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腐れたちの学園生活  作者: 馬鹿面
30/41

部長らを監視2

 部長らが喫茶店で寛いでいる様子を店の外の植え込みから観察していると、いきなり後ろから声をかけられる。

 「やぁ、外道君やん!」

 短い金髪に、だらっとしたダークスーツ、身長190センチ程度の一見ホストみたいな大男が背後に立っていた。俺は反射的に相手の鳩尾に拳をめりこます。

 「ぐはぁ!!!・・・な、なんでやねん!・・・(がくっ)」

 男がかけていた銀縁眼鏡が『カラン』と軽い音をたてて大理石調の床に落下する。

 「こやつは長曽我部先輩というやからではないのかのぉ」

 倒れこみそうな男を支えながら和音が言う。

 「あっ、固い・・・。女の子やのに固い・・・。でも・・・、太ももはメッチャもふもふやん・・・」

 虚ろな表情の長曽我部先輩が呻く。こんな時でも変態達の風上に立ってくれるとは・・・、蹴り殺したいほどに尊敬してます!


 「ずびまぜんでじだ・・・」

 長曽我部先輩は徹底的にボコボコにされた。銀縁眼鏡もボロボロだ。

 「いやぁ!いたぶられる人間を見るのは楽っしいねぇ!!」

 「外道も参加しておったがの・・・」

 衝動が抑えられなかったんだ・・・。

 「でも、なんで君らはあんなとこに居ったん?」

 ケロッとした表情で和音の太ももをがん見していたので模擬刀が振るわれる。

 「ヒッ!!・・・そ、そんなんミニスカはいてるのがアカンのとちゃうん!!?僕を誘ってるとしか思えへんもん!!!」

 和音が模擬刀を振るう。その刃は、長曽我部先輩ではなく俺を叩く。

 「イタッ!!・・・何すんだよ、俺が何かしたかぁ!?」

 「カメラをスカートの中に向けてるヤツの台詞とは思えんのぉ!!」

 さらに模擬刀が俺を襲う。躱そうと思ったが、屈んだ体勢だったためモロに殴られる。

 「ハッハッハァ!ええ気味や!!」

 再度長曽我部先輩の鳩尾を殴る。

 「グ、グハァ!!・・・」

 「次は鼻折りますから!」

 俺は渾身の笑顔を見せる。

 「こ、怖いで・・・。ぼ、僕は簡単に殺されへんからなぁ!!!」

 いい大人が何言ってんだ・・・。 




 今の俺のパーティーは、ミニスカ武士のコスプレっ子とボロボロになったホスト的な大男である。尾行するには全くもって向いてない。注がれる周りからの視線が痛い・・・。

 「長曽我部先輩はメイド喫茶か土に還ってください」

 「いややでぇ!僕も美人さんたちを監視して尾行したいわ!!」

 先輩がやるとただのストーカーだな・・・。

 「いこっ!しまちゃん!みかちゃん!」

 「そうですね!次はボウリングとか行きたいです!」

 「うふふっ♪三ケ原さんもテンション上がってきたみたいね」

 「はいっ!しまさんの話、とっても面白いですし」

 「そう言ってもらえると嬉しいわ」

 少し目を離した内に部長が生徒会長と仲良くなっている。『しまさん』って何だよ。『すけさん』にしろよ。もしくは『かくさん』。

 「それじゃあボウリング場へ向かおう!」

 飯塚さんが楽しそうにスキップしながら喫茶店を出る。

 「それじゃあ俺たちも移動しますか」




 「遅い、遅い、遅すぎる!!」

 先回りして張り込んでいたというのに、十分、二十分と待っても来ない。もう部長の顔がどんなだったのかも思い出せない。

 「どうすんねん、なかなか来おへんけど・・・。もう帰ってもうたんかなぁ?」

 「それは無いですね、GPSはこの建物の中に入ってから出てきてないので」

 「GPSなんか仕掛けとったん!?・・・ホンマにただの高1かぁ?」

 「僕の名前は大王司郎、探偵さっ!」

 「探偵じゃないじゃろ・・・」

