オレンジジュース的なもの
「くっ、これで私に勝ったなんて思うな!!」
「ふんっ、所詮は負け豚の遠吠えね。まぁワタシが優秀過ぎたんだろうけど」
「なにをぉ・・・!」
「まぁまぁ、そこらへんにしとけ」
部長とカノンはライバルっぽくなった。二人はゲームに始まり、テニスや卓球、ジャンケンや腕相撲などの勝負を延々とし続けている。正直面倒だが、いがみ合う二人の対決はそれはそれで面白い。そういえば部長と二葉さんもいがみ合ってたっけ。あれ、二葉さんはどうした?・・・俺が応接間の角に縄で縛って放置したような気がしないこともない。
「しばらく適当に二人で遊んどいてくれ、俺は用事があるから部屋に戻る」
「ついでにオレンジジュース持ってきて」
「なら私も」
「分かったから遊んどけ」
ジュースにタバスコなどなどを混ぜてみようか・・・。
「二葉さん、ご主人様のお帰りですよ」
「ご、ご主人様・・・、さすがに、ふぅ、長すぎませんか?・・・はぁはぁ、この縄、動けば動くほどキツく!なりますし・・・」
無様に地面に這いつくばる人間を見るのは楽っしいね!見ると縄が二葉さんの豊満な体に食い込んでかなりエロい。
「二葉さんそのままじっとしといてくださいね・・・」
『カシャ』
こうしてシャッター音を出して撮影が出来るとは・・・、感慨深いな。
「・・・そんな、ことより、早く解いてください・・・。私には、ふぅ、夕食の用意もありますし・・・」
かなり辛そうだな。
「二葉さん、解いてやりますけど一つ条件があります」
「条件?ですか・・・」
「はい。部長と仲良くやってください」
「無理です」
即答だな・・・。
「私を凌辱、ではダメですか?」
それほど部長は嫌いなのか・・・。それとも二葉さんがただの変態なのか・・・。
「いがみ合わなければいいだけです。カノンが部長とライバルっぽくなってるので、二葉さんが仲介人になって欲しんです」
ここ数時間、俺は部長とカノンの仲介人をやらされ続けた、正直疲れた。なので人に押し付ける。
「それなら大丈夫です。ふぅ、お料理の方は簡単なものしか作れなくなりますが・・・、それでも、よろしいでしょうか・・・」
「OKです。義父もいませんし」
義父はあまり家にいない。金を持つ為には努力をしなければならないのだ。『頑張るぐらいなら貧乏人のままでいい』俺はそう思う。
「はい解けましたよ」
「ありがとうございます。このまま二人でベットインしますか?」
「しません」
鬱陶しいな、あのまま縛っとけば良かったか・・・。
「とりあえず二人のところに戻りましょう」
「・・・あの、申し訳ありません。立ち上がれません・・・」
足が痺れているのか、二葉さんはなかなか起き上がれないようだ。
「手を引っ張って立たせて下さい」
「嫌です。足を引っ張ります」
「へっ!?きゃ!!」
一瞬可愛い声をあげた二葉さんの足首を掴み、引きずるようにして応接間から出る。二葉さんが恍惚な表情を浮かべていたので、結局手を引っ張って立たせた。
「はい、お待たせしました」
俺はコップに入ったオレンジジュースを二つ持って、部長とカノンのもとへと戻る。後ろには吐き気をもよおして顔が真っ青になった二葉さんを連れている。
「どうしたの、二葉さん?」
「それはその、うっぷ・・・、うっ、ごはっ!」
二葉さんが堪えきれずにオレンジ色の液体を吐きだす。その色があまりにも俺の両手にあるオレンジジュースの色と酷似していたため、部長とカノンに睨まれる。
「いやいや大丈夫だって、二葉さんに飲ませたのは栄養ドリンクだから。はい」
「あ、ありがと・・・」
部長は恐る恐る受け取る。
「こんなの絶対怪しい!昨日台所でなにか怪しいクスリを作ってたし!!」
カノンは受け取らなかったので、無理やり口を押し開けてオレンジジュースを飲ます。
「ごは、ごは・・・、ぐへぇ」
なんとか全部飲ましたのに全部戻しやがった。
「がはごほ・・・、な、何するのよ!!私を殺す気!!?」
「殺す気だけど?」
俺は、カノンが吐いたオレンジジュースにカノンの顔を叩きつける。
「・・・」
部長が完全に引いてしまったが、もうそんな事はどうでもいい。今この瞬間が楽しくてたまらない!
「どうだ?美味いだろ!」
「ごぐごぼごはぼ!!」
美味しくて言葉にもならないのか。俺はさらにオレンジジュースにカノン顔を押し付けてやる。
「ご、ご主人様・・・、それ以上は・・・」
頬をげっそりとさせた二葉さんが忠告してくる。確かにこれ以上やるのはさすがにヤバイか。
「よし、ここまででいいか!」
心優しい俺は、カノンをジュースの湖から開放してやる。
「がはっ!!ごほごほっ・・・、はぁはぁ、ふぅ・・・。くっ、何してくれんのよ!!このクソ司郎!!!」
「まぁまぁそう怒るなよ。オレンジジュースはまともだったろ?それを疑われて俺もついカッとなってな」
「明らかに楽しんでたでしょ!!!それに二葉さんのを見たら誰だって疑うでしょうが!!」
「あれは栄養ドリンクだぞ。納豆とくさやと韮なんかから抽出したエキスを配合してるだけの」
「どこが『だけ』よ!!!」
お前には飲ませてないんだから関係ないだろ。
「ほら部長、飲めよ」
「ひっ!!」
怖がった顔も可愛いんだな、踏み殺すぞ。
「飲まなかったら・・・、分かってるよな」
「あ、あぁ・・・」
声が震えまくってる。可愛くリスみたいに持たれたコップから、ジュースがこぼれてしまいそうだ。なんとなく写メるか。
「はいはい、ちゃっちゃと飲め」
「・・・(ごくり)」
部長が意を決してオレンジジュースを一気飲みする。
「!!」
ゴクゴクいっていた部長の喉の動きが止まる。静かにコップを口から話すと一言、
「美味しい・・・」
だろだろ!このオレンジジュースは無駄に美味いんだよな。カノンは味わわなかったから分からないだろうけどな。
部長はものの3秒でコップに入っていたオレンジジュースを飲み干すと、
「おかわり!」
と元気に言う。
「しょうがない子だねぇ」
俺はなんとなくおばあさん風に喋ると、もう一度キッチンへ向かう。
「はい、お待ちどうさまぁ」
またおばあさん風に言ってみる。今日の俺のテンションは、某熱血元テニスプレイヤー並みだ。
「よしっ、ありがとう!」
部長が一気に俺の渡したオレンジ色の液体を飲み干す。これはオレンジ色の液体であって、オレンジジュースではない。つまりは『俺特製、スーパー栄養ドリンク』だ。
「おえぇ!!」
部長が吐く。俺はその様子を写メる。
「本当にご主人様は最低ですね・・・」
「ありがとうございます!」
俺は渾身笑顔を見せる。
「ヒッ!!」
二葉さんにも怖がられるのか・・・。今度笑顔でカツアゲでもしてみよう。




