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腐れたちの学園生活  作者: 馬鹿面
31/41

NEW友達

 教室の片隅に貼られた1枚の薄っぺらい学級新聞(というよりもプリントに近い)に、馬鹿なクラスメイト共が群がっていた。俺も興味本位で近寄ってみると、一気に人ごみが2つに分かれて学級新聞への道が開かれる。どうしたんだ?と疑問を浮かべながらも、俺も何度か載ったことのある新聞の方へ目を向ける。

 『号外!!謎のお面男現る!!!』

 見出しはそうだった。嫌な予感しかしないが一応読み進めてみる。

 『生徒会長とその他2名の女生徒が、5名の不良に絡まれたところに颯爽と現れた、鬼のお面をかぶった謎の男。その男は次々と不良たちをなぎ倒し、それにかかった時間はわずか30秒!にも関わらず、その後3分間じっくり時間をかけて不良たちをいたぶりたおしたそうです。不良らは全治3か月程度の重症負ったとのこと。このような事件をひきおこした鬼のお面の男は、我らが学園に在籍するО.S君と見られる。彼はダークヒーロなのか、それともただの悪なのか!今後の活動にも注目です!!』

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・放送部にカチコミに行くか。

 「おい、滝川!・・・じゃなかった、大王!10分後ぐらいに進路指導室に来い。その新聞のことで話がある」

 周りから冷たい視線が注がれる。クラス全員を病院送りにしてやりたい衝動を抑えて、教室に貼られた学級新聞を荒々しく剥がす。これを持って放送部に乗り込もう。10分もあれば十分だ。





 「はぁい!・・・おっ、噂の鬼男おにおとこさんじゃないですか!・・・キャッ!!」

 職員室の隣にある放送室に入ると、俺は出迎えたポニーテールの眼鏡っこを容赦なく殴る。掠った感じになってしまったがもう一度殴れば関係ないだろう。

 「な、何するんですか!!」

 「五月蝿い、大人しくもう一発殴らせろ。もしくはパンツいっちょうで校内を一周しろ」

 「殴られる方にします!!もう一つは絶対に嫌です!!!」

 やけに素直だな、面白くない。

 「なら歯を食いしばれ!!」

 俺は手加減なしでぶん殴る。少女の体が放送機材にぶつかって大きな音をたてる。職員室から誰か来ても大丈夫なように電気を消し、鍵を閉める。

 「いつかはこうなるって想像してましたけど・・・」

 「実際なってみると辛いか?これまで許してやってた俺の慈悲深さに感謝しろ」

 「すれ違うたびに足かけられましたけどね・・・」

 頬を抑えながら少女が呟く。このまま強姦でもしてやろうかと思ったが、それは俺のポリシーに関わるのでやめておく。

 「誰が俺の記事書いてるんだっけ?」

 「確認せずにやったんですか!?僕、ですけど・・・」

 この子は僕っ子か・・・、何となく写メっておく。

 「お前かぁ、そういえば何回かそんな話を聞いたことがあるような、無いような・・・」

 「これで5回目です・・・」

 そうか、俺は興味の無い人間は徹底的に忘れるからな。


 少女は俺が来た時のために用意しておいた救急セットで右頬を治療する。

 「あの、僕のことを覚えてないんですよね?」

 「ああ」

 俺は悪びれない。

 「えっと、僕は先輩に助けてもらったんですけど・・・、覚えてませんよね?」

 「当たり前だ。それに俺は人を利用はしても助けはしない」

 きっといじめっ子をいじめて不登校にでもさせた際に、副作用としていじめられっ子が助けられたということだろう。そういえば先輩ってなんだ?俺は高1だから同学年か年上なはずだけど・・・。

 「中学時代のことでした・・・」

 えっ!?いきなり回想?

