友達を作ろう
俺は、五十嵐先生と一緒に部長を尾行していた。
「なぜ私も付き合わなければないんだ?」
「俺一人ですれば変態でしょ、でも先生と一緒なら変態にはならない」
「もしくは更なる変態か・・・」
そうなってしまえばどうしようもない。
俺と先生で部長をつけている理由は、部長の友達作りの様子を観察するためである。念のために学内に大量の小型カメラと盗聴機を仕掛けてあるが、それは女子更衣室にカメラを設置する言い訳に過ぎないので使わない。
「ああ、更衣室のカメラは外しといたから。2つ」
「そうなんですか、やっぱり更衣室ダメですか・・・」
本当は3つ仕掛けてあるので問題は無い。
「あっ、動き出しました」
部長が教室から出てきた。休み時間中、部長は本を読むか寝るふりをしているだけなので、こうして廊下に出ること自体が珍しい。クラス内は昨日盛り上がって逢坂を燃やして終了してしまったのだろう。
勝負はむしろ今日だ。昨日の出来事が号外として校内新聞に載った。その影響は凄まじいものになるだろう。きちんとチャンスをモノにしろよ。
「あっ!あの、貴女って校内新聞に載ってた人だよね。私は生で見たんだけど、超かっこよかったよ!その話とか詳しく聴かせてくれないかな」
大チャンス到来だな。これは失敗するほうが難しいぐらいなんじゃないか?
「五月蝿い、私は今集中してるんだ。話しかけないでくれ、汚らわしい」
「えっ、あぁうん・・・、何かゴメンね」
見事に駄目にしたな。
「三ヶ原全然変わってないじゃないか。滝川はなにやってきたんだ?」
「俺は滝川じゃありません。大王です」
「そう言えばそうだったな・・・、で、大王は何をしてきた?」
ちっ、話をそらせなかったか・・・。
「遊園地行ったりショッピングモール行ったり?」
「彼氏になってどうする!?・・・はぁ、私は友達になってやれとは言ったが恋人になれとは言ってない。友達の必要性を感じなくなったらどうするんだ」
「友達に必要性なんかあるんですか?」
俺も友達がいるっちゃいるが、そういうのは全く理解できない。今でも「友情が俺の力だ!」とかほざいているアニメなんかをを見るとヘドが出る。そもそも友情に力なんて宿らないし、ましてや暴力の為の友情パワーだとか腐りきっている。
「三ヶ原がお前を探してるみたいだぞ」
先生が長い髪をかきあげながら言う。確かに捨てられた子犬のような目で部長が辺りを見回している。ここで見つけられては面倒なので、俺は物陰に隠れてカメラで監視することにする。
「先生は頑張って見張っててください」
「先生が生徒をつけるのはまずくないか?」
いつも職権乱用し、俺に仕事を押し付けてくる腹いせだ。せいぜい生徒からの評判下げとけよ。
「なんで先生もついてくるんですか?尾行しといて下さいよ」
「私の生徒からの評判はいい。教えるのが上手くて、優しくて、しかも美人!何よりも美人!!だから無理だ。評判は下げれない」
「彼氏なしが何言ってんですか?鏡見てから言いやがってください」
ヒールで足を踏まれた。しかも、そこからグリグリしてくる。とても教師の所業とは思えないが、これが五十嵐先生だ。俺とまともに会話が出来るぐらいだから普通な筈がない。
「お~い、外道く~ん!僕と一緒に遊ぼうかぁ!!」
逢坂だ。楽しそうな台詞なのにハンパじゃない殺気を含んでいた。現に出会い頭に俺の両目に指を突っ込もうとしてきた。俺は逢坂のV字になった指をおかしな方向に曲げながら説得を試みる。
「なんだ、どうかしたのか?」
「貴様のせいで僕の評判は地の底だ。だから殺す!!」
逢坂の振り上げた足が俺の鳩尾にクリーンヒットした。勿論逢坂の二本の指を道連れにしたが、採算が合わない。
「て言うかなんで俺の足、踏みつけたままなんですか!?もう少しで捻挫するところでしたよ!!」
「楽しそうだったからな」
もう教師でも何でもない、只の鬼だ。
「あなたたち、そこまでにしなさい!!」
生徒会長がやってきた。いつもは神様死ねとか思っていたが、こう言うときだけ信仰心を忘れない。神様ありがとう!!
「やるならもっと凄惨に、二度と何もしたくないと思えるほどに痛めつけなければいけません」
神様死ねや!!
「ふん、生徒会長のお墨付きがあれば怖いもの無しだ!!」
人差し指と中指を押さえながら逢坂が笑う。
「このことは私が隠滅しといてやる。存分に暴れろ!!私をブスだと言ったことを後悔させてやれ!!!」
そこまでは言ってないよ!!だからお願いします、助けて下さい・・・。
「少し手荒になりますがこれも学園の為、更正してもらいます!!」
その警棒はなんなんですか!?逢坂以外は便乗してるだけだよね、何なんですかこの逆に笑っちゃう位の不幸は!!
「これも普段の行いが悪いからなのか・・・、はっ、ははは・・・」
「なんだろ?どこかから外道君の悲鳴が聞こえたようなぁ~・・・、まぁ気のせいだよね!」
飯塚さん、助けて・・・(ガクッ)。




