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てんせい勇者  作者: 968
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新たな身体

気づくと俺はとあるベットの上に寝ていた。ベットは俺が宿泊していたところよりフカフカであり毛布も温かかった。

天井は白く大きさの等しいタイルが敷き詰められ等間隔で光る棒のようなのもがつけられている。近くでは誰かがすすり泣くような声が聞こえる


勇者「ここは…」


女性「ひぐっ……ひぐっ……」


勇者「あの……?」


取り敢えず俺は近くで泣いている女性に声をかけてみた


女性「……!」


男性「こ!琴美!?」


勇者「はあっ?」


するといきなり女性が俺を抱きしめた


勇者「おい!ちょっ!まっ!……あれ?」


その時だ、俺は声が高くなってることに気がついた


女性「どうしたの…?琴美?」


勇者「す、すみませんが貴女の言っている琴美というお方は…?」


女性「あなたに決まってるじゃないの!琴美!」


勇者「へっ?…いや、俺の名前は…」


男性「もう…死んだかと思ったぞ…琴美…」


女性も男性も俺の事を泣きながら琴美と呼んでいるが……


勇者「違う!俺の名前は琴美なんかじゃない!」


女性「えっ…どうしたの琴美?」


女性は少し俺を突き放し俺の顔を見た


勇者「俺の名前はアゼル!アゼル・ティーリアだ!」


男性・女性「「はっ?」」


アゼル「お前らの知っている琴美の魂はもうこの世には存在しない!」


女性「でも……」


アゼル「琴美というもの魂が肉体から離れ器だけとなった肉体を私が貰い受けたのだ」


男性「そん…な…」


女性「返して!琴美を返して!」


アゼル「俺が琴美さんの魂を奪ったわけではない!魂は自ら肉体から離れたのだ!そして空っぽになった肉体に俺が入ったのだ!」


女性「…ひぐっ……」


少々強く言い過ぎただろうか…女性を泣かしてしまった…


男性「…なら、なら貴方が琴美の役を演じることは出来ないでしょうか?」


アゼル「まぁ、出来ない事もないが……俺は直ぐに行かなくてはならないところが……」


男性「その体では無理だと思います…貴方は4歳の女の子ですから……」


アゼル「はぁ!?」


俺はその時一番の大きな声をあげた


恐る恐る俺は自分体を見てみた


アゼル「…………」


とても小さい手足が俺の視界に入る


アゼル「なんっじゃこりゃあ!」


甲高い声が部屋中に響きわたった


男性「……その体で歩き回るのは大変危険です……どうか…わたし達の琴美として演じてもらえないでしょうか?時が来たらその時は貴方の自由にして良いので…」


アゼル「お、おぅ…わかった…」


女性「ホントですか!」


アゼル「あ、あぁ……だから…琴美さんのこと……身の回りのことを教えてくれませんか?」


男性「わかりました!……じゃあその話は家に帰ってからしましょう。その前に…医者を呼んでくるか…」


アゼル「な、何故に?俺は元気だぞ!」


女性「だーめ、もう貴方はアゼルじゃないの、琴美だから…『俺』じゃなくて『私』ね。あと、ここは病院。家に帰るためには医者にちゃんと体が元気かどうか確かめないと…」


琴美「わかった…でも俺……私はどこも痛くないのだが…」


女性「念のためよ。あと、私のことはお母さん。さっきの男の人はお父さんって呼ぶのよ。」


琴美「わかりました……」


母「そんなかしこまらなくてもいいのよ。貴方はもうわたし達の子供なんだから…敬語とか必要ないわよ」


琴美「はい……もう一つ質問よろし……いい?お母さん?」


母「なぁに?」


琴美「せめて『僕』はだめで」


母「だーめ」


俺が言い切る前に女性…母は答えを言い人差し指で俺のでこをつついた。


その後白く長いローブのようなものを羽織った男性(医者らしいのだが)が部屋に入ってきた


医者「…う、ウソだろ!死亡は確認したはず!生き返ったのか…!」


父「…先ほど言ったようにまた…検査おねがいします。」


医者「…わ、わかりました」


その後俺は検査室とやらに連れていかれ

体を様々な道具で調べ始めた……


琴美(何だこれ…魔道具?)


そしてすべての検査が終わり先程の部屋へと戻された。しばらくするとさっきの医者が部屋の中に入ってきた


医者「検査の結果なのですが……どこにも以上は見られず……至って普通の健康体であります。」


琴美「ほら、俺の言った…」


ギロ!


睨まれた。母から睨まれた


琴美「…私の言った通り」


父「…退院できますか?」


医者「今日は様子見で明日…退院ですかね」


母「やったぁ!」



そして次の日


琴美「んーー!やっとお母さんたちの家に行けるんだァ!」


母「もぅ、あなたの家でもあるのよ」


そう言えばそうだった…


父「ささ、車に乗って!」


そう言われると俺は何やら黒い箱に乗せられた。

すると……


琴美「わわわっ!な、何この箱!動き出した!」


父「ハハハ!きっとアゼルさんは車のないところから来たのかな」


琴美「すっ、すげぇーー!」


俺はこの箱…(車と言うらしいが)にびっくりしているといつの間にか家にたどり着いていた。


母「さぁ!ここがわたし達の家よ!」


琴美「おおっ!」


俺が休んでた宿屋より大きい……宿屋が離の小さな村のものだったらだろうか…


父「さ、上がって上がって!手を洗って琴美の話をしよう」


琴美「うん!」


そう子供っぽい返事をし、俺は家の中に入った。中は驚くべきものだらけだ。

スイッチを押せば明るくなる部屋……蛇口?と言うのかはわからないが……それを回せば鉄の棒から流れ出る水……この家にはすごいものだらけだった


琴美「この家すごいなぁ…」


父「大体の家はこんな感じだよ」


琴美「なんと!」


なんだ、この世界……凄すぎる…


父「さて、琴美の話でもしますかね!」


その後俺は父から琴美について色々と話してもらった


父「ーというわけで…今に至るわけ」


琴美「なるほど…ありがとうお父さん。それじゃぁ…次は俺……違う、私が琴美さんの体を貰い受けるまでのはなしをするね!」


父「よろしく頼む」


俺は魔王を討伐するための勇者だったこと、宿屋に泊まってたら魔王の手下に襲われたこと、村人の助けにより魔道具を使い魂を逃がしたこと…着いた先が琴美の体だったこと…すべてを話した


琴美「ーということだね」


父「そうか…話してくれてありがとう。それじゃぁ…これからもよろしく」


琴美「よろしく!お父さん!お母さん!」


こうして俺の琴美としての生活が始まった……いやー、しかし、話し方に疲れるなぁ……

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