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Day -9 高校ライフ②

「あれ、ここどこだよ・・・」


目の前に広がっている光景は真っ白な雪景色。


ここは何処なのか。


後ろから波の音がした。

振り返ってみるとそこには海が広がっている。

地平線には日没前なのか夕日が見える。


ここはどうやら高地らしく海から少し視線を下げると港町が見えた。


「∫∠∂£¢¢¤§¤¤µ!!」


聞こえるけど理解できない声がした。

横を見ると隣には涼宮がいる。


なんでこんな所にいるんだ?


ますます状況が理解出来なくなった。


涼宮は颯人の手を掴みゆっくりと海の方へと歩き始めた。


まるで、何かを惜しんでいるように・・・



視界が突然暗くなった。



次の瞬間には颯人は出航し始めた船に乗っていた。

クルーザーのような船だ。

船には颯人1人。


岸には涼宮の姿が見える。

颯人に向かって笑顔で大きく手を振っている。


なにやってるんだろう涼宮・・・


また疑問が増えた。


しかし、そんな颯人の気持ちをお構い無しに船は夕日の方向へと向かって進み続ける。

段々涼宮が遠ざかって行く。


颯人の目から何故か涙が溢れた。

訳が分からない。


海から冷たい風が吹き、涙が冷たい。


そう思った瞬間、再び視界は真っ暗になった・・・





------------------------------------




目を覚ますと颯人はベッドの上に横たわっていた。



カーテンから漏れている太陽の光が眩しい。

颯人は上半身を起こし周囲の確認をした。


右を見ると颯人の寝ていたベッドの他に2つのベッドが並んでいる。

2つとも真っ白いシーツがシワなく綺麗に敷かれている。

颯人はどうやら一番窓際のベッドで寝ていたらしい。


正面を見ると窓に向かって机が置かれていた。

生徒用ではなく教員用のだ。

机の上にはノートパソコンと数冊の本が積み重なって置かれている。

机の後ろには横長のベンチが置かれており絆創膏などの医療品が置かれていた。


「保健室っぽいな・・・」


颯人は失神によって保健室に運ばれたのだ。


「あれ、なんで俺失神したんだっけ・・・確かクラス分けの掲示板を見てて・・・」


・・・・コトッ


その時左側から物音がした。

颯人はまだ確認していなかった左側に顔を向ける。

するとそこにはセミロングの茶色い髪の毛を持つ少女が御見舞用の背もたれのないイスに座りながら寝ていた。


「す、涼宮っ・・・!?」



なんで涼宮がイスに座って寝ているのか理解出来なかった。


混乱し理解できない状況の中、彼女は目を覚ましこちらを見てきた。


「あれ舞鶴、目を覚ましたの・・・?」


「・・・・・」


「いや、黙ってないで何か言ってよ・・・」


黙ってしまうのも仕方ない。

ずっと片思いしていた女の子が目の前にいるのだ。


落ち着け自分。

とりあえず返事をしなくては・・・


「・・・いい天気だね」


「・・・・・・・?」


まあそりゃそうなるよな!!

いや違う、まず先に聞きたいことがあるだろうが・・・


「な、なんで涼宮がこんな所にいるんだ?」


「えっ・・・もしかして覚えてないの?」


「いや、掲示板でクラス分けを見てたところまでは覚えてるんだけど・・・その後の記憶が消えてるっていうか思い出せないっていうか・・・」


「ってことは私が舞鶴の背中に頭突きしちゃったの覚えてないのね・・・」


「・・・・頭突き!?」


「そう頭突き。ほらあの時掲示板すごい混んでたじゃない?だから前の列に行くためにお辞儀の姿勢で人混みに突っ込んだのよ。そうしたら突っ込んだ先に舞鶴がいたってわけ。」


「なるほど・・・」


「ほら、さっさと帰ろ?」


「帰るって始業式は・・・?」


「何言ってるの。そんなのとっくに終わってるって。ほら時計を見てみなよ。」


颯人は言われたとおり自分の右腕につけている腕時計を見た。

時間は16時ちょうどを指していた。

この時間帯だともう俺ら以外全員生徒は下校しているだろう。


「あれ、なんで右腕に時計つけてるの?」


「ああ、俺左利きなんだよ。」


「ふーん。左利きの人って右腕に時計付けるんだ。知らなかった。」


「ってそんなことはどうでもよくて・・・今帰るって言った?」


「言ったけど。」


「2人で?」


「仕方ないじゃん。怪我人一人で帰らすわけにもいかないし・・・」


「・・・・」


「・・・・」


なんとも微妙な空気が室内に流れた。


確かにずっとこうしているわけにもいかないので颯人はベッドから起き上がり帰りの仕度をすることにした。


「おっ、やっと帰る気になった」


「仕方ないだろ。ここに居ても仕方ないし。あっ保健室の先生に挨拶していかないとな。」


「それなら問題ないよ。もう先生帰っちゃったから。」


なんとも勝手な先生だ。

失神で運ばれた生徒をほったらかして先に帰るとは・・・

本当にこの学校に入学してよかったのだろうか。




颯人は保健室から出て下駄箱へと向かう事にした。

勿論涼宮も一緒だ。


夕方の学校には静けさが広がっていた。


普段なら部活をする生徒などで賑わっているであろう校舎も今日は入学式なので誰ひとりとして残っていない。


本当よくわからない状況だ。


ただ確かに言えるのは悪い気持ちではない。


神様は本当に悪戯好きならしい。



颯人はついて行くように涼宮と同じ歩調で歩いた。




廊下にはただ2人の足音だけが響き渡る・・・
























次回下校編

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