国有地を購入せよ! ――逆襲のタケノコ派
※これはフィクションです
実在の個人・団体を誹謗中傷する意図も、擁護する意図もありません
手軽なネタのストックがなかったので、ニュースをチェックしてる時に思いついたネタでしばらく書いてなかった分のリハビリをしよう、というのが唯一ある意図です
※万が一この作品を見て、現実の出来事についてひらめかれた方は、落ち着いて考え直してみてください
たぶん、そのひらめきは間違ってます
メイジ歴二〇XX年、世界はキノコに包まれた。
「我らが祖国タケノコ帝国が、第二次キノコ・タケノコ大戦においてキノコ連邦の圧倒的軍事力の前に敗北してより七十年が過ぎた。戦後の激しい弾圧を乗り越え、戦前の国教であったメイジ教タケノコ派は、なんとか一宗派として後ろ指を指されぬ程度には地位を回復した。同志Aよ、今こそさらに一歩踏み出し、キノコ派に汚染され尽くした祖国を再びタケノコの威光であまねく照らす時が来たのだ!」
「教主様! これまではネット発の草の根活動や著名人たちによる啓発活動などを中心に行ってまいりました。しかし、この方針では、未来を担うべき子どもたちへの訴えかけが不十分です。そこで、小学校を作り、タケノコ派の教えを広めましょう!」
「おお! 世には、キノコ派を始めとする外来宗教系学校はあれど、現在伝統的なタケノコ派の学校は一校も存在しない。ぜひ小学校をつくろう!」
「実は、土地の目星もついているのです。西の旧都近くにかつて騒音問題で国が買い上げ、現在は空き地となっている土地があります。騒音問題もすでに片付いて、現在では小学校用地として申し分ありません」
「よし、行くぞ同志A! 国有地を購入せよ! 国の国有地売買の担当部署へ急ぐのだ!」
「いらっしゃい、こちらは国有地管理局。あー、小学校を作りたいから国有地を買いたい? 言われてもねぇ……。ただの希望じゃこっちも会議に上げることすら出来ないんだよ。地元州政府傘下の教育審議会で小学校の設置認可貰ってから来てよ」
「はいはい。こちらは教育審議会窓口ですよ。あ、小学校の設置認可申請ですか。でしたら申請書類を……ん? 用地を買えてないどころか賃借も出来てない? つまり土地のアテがないんですよね? 先に土地を買うなり借りるなりしてから来てくださいね。じゃないと、審査に入る以前の問題なんで」
「はいこちら国有地管理局、ってあなたですか。認可は貰って来た? え、ダメだった? じゃあ帰ってよ。向こうで土地を先に用意しろって言われたとか言われても、規則なんでねぇ」
「次の方どうぞー! って、またですか。土地を買うために小学校認可出せ? あのねぇ、あなた教育審議会舐めてるんです? 教育審議会は、学校として相応しいかを審議する場であって、あなたが土地を買うために居るんじゃないです。規則上、そんなことのために協力できないのでお引き取り下さいねー」
「クソッ! 縦割り行政など滅び去れ! そこは上手く横で連携取れよ! たらい回し反対!」
「教主様。こうなれば、我らのような小物相手に役人どもがまじめに仕事をするとは思えません。彼らに給料分の仕事をさせられる然るべきところから圧力を掛けましょう」
「同志Aよ、キノコ派のためならば情報改ざんでも報道しない自由や編集権の行使でもなんでもやる主義者どもが中枢を握る帝国報道業界組合に加盟している連中のことではないのだろう。あの業界の若手には同志も少なくないが、彼らが頑張ってもタケノコ派の小学校などのための記事など、各報道局や新聞社の幹部連中がもみ消すに決まっているからな」
「ええ、与党議員の先生にお頼みするのですよ。小学校予定地の地元選出の大物先生が、ちょうど以前うちの団体の集会で講演をお頼みしたご縁があります」
「よし! だったら早速行ってくる! 同志Aよ、アポは任せたぞ!」
「ふむふむ、縦割り行政の弊害ねぇ……」
「はい。もう一つの話が進むまではこちらも進めないと両方に言われては、こちらは永遠に小学校を作れない。審議結果として落とされるならともかく、審議すらしないのはおかしいと思いませんか? そこで、役人連中がしっかり働くようにお力添えが欲しいとのです。他に頼れるところもなく……。あ、こちらお土産です」
「お土産? なんだね、これは」
「先生も議員として献金がなければ活動費が足りない仕組みですのに、貴重ない時間を頂いてお力をお貸しいただくのです。こちらは、我らタケノコ派からの誠意――」
「ふざけるな!」
「えぇ!?」
「こんなコンニャクで政治家を動かそうなど、その発想がふざけている! 私に対する侮辱だ! 教育者としてお前は失格だ!」
「違います! 縦割り行政でたらい回しで困っていてですね、どちらも互いの許可が出たら審議するなら、互いの動きを連絡し合いながら並行して審議してくれてもいいじゃないですか! 別に結果を捻じ曲げろとかじゃなくて、しっかり仕事してほしいって要望なんです! 議員ってのは、こうやって困ったときに力を貸してくれるものじゃないんですか!?」
「金でどうこうしようなど論外だ! お前は出入り禁止にする、帰れ!」
「なぁ、どうしろってんだよぉ……ちょくちょく政治献金のお願いとか送ってきてたの向こうじゃないか……こっちはATMかよぉ……黙って金を貢ぐ機械かよぉ……」
「教主様、小学校建設の見積もり作ってきましたよ」
「同志Aよ、今はそれどころでは……って、何だこの金額!? 土地だけで十五億ノッコ、さらに建物で二十億ノッコを越えるだと!? いや、銀行でローン組んでもとてもこんな大金は……」
