と似ている。
私の容姿についてはわからない。この世界かどうかは検討が付かないが私の周りには鏡というものがなかった。
3日間何をしていたかというと、大人しく寝かされていただけであった。
家族の様子からして、私はどうも健康体とは言えないようだ。
熱を出すのは当たり前。熱を出したら3日ほどは布団とお友達。
本もなければ、紙も希少なもの。することもなく大人しくさせられていたということだ。
今日からベッドから起きることを許された。
姉のクレアは朝早くから森へ行っているようだ。私も森へ行きたかったが全員から止められた。
なので自由時間ということだ。家の中を探検してみることにした。
まずは自分が今どんな姿をしているか確認を取る為にも鏡を探そう。
この部屋から出るための扉は一つ。この部屋はどうやら寝室のようだ。
寝室の割には汚い。靴を家の中でも履く西洋式だから仕方ないのかもしれないがこれはあまりにも酷い。
私は綺麗好きとまではいかないが人並みには掃除はしていた。
鏡を見つける前にまずはこの部屋をどうにかすべきだろうか。
どちらでも良いがとりあえずこの部屋から出なくてはならない。
ベッドから起き上がり靴を履いて扉の前まで来てみたはいいが一つ問題が起きた。
ドアのフックに手が届かないということだ。
私の身長が低いのかこの家の構造が大きめのお父さんに合わせて作ってあるのかわからないが届かないのだ。
どうすべきだろうか?
一度ノックしてみる。
そうするとドアが開いた。どうやらお母さんが隣の部屋にいたようだ。
「リーゼどうしたの?」
「元気出たから部屋の中を探検しようと思って。」
「探検ってもう5年も住んでる家でしょ。何も変わらないわよ。変な子ね。好きにしなさい。無理をしてはだめよ。」
隣の部屋はどうやら居間のようだ。そこから出る扉は二つ。
この部屋に鏡らしきものはない。絵本のようなものも置いていない。
となるとこの二つの扉のどちらかが書斎かシャワー室に繋がっており、どちらかが玄関と言ったところか。
まずは近くにあった扉の方へ向かう。
ここもまた自分の身長では手摺に届かずお母さんに開けてもらう。
扉の向こうにはガランとした空間が広がっており、斧などが置かれているようだ。どうやら物置部屋のようだ。
この部屋の向こうに行く扉はない。
だとするともう一つの扉が玄関とするなら本当に何もない家である。
仕方ないので寝室の掃除をするとしよう。
「お母さん、掃除道具貸して。」
「あら、掃除してくれるの?でも十分綺麗よ。」
「えっ?これできれいなの?全然何日も掃除してないじゃん。」
「昨日掃除したばかりよ。」
これはだめだ。衛生というものがわかっていない。
私が頑張らないと。ここで生きていくためにはこの人達の衛生面の考え方を変えていかないと。
そのためにはまずは私から。
掃除開始だ。