アゼルの身体
ここは、アゼルが魔王の手下に襲われた村。殆どの家屋は破壊されたが、数少ないまだ原型を留めている家の1つの地下に2人の村人が居た。その2人の村人は奇妙な機械の前にいた。
村人A「そろそろ行きましたかね」
村人B「あぁ、中から発せられるオーラは感じられなくなっている」
村人A「これを魔王様に献上すれば……!」
村人B「俺たちの村の人々は魔王軍に殺されずに済む…!」
この二人組は魔族達と手を組み、魔王のために動いていた者たちだった。勇者が村に来た時に魔王軍に知らせ、勇者を殺す代わりに村の人々の生活の邪魔をしないと約束していた。
村人B「よし、中からだそう」
村人A「おぅ!」
2人の村人は奇妙な機械……魔道具から勇者アゼルを取り出した。
村人A「ふぅ……あとは魔王様に献上するだけ」
村人B「お、おい!見てみろ!勇者の体が!」
勇者アゼルの体が全体的にほのかに光り輝いていた。
村人A「な、なんだ!これは!」
アゼルはだんだんと発する光を強くして、一番強く輝いた。
村人A「くっ………眩しい!」
村人B「な、なんなんだ!この光は!」
その後、光は弱まり消えた後、アゼルの体はそこにはなかった。
村人B「ど、どうなっているんだ!」
すると外から階段を駆け下りる音が聞こえてきた。
悪魔A「おい!そこで何をしている!」
村人A・B「!!」
悪魔A「その機械はなんだ!」
村人A「はっ…!こ、これは……」
村人B「これは、我が村に伝わる魔道具であります。」
村人A(いいのかよ!)ヒソヒソ
村人B(仕方ない…)ヒソヒソ
悪魔A「ほぉ……それで」
村人B「はっ!勇者アゼル殿は何故かこの魔道具について知っており、これで逃走を測っておりました。」
悪魔A「……なんと!…それでアゼルは」
村人B「逃げられました……」
悪魔A「ほぉ……ならば貴様らは殺処分……」
村人A・B「!!」
悪魔A「といきたいところだが、その前にその魔道具の使用方法を教えてもらいたい」
村人B「はい、了解です」
村人A・Bは魔道具の使い方を全て説明した。そして、先程、勇者アゼルの身体が光と共に消えたことを……
悪魔A「ふむ………では、その魔道具をこちらに渡してもらおう」
村人A「なっ……」
村人B「そ、それは……!」
悪魔A「渡せぬのならば、力ずくで…」
村人B「持っていくのならば、どうするのかを教えてください!」
悪魔A「その魔道具を使用してアゼルの逃げた位置を特定する。まぁ……俺は知能タイプと言うより戦闘タイプなのでな……詳しくは説明出来ないがな」
村人B「なっ……!」
悪魔A「さぁ……渡してもらおう」
村人B「わかりました………アゼルの位置の特定よろしくお願いします」
こうして、村人A・Bは魔道具を悪魔に手渡した。そして魔王軍は村から退出していったのだった──。