部長をはみごにする
時は日曜日。飯塚さん、和音と遊ぶために、学校近くの公園で待ち合わせをしていた。
「おーい外道くーん!」
「こんにちは飯塚さん。今日も反吐が出そうなぐらい可愛いですね」
「・・・それって褒めてるの?それともけなしてるの?」
もちろんけなしてます。
「で、そっちの二人は誰?」
飯塚さんは俺の背後に右人差し指を向ける。
「こんにちは、ワタシの名前は大王カノンよ。司郎・・・、あんたたちは外道って呼んでるんだっけ?の、妹よ」
「私は二葉と申します。あなた方に外道と呼ばれていらっしゃる方の醜い犬でございます」
カノンは豊かでない胸の前で腕を組み、二葉さんは腰を綺麗に45度曲げて挨拶する。二葉さんのヒップが強調されていたので写メる。カノンに睨まれたが無視する。
「ふーん、外道君って妹がいたんだ・・・。それなら、どうしてそこまで腐っちゃったの?」
「あれは義妹ですよ・・・、それもつい最近なったばかりの」
「なら納得だね!」
飯塚さんは結構毒舌だったりする・・・。
「飯塚さん」
「ん、なぁに?」
「和音は?」
顎に人差し指を当てながら考え込む飯塚さん。
「えーっとねぇ、さっきまではいたんだけど・・・」
その時、ちょうど俺たちが入ってきた入り口とは反対側にある入り口から和音が入ってきた。今日も武士が着るような鎧に兜に籠手、腰には模擬刀、顔には般若のお面を着けている。
「今日はじゃ!すまんのぉ、今日は暑かったから肌着を脱いでいたんじゃ」
肌着を脱ぐ前に鎧を脱げよ・・・。でも肌着を着てないって、なんとなくエロいな。写メっとこう。
「今日はカノンと二葉さんも一緒に遊んでいいか?」
「いいよ!」
「別に構わぬぞ」
「それじゃあ、とりあえずデパートにでも行くか。5人で」
俺たちがぞろぞろと公園から出て行こうとすると、誰かしらから声をかけられる。
「う、うぅ・・・、私、私は?連れて行って、くれないのか?」
部長だった。半泣き、というよりもう泣いている。泣いてても可愛いな、撲殺したい。
「無理だ。お前が友達を作れなかったのがダメなんだろ?だったら大人しく諦めろ。自分の無力さを思い知って地面に這いつくばってろ」
「くっ・・・、別に良いもん!みんなと遊ばなくたって私には本があるから!!まだ読んでないのが3冊ぐらいあって、読みたい本なら10冊ぐらいあるし・・・」
「それ以上喋るな!悲しくなる・・・」
部長は痛い。このまま精神を崩壊させてやってもいいが、それではつまらない。もっともっと惨めな思いを長引かせて俺の暇つぶしになってもらわねば。
「部長はこのままナンパ的な要領で友達作りでもしてろ。困ったら電話してきていいから」
もちろん出るつもりはない。
「さっさと行きましょ。あまり状況は分からないけど、ブタが惨めで楽しいから」
「そうでございますね。雌豚はその程度がお似合いですね」
「言わせておけば・・・!絶対に友達作って吠え面かかせてやるからな!!」
ごちゃごちゃ言っている部長を置いて、俺と飯塚さんと和音とカノンと二葉さんは公園を出る。
「ごめんね、三ケ原さん・・・」
「すまんのぉ、部長・・・」
この二人はいい人だな。これで部長の『友達作り』に火がつくとでも思っているんだろうか。実際にそうなのかもしれないが、今回のはあくまで部長をいじめる為のものだ。そんな善意がこの俺にあるはずがない。
「さぁって、今日は楽しい一日にしましょうかね」
俺は満面の笑みを浮かべ(皆に一定の距離を置かれることになりながら)、デパートへと歩いていく。




