デート的なもの2
「こ、こんなのでどうだ!?」
「スゴイな、チョー可愛いぞ」
俺は部長に水着を試着してもらった。紐よりは太目という程度のかなりエロめなやつだ。そんなものでも着こなしてしまうとは・・・、写メりまくろう!
「スタイル良すぎだな」
照れる部長を撮り続ける。
「や、やめろ・・・、恥ずかしいだろ・・・」
いやぁ、いいねぇ!思っていた以上に部長が可愛い。これは8万円で売れるかもな、逢坂金持ちっぽいし。
「!?」
背後に強い殺気を感じてパッと振り返る。
「どうした?外道」
「い、いや・・・、な、なんでもない・・・」
振り返った先には二葉さんがいた。柱の陰に隠れてこちらを尾行していたようだが、その柱に二葉さんの指が食い込んでいた。これ以上刺激するとヤバイ・・・。
「ぶ、部長!ちゃっちゃとそれ買ったらどうだ!?すごく似合ってるし!!」
「そ、そうか・・・、可愛い?」
クソ可愛いぞ、絞殺したくなるほどに。
「可愛いな」
「それじゃあ買おう!」
部長がレジに向かい購入する。
「すぐに出よう!もうここには用もないし!!」
一刻も早くこの場所を離れたかった。同じ場所にいると殺されそうな気がした。
「外道、手を繋いでもいいか?」
「あ、ああ・・・」
二葉さんの殺気がさらに強くなったが、俺は部長と手を繋ぐ。美女と手を繋ぐなんてチャンスは逃したくない。
「やっぱり外道は温かいな・・・」
俺を温かいなんて言うのは部長ぐらいだ。大抵の人には血も涙もない冷徹人間と呼ばれるからな。
「部長もあったかいぞ」
「そ、そうか・・・」
部長の頬が赤くなる。写メってみたかったが片手が塞がっているしやりづらい。もしかしたらこれが目的なのか!俺と手を繋ぎたいなんて普通考えられない・・・。
「部長!何を企んでいる!?」
「なんのことだ?」
何も企んでいないらしい・・・、面倒だしもういいか。
「次はどこに行くんだ?私はどこでも良いぞ」
「なら俺に付いてきてくれ、行きたい場所がある」
俺は部長の手を引き、ある店の前で立ち止まる。
「こ、ここって・・・」
「ここに知り合いがいるはずなんだ」
俺は店のドアを開ける。
「「「いらっしゃいませ、ご主人様!お嬢様っ!」」」
三人のメイドさんが俺たちを迎えいれる。さすが本物、部長のクラスメイトよりも遥かに可愛い。
「外道!どういうことだ!?」
「まぁいいから、ここのオーナーが確か・・・」
俺は携帯を取り出しメールをする。普段はネットでやってるのでだいぶ時間はかかったが、これに反応すれば・・・。
「ん、なんや?今日は取引とかないはずやのに・・・」
ケチャップでLOVEと書かれたオムライスを食べている男が携帯を取り出す。
「長曽我部先輩、ですよね」
俺は男に近付く。染め上げた金髪に銀縁眼鏡をかけ、ダークスーツに身に包んだ身長190センチぐらいの大男だ。
「誰や?キミ」
「俺は外道です。長曽我部先輩が毎週日曜日にここにいる、と聞いていたので来てみました」
「おお、君が外道君なんか!それで隣の子が部長ってゆう子か!」
「そうです」
「しかし生で見るとホンマにかわええな!でも外道君もイケメンやん、モテモテなんちゃうん?」
「そんなことありませんよ、長曽我部先輩こそイケメンじゃないですか。モテないなんて嘘じゃないんですか?」
「顔は良くても性格がアカンらしいねんよな・・・」
「長曽我部先輩は変態ですからね」
「変態ちゃうわ!・・・でもここに入り浸っとる時点で変態か・・・」
全く話についていけない部長が聞いてくる。
「この人は誰だ?私のことを知ってたみたいだけど」
「仲介人だ、写真を売りさばくための」
「そうやで、僕は長曽我部ってゆうねん。外道君のエロ写真なんかを売りさばいたりしてますぅ」
「な、なら・・・!!」
部長の肩が震える。
「私のことを長曽我部っていう人が知っているのは・・・」
「部長のパンツの写真なんかを長曽我部先輩に渡しているからだ」
部長に顔面を殴られる。カノンのよりも痛い!
「外道!!人の許可もとらずに写真を売るとはどういうことだ!!」
「だって許可なんて絶対してくれないだろ!」
「当たり前だ!!」
部長が再び拳を振るう。俺は間一髪のところでかわす。長曽我部先輩はその様子を羨ましそうに眺めている。
「俺が写真を撮っていたのは逢坂に頼まれていたからだ!」
次撃を準備していた部長の手が止まる。適当についた嘘だが、一応効きはしたようだ。
「あのうざい人か・・・」
部長にうざい人と呼ばれているのは本当だったのか・・・、頑張れ逢坂!きっと他にもいい人見つかるよ!
「そう!その人が全部悪いんだ、俺の弱みを握って・・・、シクシク」
「そうか・・・、何の事情も知らずに怒ってしまってすまない!」
部長が頭を下げてくれる。良かった良かった、逢坂に罪をなすりつけることに成功した。
「さっきの嘘やな・・・、外道君はホンマに外道なんやな・・・」
長曽我部先輩がしきりに『せやな、せやな』と頷いている。
「とにかく一緒にコーヒーでも飲みましょう!逢坂は明日にでも潰せばいいんだから」
「そうだな、明日はうざい人を潰そう!」
部長が力強く答える。
「かわいそうやな、逢坂ゆう人・・・」
そんなこんなで俺と部長のデートっぽいのは終了した。