 とにかく捜索しなければなるまい。俺は和音の肩を押す。

 「何故わしじゃ!?」

 「この写真、ばら撒かれたくなかったら大人しく働け」

 猫耳メイド姿のパンチラ写真をピラピラと振ってやる。

 「なっ!?・・・クソ外道がぁ!!」

 「ありがとう!」

 和音を部長ら探しに行かせてから、長曽我部先輩に500円で売る。逢坂に売った部長の写真は破格だ。逢坂はアホで天然で一途だからな、笑いが止まらないほど。


 一分もしない内に和音が走って帰ってきた。鎧を着てるくせに動きは機敏だ。

 「部長達が・・・、大変なことに・・・。はぁ、はぁ・・・」

 「べっぴんさんらが?」

 「そうじゃ!!・・・ふぅ・・・、不良に、不良に絡まれておる!!」

 不良?

 「何人ぐらいだ?」

 「5人だったぞ!!」

 5人か・・・。ちょうどいいぐらいの数だな、二ヒッ。

 「おい和音、その仮面を渡せ・・・!」

 「そっ、そうじゃの・・・」

 有無を言わせぬ感じで言って正解だったな。

 「長曽我部先輩、しばらくの間、和音と一緒にボウリングしててください。ここからは見ない方がいいですので」

 俺は一度ニカッと笑ってから鬼のお面を着ける。


 さぁて!!これからはショータイムだぁ!!!




 「おっ、あれか・・・」

 ボウリング場が入っている建物の、玄関入ってすぐの所で、部長と飯塚さんが絡まれていた。俺は20人近くいる野次馬達の間に隠れて様子を見る。生徒会長は果敢にも不良たちに言いかかっている。不良たちは高3辺り。俺からは10メートルほど離れているが、ほのかにシンナーの匂いが匂ってくる。野次馬達は警察に連絡を入れているようだが、自分で助けるつもりはないらしい。

 「やめなさい、あなたたち!!こんなことをして何になるっていうの!!!」

 「威勢がいいねェ。でもな、楽しむのに理由はイラネェンだよ!!」

 顔中ピアスまみれの男が生徒会長の腹にパンチを見舞う。

 「しまちゃん!!」

 「おっと、逃がさないよぉ」

 飯塚さんが駆け寄ろうとするが、青髪のチビに止められる。

 「くっ・・・、こんなことをしてただで済むと思ってるの?・・・」

 「ハャッハッハァ!!俺たちが止められるとか思ってんのォ!ダッタラ止めとけェ、腰抜けどもはナンもデキネェっつーノォ!!」

 ピアス男につられて他の男共も下卑た笑いをあげる。

 「私に触れるな、汚らわしい!!」

 「いやぁ、いいねぇ。俺の好みだぁ」

 「オレもマジタイプゥゥーーーーーーーーーーヤッハァァ!!」

 部長はデブと五月蝿い白髪に囲まれている。

 「そろそろ俺も出るか・・・」

 もう状況把握も終わったしそろそろ行くか。


 「オイ、貴様らぁぁぁーーーーーーーーーーー!!三ケ原さんから離れろぉぉーーーーーーーーー!!!」


 もちろん俺ではない。部活帰りと思われるジャージ姿の逢坂だ。それが五月蝿い白髪に殴りかかった。窓から外を見てみると、うっすらと空が黒くなっている。もうそんな時間かぁ・・・。

 「ヘャッホッォ!!ケンカ慣れしてないお坊ちゃんは消えてなぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーーオヤェイ!!!」

 五月蝿い白髪は逢坂の初撃を病的な細い腕で防ぐと、容赦のないカウンターパンチを放つ。普通、問題は起こさない方がいいが、こいつらは全くそれを気にかけてない。むしろ楽しんでやがる。

 「クソがぁ!!早く三ケ原さんを離せぇ!!!」

 「ミカハラサン?誰だぁ、それぇ?」

 「ウザい人!逃げろ!!」

 「ギャッハッ!!この子ミカハラって言うのかぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーキャワウィィイ」

