合宿 序
時は巡り巡って夏休み。部活は金曜日だけ集まることにし、それ以外は別に来ても来なくてもいいというユルユルっぷりを発揮して、文芸部は今日も一応活動する。
「鳥居、ジュース買ってきてくれ」
「はい、分かりました。今すぐに行ってきますね」
「行ってらー」
俺はパシリがいる喜びを噛みしめながら、屋上の一角にある、家みたいな部室の中を見回す。部長はいつものように本を読み、飯塚さんは和音とじゃれ合っている。いつも通りに平和な毎日。俺の破壊衝動もここ最近は収まってきている。
「さぁて、俺もパソコンでもしておきますかね」
俺はノートパソコンを広げて電源を入れる。『ウィッウィッ』というが心地良い。
「ご主人様、私が行きましたものを・・・」
「パシリはパシラせとけばいいんですよ。二葉さんは帰るまでの間、しっかりと寛いでいてください」
「そうですね、二人の夜に備えて、ぽっ」
「そんなのありませんよ・・・」
夏休み中は授業が無く部活だけなので、部活が終わるまでの2時間程度は、部室で待ってもらうことにした。ついでに言うと・・・、
「ワタシと遊びなさい!このワタシを退屈させるとはどういうことなの!?」
カノンも一緒にいる。どうも一人で家にいるのが寂しいらしい。意外に可愛い一面もあるんだよな、銃殺したい。
「別にいいけど3時間後な」
「そんなの部活終わってるじゃない!!」
「帰りの車の中でしっぽり遊べばいいだろうが」
「発言がいちいち変態なのよ!!」
カノンに殴られる。徐々に殴るのが上手くなってきやがったので結構痛い。やり返すと泣かれたりして面倒なので、代わりにジュースを持って帰ってきた眼鏡っ子の鳥居を殴りつける。
「げへっ・・・」
鳥居が間抜けな声をあげて床に倒れこむ。なので備え付けのベットに運んで寝かせてやる。
「いやぁ、超絶的に優しいな、俺」
「全っ然優しくないじゃろ・・・」
和音にツッコまれたが華麗にスルーする。
ちなみに逢坂の事を少しだけ。
この間の件もあり、逢坂の評判は確実に地の底に墜ちた。その腹いせに果し状なんざをを渡してきやがったので闇討ちしてやった。もう暴力に訴えることには懲りたらしく、今では口やテストの点などで勝負を仕掛けてくるようになった。前よりかはマシになったがとにかくウザいので死んでもらいたい。
以上、モブキャラ逢坂についての現状報告でした。
「なかなか快適だなぁ」
「そうじゃの」
一緒に和音とレースゲームをしながら会話でもしてみる。
「この部室、クーラーとか冷蔵庫とかがあるからなぁ。キッチンはさすがにないけど」
「電子レンジとオーブントースターさえあれば大体の物は作れますよ」
「それもそうじゃの、今度具材でも買って調理してみるかの」
「私は和音ちゃんと一緒に料理したいっ!」
「は、離れるのじゃ!・・・」
料理が出来てベットもある。これはあれをやるしかないだろう・・・。
「合宿をしよう」
「・・・合宿?いいよ!やろやろぉ!!」
飯塚さんが乗り気になる。
「わしもやるぞ!!結構面白そうじゃ」
和音も乗る。
「ワ、ワタシも参加してあげなくもないわ!!」
「ウザいからお前は留守番な」
「そ、そんな・・・」
カノンががっくりと肩を落とす。その様子を写メっておく。
「二葉さんもカノンと一緒に留守番です」
「別に構いません。ご主人様とはいつも一緒に寝ていますから」
「・・・・・・・・・・・っ!!」
「いやいや部長、嘘だから・・・」
驚愕の表情を浮かべていた部長にチョップをかます。
「とにかく文芸部員で合宿します」
「僕はどうすればいいですか?」
ベットから鳥居が顔を出す。眼鏡を外したし髪も解いてあるので別人みたいだ。こうして見るとなかなか可愛いな、もう一発殴りたい。
「まぁ、あれだ。お前も参加してくれ」
「あ、ありがとうございます!」
パシリは常にいてもらった方が楽だ。俺はとにかく働きたくない。
「なんでワタシはダメでこの眼鏡はいいのよ!?」
「今は眼鏡かけてないだろうが。それにお前とはいつでも家で会えるからな」
「それは、そうだけど・・・」
「今度何か埋め合わせしてやるから・・・、なっ?」
「仕方ないわね・・・。今度、絶対に何かしてもらうから!!」
「はいはい」
俺も兄貴っぽくなってきたな・・・。しかし所詮は他人、エロい目で見てしまうのは仕方がないことだ、だって男の子だもん。
「それじゃあ今度の日曜日で」
「集合時間はどれくらいがいいんじゃ?」
「外道君の家は遠いからねぇ・・・」
「午後12時にしましょう。部長、それでいいな?」
「あ、あぁ!!」
こうして俺たちは合宿をすることにした。
部長を会話に入れられない・・・。引っ込み思案も困ったものですね。