 「僕はいじめられていました、この喋り方とかで・・・。もう学校に行くのが苦痛になってきた頃、先輩が転校してきたんです。先輩は登校初日に担任を泣かせ、一週間もしない内に辞職まで追い込みました」

 どこのだろう?確かそんなのは3回あったはずだ。

 「当然、学校の先輩たちに目を付けられます」

 先輩がいるってことは中三の時ではないということか・・・、なら中1の二学期の時の学校か。そういえばその学校はここから少し近いのか、だったらそこの卒業生がいても不思議ではないな。

 「先輩は売られたケンカは全て買い、全てを返り討ちにしました。高校生が相手でもやっぱり全治3か月程度の怪我を負わさせていました。学校内では先輩を恐れていじめはなくなりました。それでも少しは残っていて、僕はいじめられました。そんな時です。みんなは自分もいじめられては嫌だから見て見ぬふりをしているのに、先輩は違って助けてくれたんです。『大丈夫か?俺が代わりに殺してやるからな』って」

 やっぱりそうだ。俺が楽しみたかっただけだな。

 「僕はそれから先輩を先輩と呼ぶようになりました。ジュースを買いに行ったり宿題を代わりにやったり・・・、あの頃は楽しかったです・・・」

 少女が遠い目をする。そんなやつがいたような気もする。この少女が記憶の中の少女と一致しないのは髪型が違うからか。確かボブカットだったような、あれ?ショートカットだったっけ?記憶がどうも曖昧だ。

 「先輩は2か月で転校してしまいました。いじめは完全になくなりましたが、僕はとても悲しかったんです」

 「で、俺が同じ高校に通ってると知って追っかけでもしてたと?」

 「はい、そうです!名前が変わっていたので最初は分からなかったんですが、先生を辞めさせる方法が酷似していたので。後、そのやる気が一切、全く、ゼロの顔で」

 俺は少女にチョップをする。

 「痛っ!ちょっと、なにするんですか!!」

 「えっと、その話は何回目だ?」

 「・・・3回目ですが?」

 やっぱりか、聞いたことあるな、とは思ってたんだ。微妙に。

 「お前の名前は・・・、鳥居とりいか?」

 「あっ、そうですそうです!!僕は鳥居です!!!」

 よしっ!!これは新聞の著作者を見て覚えただけだったがこんなところで役に立つとはな。

 「お前は俺の友達にならないか?」

 「いいんですか!?」

 「いぃんですよ」

 これで三人目か・・・。スゴイな、これで俺もリア中の仲間入りなんじゃ・・・。しかも友達女子だけだぞ、これは結構すごいことだよな。

 「先輩!!僕は友達でいいんですよね!そうですよね!!」

 「五月蝿い黙れ。お前のお蔭で部長と知り合えたわけだしな、一応は感謝してるんだぞ」

 部長が俺のことを知っていたのもこいつが新聞を書いてくれていたからだ。でも、

 「これからも俺の記事を書くなら俺だと特定できないようにしろ。そして、もっと凄惨に、もっと残酷な表現を用いてくれ」

 「そんなことでいいんですか?」

 「もちろんだ。自分じゃなければ何だっていい、興味ないからな」

 「さすが先輩です!その下衆っぷりは最低です!!」

 そんな最低なこと言ってないと思うけどな・・・、これが太鼓持ちってやつか?


 とにかく鳥居という友達(パシリ)ができた。




 「遅い遅すぎる・・・!!」

 進路指導室に着いた時には、先生はイライライライラしていた。ヒールをカツカツ鳴らしている。

 「そんなにイライラしていると禿げますよ」

 「誰のせいだと思っている!!」

 ボールペンを投げつけられる。俺は軽く躱しながら話を進める。

 「予定より10分待たせてしまってすみません。ですが良い事がありましたよ。友達が増えました」

 「本当かっ!?お前に友達がさらに?・・・飯塚か?」

 「違いますよ。あの記事書いた人です」

 「また随分とぶっ飛んでるな・・・」

 長い髪を掻きあげながらため息をつかれる。

 「で、あの記事に書いてあることは本当なのか?」

 「本当です」

 俺は正直に答える。

 「逢坂をやったのは?」

 「俺じゃありません」

 「そうか、ならまだマシだな。でもまぁ、これからは問題は起こすなよ」

 「他人を助けちゃダメだってことですか?」

 「違う、いたぶらなければいいんだ。倒すのは仕方なくてもその先は仕方なくないからな」

 そうか・・・。

 「でもですね、これからは学校内には広がらないようになるので大丈夫です」

 「友達になったのはそのためか?」

 「当たり前ですよ」

 「最低だな・・・」

 「ありがとうございます」


 とりあえず先生は終わった。残る問題は部長と飯塚さんか。

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