「大丈夫です! 国有地管理局の局長が最近交代したんですよ。まあ、役人なんで元々数年で交代するんですが、今度の局長は前任者と違って勤勉らしいんです。だから、きっとこちらの言い分も聞いてくれますよ」
「いや、でも予算が……」
「これ、数年前のとある学校が買おうとした時の提示金額らしいんですけどね。新聞社なんか時の宰相に直談判して安値で国有地買ったとか、キノコ派の学校はいくつも相場の十分の一の賃料で借りたり買ったりしたりもしてるんです。この土地を先に買おうとした学校のは、その辺の交渉のない金額なんですけど、たぶん勉強が足りなかったんです。ですから我々は、しっかり先例を調べ、ちょっとでも『適正』な価格で購入するのです!」
「おお、よくやったぞ同志A! さっそく交渉だ!」
「ちょっといいかね?」
「あ、はい。大丈夫ですよ、局長」
「我らが国有地管理局に、タケノコ派系の小学校を作りたいからって言ってきてる案件あるよね?」
「ええ、まあ」
「それ陳情して来たんだけどさ、やけに先例とか詳しいんだよねぇ。悪いことじゃないけど、逆に怪しいと言うか……ちょっと、学校設置認可の方を調べといてくれる? そっちだけちゃんとしてたら、要件満たすんだけど、うちの管轄じゃないからよく分からないのよ」
「はい、了解です」
「ちょ、ちょっと良いですか、議長?」
「うん? 何事かね?」
「実は先日から、国の国有地管理局からこの教育審議会へ、タケノコ派小学校の認可について何度も問い合わせが来てるんです」
「国の機関が、何ごとだ?」
「いや、国有地を売るにあたって、うちの小学校の認可がどうなってるかと」
「……確か、あの財政的にちょっと危ういところか。あと、小学校経営の専門家を雇っている様子もなかったな。――で、何度も問い合わせが来てると?」
「はい、先日から何度も直接お越しになってます」
「うわぁ、国が動いてるのに、うちが拒否なんてやりずらいなぁ。普通に考えたら却下だけどさぁ、責任とかさぁ……」
「同志Aよ、進捗はどうだ?」
「はい。帝室の方を名誉会長に迎えてスポーツ大会が知名度上昇を狙った事例を参考に、宰相夫人を名誉校長にお迎えしました。名誉職ですしもともとタケノコ派に理解のある方でしたから、多忙なことと政治家の夫のためには友好的な団体が頼って来たらまず受け入れてもらえるだろうって読み通りでした」
「よしよし」
「あと、建設予定地の州知事が規制緩和を訴えている方だったので、他の州よりも厳しい学校認可の財産要件の緩和をお願いして実現してもらいました」
「ロビー活動そのものは問題ないし、利害のある事項について合法的に有利に動かそうとするのは当たり前だけどさ。変なお金とか動かしてないよね?」
「大丈夫です! それより、提出書類見たら金額の違う見積もりが三種類ばかりあったのは……」
「それ? 全部提出先が違うんだけどさ、よくそれぞれの要項を読み込んだら、どれも文言が少しずつ違ってるんだよね。だから、それぞれの要項に従って見積もり金に入れる範囲を変えたのを作ってもらったのだ! 同志Aを見習い、しっかり勉強して見た! まあ、問題あったらクレーム入れてくるでしょう。まさか、適当に素通しなんて雑な仕事してるわけでもなし」
「それは素晴らしい! では、認可は大丈夫でしょうから、具体的な建築の打ち合わせや生徒の募集など、やるべきことを頑張りましょう、教主様!」
「いやぁ、最初はどうなることかと思ったが、土地も買えて校舎ももうすぐ完成だし、最近は順調で楽しい限りだ。教主として先代までの方々に胸を張れる! っと、今日も朝のニュースチェックっと。報道でタケノコ派を不当に貶める不当報道がないか確認せねば」
『朝のニュース。今日はまず、国有地を不当に安く買いたたいた事件からです』
「お、悪いやつもいたものだな」
『タケノコ派現教主は、国有地を相場の半分以下で買いたたき、しかもゴミが出たなどと言ってさらに値引きを受けてほとんどタダのような金額で譲り受け――』
「タケノコ派教主? ……え? いや、先例出して訴え出ただけで、あれ?」
『さらに、現役与党議員に金銭を渡して「力を貸すのが仕事だろう」などと言っており、ここでは断られたものの、訴え出た内容で要求が通っていることからどこかから不当に圧力を掛けたのは決定的であって――』
『宰相夫人が名誉校長であることから、宰相の名を使ったと思われます。現に、長らくたらい回しだった案件が短期間にまとまっていることから教主の関与は確実で――』
『なんと、規則を自分の有利になるように改正してほしいとの陳情をするなどと言う言語道断な行為をしており――』
『邪教タケノコ派教主を許すな! なんてひどいことだ!』
「……あれー?」
※これはフィクションです
実在の個人・団体を誹謗中傷する意図も、擁護する意図もありません
手軽なネタのストックがなかったので、ニュースをチェックしてる時に思いついたネタでしばらく書いてなかった分のリハビリをしよう、というのが唯一ある意図です
※万が一この作品を見て、現実の出来事についてひらめかれた方は、落ち着いて考え直してみてください
たぶん、そのひらめきは間違ってます
大事なことなので二度(ry
あと、本作に限っては、現在進行形のニュースに関することなどを感想に書かれた場合、私の判断で内容がよっぽどの場合には削除したり、削除せずとも感想返しを行わない場合があります。
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