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11回目の転生目録  作者: 上代 迅甫
第一章
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第一章 プロローグ

この物語はただの創成物語(フィクション)である。

 古来より、この世界には"人間"という生物が支配者として文明を築き上げている。更にこの人間という生物には主に7の種族がおり、それぞれがそれぞれの特徴を持っている。


 数が多く、得意不得意の無い平均的な身体能力を持つ『真人(ヒューマ)』──


 体毛が濃く身体に獣の一部を持ち、洗練された運動神経を持つ『獣人(ビスタ)』──


 長い耳と背に羽を持ち、高度な魔法文明を築き上げた種族『精人(エルフィ)』──


 背に翼を持ち、高い知能と世界のあらゆる情報を把握する『天人(エジェル)』──


 頭部の角か特徴で、高い技術を持ち、数々の発明をしてきた『地人(ドワルフ)』──


 身体に鱗を持ち、唯一水中での長期活動が可能で独自の文明を持つ『海人(セイレス)』──


 そして、最後の種族『魔人(デュラン)』──



 この主な7の人間が主に今日の世界を創り上げている。



 だが、かつて世界ではこの人間達によって、2度の世界大戦が行われていたことを忘れてはいけない。



 その内の1つが『種族間大戦』──又の名を『大国戦争』。


 その起源は、種族間による種族至上主義の争いである。


 史実では、最初の戦争は真人(ヒューマ)による獣人(ビスタ)の虐殺事件が発端と言われている。

 真人(ヒューマ)側の裁判による判決が獣人(ビスタ)の納得のいくものではなく、論争から真人(ヒューマ)による実力行使に発展。

 その様子を第三者で傍観していた精人(エルフィ)天人(エジェル)はそれを仲介するが、真人(ヒューマ)はこれを拒否。

 その最中、更に種族至上主義を掲げる人物が地人(ドワルフ)族長に就任したことで、周囲の国に侵略を進める。地人(ドワルフ)のよる突然の攻撃を受け、混乱した獣人(ビスタ)は周囲を無差別に攻撃してしまい、精人(エルフィ)天人(エジェル)もこれに応戦。

 そして今まで、中立に徹していた海人(セイレス)やその他の種族も侵攻を受け、この情勢に警戒し、巻き込まれる形で戦場に加わることとなる。


 当時の世界は狂っていたという。


 始めは他種族を(さげす)み、自分達が格上であると信じてやまない盲信者(もうしんじゃ)らが下らない理由で起こした侵略行為であったが、後に各種族内部で2つ、3つと意見が分かれ、同族間でも対立状態となり、結果12の国々が同じく大陸統一を目指して(しのぎ)を削る戦いを見せることとなった。

 どの種族も他種族を殺すことに躍起となり、日々、殺戮兵器・殺傷魔法の研究と研鑽を続け、国は貧困で溢れていた。


 勝てば全てが変わる。全てが終わる。

 そう信じて、ただ戦場に赴いては殺し合いを続けた。


 奴らが悪い。この貧困は、この不幸は、全て他国に起因する。

 そう信じて、責任をを擦り付けては、自分達も愚行に身を捧げた。



 この戦争は終わりが見えなかったという。



 だが、137年前──この戦争を集結させる原因が発生する。


 事は唐突に起きた。


 大陸の西、ガルダーナ公国の首都が一夜にして占拠されたのである。

 後に呼ばれる『ガルダーナの悲劇』と呼ばれる出来事である。


 進行を始めた者の名は『マモン』。

 神が自ら創りし『七つの神獣』の内の一つ、"強欲"を司る神獣『魔王』である。


 魔王はガルダーナ公国を居城とし、すぐさま周囲の国々に伝号兵を送った。内容はガルダーナ公国の実質支配による報告と他の11の大国に対する宣戦布告──人類の隷属と世界の統治を目的とし、次々と大国に攻め入った。



 これが先に述べた2つの大戦争のもう1つ──『対魔戦争』である。



 その3年後には隣国の軍事国家『バルバロス』を──

 その9年後には北西に位置する大国『エステラ王国』の王都が陥落──

 日夜、その勢力を広めつつある一方だった。


 そこで、争っていた残りの九大国は王を一同に呼び寄せ、会議に乗り出した。

 内容は一時休戦と魔王の討伐に対する共同戦線──。

 人類の危機に一丸となることを決意した九大国は対魔騎士団『シュバルツ』を結成、魔王勢力と接戦を喫することとなったが、とある存在の登場で、戦況が一気に変動することとなる。



 人は過去にも先にも彼のことを『勇者』と呼んだ。



『勇者』が戦線に立ち、初めて戦果を上げたのは『シュバルツ』が誕生してから18年が経った頃だった。



 そして遂に──



『対魔戦争』開始から32年、今から105年前、勇者によって魔王が封印されることとなる。



 勇者は激しい闘いの中、その身を呈して戦死と相成るが、その力は後世の者に引き継がれるものとなる。


 彼はその後、人類を救った『英雄』として伝説の語り草のなった。


 一方で、この戦争で互いに協力し、互いを認めあった9つの大国は会談を開き、そこで大国戦争の和睦を承認。ここに停戦を宣言し、100年以上続いた戦争はようやく終焉を迎えたのである。



 それから105年──世界は、人間は平和に満ちていた。



 だが、平和はいつまでも続くものでは無い。始まりがあれば終わりがある。その、平和の終わりも今まさに迎えようとしている。

 3度目の世界大戦が起きんとしているのは、まだこれから先の話のことである──

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