運命論
「過去の出来事なんて、正直、関係ないと思うんだ」
「ふーん」
「え、もうちょっと興味もって? なんで、とか聞いて?」
「ハイハイ、なんで?」
「うん、すっごいおざなり」
「えぇ!? どういうこったい!」
「…もういいです」
「あらそう」
「あ、それでさ」
「話すことは諦めないのね」
「そこは譲らないよ?」
「はいはい。じゃあ、さっさと話しちゃってよ」
「なんか納得いかないけど…
僕は過去になにがあろうと、今現時点の状態が大事だと思うんだ。
たとえ、僕が昔ハリウッドのスターだったとしても、君が実はニューハーフで男だったとしても、今現在、僕は凡人で君は女の子だ」
「うん、なんか腹立つな。
産まれたときから正真正銘女の子よ。
文字だけで見たら、本当かどうかわかんないんだから、やめなさい? そういうの」
「過去なんて関係ない。大切なのは今である」
「今でしょ! なんてオチなら帰るわよ? 私」
「違うってば。とりあえず聞けよ。
大切なのは、今なんだ。
だから、誰かと出会う一瞬一瞬が大切で、図られたタイミング、つまり、運命なんだ」
「意味がわからないわ。もっと簡単に」
「君は凡人としての僕に出会い、僕は女の子としての君に出会った」
「女の子だった時期しかないのだけれど…
で、結局何が言いたいの?」
「そうだな、すべてをかいつまんで言うと、僕が君と出会った瞬間も、いわば、運命なんだ。
それで、きっと、僕が君を好きになったのも、図られたタイミングのせいなんだ」
初めまして、こんにちは、朱です。
読んでいただき、ありがとうございます。
今回は、完全な趣味ですね。めんどくさい男とサバサバした女。
少しでも楽しんでいただけたなら幸いです。
この告白の結末やその後もあるので、また書けたらなと思います。
最後に、あとがきまで読んでくださりありがとうございました。