第7話 今やるべきことはなんなのか
「この学校を閉めようと思っているよ。」
そう、この言葉にすこぶる驚いている。
何を言い出すんだ、これじゃあまるで某スクールアイドルの学校じゃないか!
「何言ってるんですか重さん!」
「そもそも廃校することが許されてないじゃないですか!」
「そ〜んなのは100も承知だ。」
なんだびっくりさせるなよな。
・・・でもそれじゃあ流があんなに落ち込んでいるのは
なぜなんだ?
そもそもこの学校は試験的なものであってまだ正式な学校ではない。
ってのは分かってるんだけどそれと廃校に繋がるってのがな・・・。
「分かってるとは思いますがこの前の暴力沙汰のことできているんです。」
「いくら重さんとはいえこのままじゃあ廃校になるかも分からないんです!」
「大丈夫だ!」
2人の不安を切り裂くように言い放った。
「あそこはデパートも兼ねているし市民からの支持も絶大なんだ。
第一、それだけじゃあ廃校にはならんよ。」
確かに暴力沙汰が原因で廃校になる例はほぼ皆無に近い。
「それにワシは彼らの未来を見届けたいんだ。」
重さんはそれっきり言葉を発さなかった。
2人は校長室を後にし、交番へと戻っていく。
「白山、俺たちは一体どうすればいいんだろうな。」
「わかりません、でも安城さんだって重さんのこと尊敬してますよね。」
ちなみに彼らの名前は白山佳奈と安城光一という。
「当たり前だ、本当なら重さんはここにはいなかったんだから。」
彼らの話は5年前に当たる。
〜5年前〜
「白山、とにかく先を急ぐなよ。」
「はい・・・。」
2人は誘拐犯が閉じこもっているアパートに潜入しようとしていた。
白山は人質を盾にする前に犯人を降伏させるという。
もちろん無茶な作戦だが安城は危険を承知で白山を行かせた。
「絶対に・・・あの子を助ける・・・。」
そして犯人のいる2階にたどり着いた。
ドアノブに蹴飛ばし一気に開けて突入した。
「そこまでよ!」
予想外の突入に驚いた犯人は人質を置いて窓から逃げた。
下で待機していた安城は犯人を追いかけたが
実は犯人はもう1人いた。
そして威嚇射撃を受けて物陰に隠れた。
「くっ、まだ人がいたなんて!・・・ん?」
そこに通りがかったのは重さんだった。
「重さん、隠れて・・・って白山!」
白山は犯人の掌めがけて一撃はなった。
命中して拳銃が手から離れたがすかさずもう1人が撃ってきた。
しかしその瞬間重さんが白山を抱いた。
いや、かばったと言った方が正しいだろうか。
「しっ・・・重さん!」
そしてすかさず2人に向かっていった。
2人はあっけなくやられてしまった、しかし重さんは立ったまんまだ。
「あ・・・あの・・・重さん・・・。」
「あぁ?ワシは大丈夫だ、これを着ていたんでな。」
なんと防弾チョッキだった。
結局あの2人は逮捕され、白山と安城はこっぴどく叱られた。
単独行動により命を落としたかもしれないってね。
そしてこう言われた。
「よく、帰ってきたな。」
それ以来、2人は勿論警察全体から尊敬されるようになった。
〜
「あの人は・・・一体・・・。」
安城は偉大な背中の前で何も言えなかった自分に腹を立てていた。
結局自分は何をしていたかわからなかったのだから。
つづく