 少し離れたところで監視していたガリノッポと五月蝿い白髪が逢坂にかかっていく。逢坂は優等生だ。きっと殴り合いの喧嘩はしたことがないのだろう、動きに無駄があるし全然ダメダメだ。よって、あっという間にボコボコにされる。俺は逢坂が完全にフルボッコにされたのを見計らって、ゆっくりと五月蝿い白髪に近付いていく。前にも言ったが、俺はステルスに自信がある。

 「!?」

 五月蝿い白髪が俺の接近に気付いた頃には、すでに顔面に拳がめり込んでいた。俺には一切の躊躇がない。相手を思いやる心なんてはなからないし、自分すら好きじゃない。だから俺の拳はリミットが効いてないので威力は十分だ。ましてやシンナーに溺れたようなやつだ。パンチ一発でKО出来る。

 「さぁて、お次は誰かな?」

 俺は鬼のお面の奥でにっこりと笑う。和音にお面を借りた理由は、やったのが俺だと断定されないようにだが、もう一つの理由もある。それは、相手に逃げられないためだ。俺が楽しくて笑うと相手が逃げる。それだとお楽しみタイムが減ってしまう。いたぶるのは長ければ長いほど、数が多ければ多いほどいい。

 俺は完全にのびてしまった五月蝿い白髪を横目に、部長に纏わりついているデブに走って近づく。

 「誰なんだよぉ!!」

 俺はデブのパンチを軽々と躱す。

 「所詮は場数が違うんだよ」

 躱したままデブの横っ腹に回し蹴りを入れる。それだけでは沈まなかったので、相手の頭を右手で掴み、そのまま一気に後頭部から床に叩きつける。殺してはいけないのでちゃんと抑えてはある。

 「ヒッ!?」

 不良どもが恐怖し始める。面倒だな、一気に片付けるか。青髪チビにはリーチを活かした足刀蹴り、そして動けないように肩の関節を外しておく。

 「ギャァーーーー!!!」

 回し蹴りをしてきたガリノッポの足を掴み、そのまま膝の骨を折る。

 「がっ、・・・」

 所詮は体がボロボロな雑魚だ。小学生20人とやった時よりもイージーだ。

 「ハッ、テメェツエェなァ、オイ!!」

 顔中ピアスが殴りかかってくる。コイツは頭おかしいので逃げるという選択肢がないようだ。仕方ない。・・・凄惨な最後を迎えさせてやるよ。

 「久しぶりに楽しいじゃねぇかよ!!!」

 顔中ピアスの顔面にパンチを食らわす。もちろん俺の手も痛い。しかし・・・、

 「うギャァ!!!ぐッ、グはァァーーーーー!!!!」

 顔中ピアスは顔を抑えて悶絶する。

 「おいおい、もう終わりですかぁ?」

 俺は顔中ピアスの顔を覆う手に被せて殴る。こうすれば俺は痛くないし、相手は超痛い。いやぁ、マジで楽っしいねぇ!!

 「ギャハッハッハッ!!!」

 俺はさらにいたぶる。何度も何度も5人を殴り、蹴り、最初は俺を応援していた野次馬も悲壮な顔を浮かべていく。時間にして3分程度だったが長く感じた。これほど楽しいことは無い。これこそが俺だ、最近の方がおかしかったんだ。

 「大王君・・・、もうやめて!!!」

 「ん?まぁ、いいですよ。もう飽きましたし」

 俺はデブをもう一度蹴飛ばしてから、和音たちのいる場所へと戻る。途中で飯塚さんや部長に呼び止められたが無視をした。殴りかかってきた逢坂の顔面に回し蹴りを決めて黙らせてから再度ボウリング場に向かう。

 「いやぁ、今日はいい日だなぁ!」

 鬼の仮面の奥で笑う。きっとお面を取ってもさほど変わらないんじゃないだろうか、そう思えた。

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