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11回目の転生目録  作者: 上代 迅甫
第二章
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第二章 プロローグ

この物語は、ただの創成物語(フィクション)である。

 この世には絶対に相容れない存在が幾つか存在する。その例として挙げられるのは以下の通り。


 水と油

 猿と犬


 そして、人間と(ドラゴム)──



 昔からそんな(ドラゴム)と人間の因縁は深い。



 それは神話と呼ばれる太古から続く、長きに渡る対立──


 (ドラゴム)は頂点捕食者。

 生まれながらの強者にして、絶対なる支配者。

 神すらも恐れぬその気質は、常に高みを目指し、ありとあらゆる生物を征する圧倒的存在。


 誰も彼もが奴らにひれ伏す。

 まるで生物としての細胞1つ1つに彼らに対する恐怖が植え付けられているかのように畏怖し、(ひざまず)く。


 数千年前まで、地上は彼らの世界だった──。

 だが、そんな(ドラゴム)に果敢にも立ち向かう愚かな生物が存在した。


 それが"人間"だ。


 彼らはその強さに憧れ、それを欲した。

 支配される側から支配する側へ

 弱者から強者へ

 渇望し、鍛え、上を目指す欲望──人間はそれを持ち合わせていた。


 無論、それに対し(ドラゴム)は挑む者には容赦はしない。


 時には1つの国軍を討ち滅ぼし、時には返り討ちに遭い、国を消し炭にされた。

 それによる被害は甚大。心半ば討伐に折れる者もいれば、彼らを崇める者を出始めた。


 しかし、人間は諦めが悪かった。


 ある者達は数で押し攻め、ある者は策を張り巡らし、またある者は力で圧倒した。


 一進一退の均衡状態──そんな中、1体の(ドラゴム)が生まれた。


 彼は生まれながらにして(ドラゴム)の王。総てを統べる為に生まれてきた生物界の最強。


 そんな彼はたった1体で瞬く間にこの世の勢力の均衡を一変させた。


 その炎息(ブレス)は地を焦がし、

 その風圧は嵐をも呼び起こし、

 その爪はあらゆるものを無に帰す。


 人間も、獣も、同じ(ドラゴム)さえも、彼を恐れた。


 いつしか人々は、彼をこう呼ぶようになった。




 龍帝(りゅうてい)──と。




 そうして、それまで競っていた人間と(ドラゴム)の均衡が一気に逆転し、流れは(ドラゴム)の時代となった。


 しかし、彼はとある時を機に姿をくらました。


 対魔戦争──

 そう、魔王に戦いを挑み……そして──敗れた。


 それからというもの、人間と(ドラゴム)は均衡状態を保っている──いや、そんなわけがなく、人間が圧倒的に優勢となっている。


 人間が(ドラゴム)を狩るようになったのだ。


 爪や牙は工芸品の、表皮は革製品の、鱗は防具の素材となり、コアはオリハルコンとされるほどの希少品として扱われ、魔道具の一部として高値で取引されている。


 それは現在も続いており、対魔戦争が終わって以来、人間が世界を統治している。




 このように、人間と(ドラゴム)は接することはあっても、決して仲を交えることはない。




 私は、ずっとそう思っていた。




 ──そう、あの時までは。

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