『チキンレースの意味』 管理人視点
直感、守護霊、直感、守護霊、直感、守護霊……
同じセリフを繰り返していたときだった。
パチン。
頭の中で音がした。
何かが弾けたような音。微かな音。しかし、はっきりと聞こえた。
僕は天井を見上げた。
何? 今の音。
とつぶやいたとき、また、あの声が聞こえてきた。
「しばし待たれよ」「チキンレース」
このタイミングで、先ほどとまったく同じセリフ。とくれば、誰だって、こんなふうに思うはず。
声の主は、守護霊様。ふたつの言葉は、僕に対するありがたいお告げ。
何の疑いも持たなかった。それを素直に受け取った僕は、一見繋がりがなさそうにみえる二つの言葉の意味を考えてみた。
答えは瞬時にでた。
しばし待たれよは、言葉通り。チキンレースは、度胸試し。
しかし、アクセルを目一杯踏んで急発進させた車を、崖っぷちぎりぎりのところで急停止させ、崖との距離で勝負する、といったような危険を伴うものではない。
僕にとっての崖は、午前零時の時報。
つまり、守護霊様が僕に伝えたいこと、それは、
『名刺投入時刻は、日付が変わる午前零時ぎりぎりに』
現状からは、それ以外に考えられない。
しかし、疑問が湧いてきた。
何のために、そんなことをしなければならないのだろう。
僕は天井に目をやった。
「誰と戦うんですか?」
しばらく待ったが、返事がなかったので、単刀直入に訊くことにした。
「何のための度胸試しなんですか?」
すると、奇妙な現象が起きた。
頭の中が真っ白になったのだ。と言っても、思考回路が切れて、何も考えられなくなったわけではない。頭の中を白い光のようなものが走り抜けたのだ。
思わずまぶしさに目をつぶった瞬間、数字のようなものが浮かんで、消えた。
ほんの一瞬だったが、それでも十分だった。
235953。
残像のような六桁の数字を見た瞬間、それが何を意味するのか理解できた。
二十三時五十九分五十三秒。
それは、チカチカマンションのポストに名刺を投入する時刻。
そのことを伝えるために、守護霊様は、僕の聴覚と視覚に直接訴えた。
なるほどそうだったのかと納得した瞬間、ちょっと待てよと思った。
自慢にもならないが、僕は頭の回転が遅い。そして鈍い。その上、時間をかけて出した答えが間違っていることだって珍しくない。
そんな僕だというのに、この頭の回転の速さは、いったい何なんだ。
考えるまでもなかった。
守護霊様のお節介。そうでなければ、僕をどこかに導こうとしている。
気づいたときには、怒鳴っていた。
「冗談じゃない! 余計なことはしないでくれ。自分の人生は自分で決める」




