文化祭1
「アイスクリームはいかがですか!たこ焼きや広島焼きもあります!!」
「B棟3階、暗室にて上映会をやっています!ぜひとも立ち寄ってください!!」
時は巡り巡って文化祭当日、この学校は何を思ったか日曜日に文化祭がある。そのためかなりの動員数を誇る。そんなんだから毎年かなり本格的に露店を出していたりする。ちなみに、俺のクラスの出し物は展示だ。自作映画を自分の教室で流している。出来は委員長が厳しくチェックしたのでかなりのものだ。俺は男Bと編集などを担当した。一度主役をやらされかけたが全力で阻止した。
「外道、あれはすごかったな!あの、クライマックスとか!」
「あれはB級映画のパクリだ。ちゃんと最後にこれをもとに製作しました、ってのがあったろ」
俺には友達がいない。部長も同じだ。だから二人であちこちを回っていた。
「しかし部長。お前は美人なんだから彼氏でも作ってみたらどうだ?」
「友達すらいないのに彼氏なんてどうやって作る?」
部長の場合、友達作りよりも彼氏作りの方が簡単だ。顔が良ければ人生薔薇色だ!・・・はぁ、リア充爆散しねぇかな・・・。
「・・・逢坂に告白すればいいんじゃないのか?」
部長が、逢坂のことをどう思っているのか、知っておいても損はないはずだ。
「逢坂?誰だそれ」
部長が首をかしげる。小中高と一緒じゃなかったのか?それにクラスも一緒なのに覚えられてないって・・・頑張れ、逢坂!青春はまだ始まったばかりだ!!
「三ケ原さん、外道くーん!」
向こうから飯塚さんがやってくる。
「飯塚さん、おはようございます」
部長が丁寧に挨拶をする。
「三ケ原さん、私のことはこなみって呼んでよ!」
「え、あぁ、それじゃあ、こなみ?さん」
「まぁさん付けのままでもいっか!」
えらく飯塚さんのテンションが高い。
「飯塚さん、どうかしたんですか?今のテンション、本気で気持ち悪いですよ」
「ふっふーん、そりゃそうなるよ!文化祭の準備から、今日、ようやく私は解放されたんだからっ!!ノルマも達成できたしっ!」
夜遅くまで学校に残り絵を描いていたし、きっと家でもずっと作業をしていたのだろう。俺は少しだけ飯塚さんを尊敬してみる。と、そこへ、こちらに誰かが近づいてきた。眼鏡をかけた頭のよさそうな美人さんだ。
「こなみ、さきさき行かないでよ!はぐれちゃったらどうするの!?」
「ごめんごめん、なんだか楽しくなっちゃって!」
「こなみさん、この人誰ですか?」
部長が聞く。
「しまちゃんだよ。生徒会長やってるんだぁ!」
「どうも宜しく。私の名前は島崎 翔子よ、どうぞお見知りおきを」
生徒会長か、そういえば入学式の時に何か固い話を聞かされた気がしないこともない。
「どうもよろしくお願いします。私は三ケ原です」
「俺は外道です」
「あれ、あなたは滝川という名前じゃなかったかしら?」
ほう、全校生徒の名前をしっかりと覚えているのか・・・さすがは生徒会長、俺とは真逆の人物!
「いや、俺は名前がちょくちょく変わるので」
「そうなんだ。外道なんてあなたにぴったりのあだ名ね」
「はい、ありがとうございます」
あれ、今なんかバカにされてなかったか?
「しまちゃん、外道君にそんなこと言っちゃだめだよ!」
「ごめんなさい・・・でも、学園一の問題児を、生徒会長として放ってはおけないの!」
俺は学園一の問題児ではない!一介の問題児だ!!
「あなたは掃除当番をすべてサボり、日番活動もしていないそうね」
「やってますよ、ただ仕事をしていないだけです」
生徒会長が眉間に深いしわを寄せる。
「校内外での暴力事件!」
「外のはカツアゲしてきたやつを返り討ちにしただけで、内のやつは向こうが勝手に殴りかかってきただけでしょう!?俺は殴ってません」
「殴っていないだけで相手の関節を外したでしょう」
ぐっ、本当のことだから反論できない。
「さらには鴻上先生を辞職にまで追い込んだ!」
「あの先生が気に食わなかったからですよ。だから文句を言って、先生と口論になり、言い負かすと俺に殴りかかってきて、体罰じゃなくて明らかな暴力だったので、その先生が学校から追い出された、ってだけの話でしょう?」
「そのとうりです、ですが、学校がそういった処置を下さなければならなかったのは、あなたが圧力をかけてきたからです!当初は停職処分の筈だったのに!!」
「そんなの暴力を振るわれたんだから当然でしょう」
「なら、これはどうです?」
生徒会長がドヤ顔になる。
「つい一週間ほど前、貴方はある女生徒を泣かせたそうですね。この様子は多数の生徒が目撃している。これは貴方にも言い逃れはできないはずです!!」
渾身の切り札がそれか、生徒会長もたかが知れてるな。
「部長、あれは俺のせいじゃないよな?」
「すまない外道!私のせいでこんなことに巻き込んでしまって・・・」
「いいっていいって、もう済んだことだし」
「!?・・・これはどういうこと?」
頭に?を浮かべた生徒会長を置いて、部長と俺はその場を離れる。
「飯塚さん!生徒会長に真相を教えといてください」
「外道君、なんかごめんね。しまちゃん、ちょっとというか、かなり固いところがあるから」
「いいですよ。それじゃあ、また放課後」
「うん、またね!」
飯塚さんが振ってきた手には、部長が振り返す。
「逃げるの!?私は貴方を認めない!いつか必ず更生させてあげるから!!」
飯塚さんに押さえつけられながら生徒会長が叫んでいる。本当に固いな。人生というものは、もっと余裕を持って生きていかなければならない。
「なぁ?そうだよな、部長」
「へっ・・・あぁ、そうだな!」
質問の意味も分かっていないのに、部長が返事をしてくれる。俺の言葉に返事が返ってくる。友達付き合いは面倒くさいが、こういうのは良いな。また今度友達でも作ってみよう。部長と初めて出会ってすぐの時にも、こんなことを考えていた気もするが、きっとなにか間違いだろう。




