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腐れたちの学園生活  作者: 馬鹿面
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3人目の文芸部員

 「邪魔しまーす」

 美術室に入ると、美術部員の美少女がいた。ずっと美少女と呼び続けるのは面倒なので名前を聞いてみる。

 「あんたの名前って何て言うんだ?」

 美少女は最初自分のことだと思っていなかったらしく、辺りをキョロキョロしてから自分の顔を指差す。

 「ああ、あんただ。ちょくちょく顔も会わせていくだろうし名前ぐらいは把握しておきたくて」

 「うーんと、私はいいづか なみ。ヨロシクっ」

 スゲー!考えてみれば、女子とまともな会話をしたのは久しぶりだ。おばさんと腐れを除いて。

 「もう知ってるだろうとは思うけど、俺、滝川 仁。外道って呼んでくれ」

 「うん、分かった。外道君!」

 少しテンション高めで美術室の奥にある美術倉庫のドアを開ける。そこには様々な絵が保存されており、広さは十人が座れば埋まってしまう程度。その中心に、ポツンと椅子だけ置いて本を読んでいる美少女がいた。

 「おう部長!」

 「お、おう、外、外道!奇遇だな!!」

 こいつはこの文芸部の部長。三ヶ原というが、名前を呼ぶのは何か恥ずかしいので部長と呼んでいる。

 「奇遇もなにもここは俺たちの部だ。もう少し肩の力を抜け」

 ガチガチになったその姿を写メっておく。

 「な、なにを撮ってるんだ!!ケータイを渡せ!!」

 さすがに怒られるか。調子にのって気出したらこの写真を見せてやろうと思ったのに。そこで部長が口を開く。

 「ああ、そう言えばケータイ番号を交換していなかったな」

 棒読みだ。最初から用意しておいたんだろう。

 「ケータイ番号交換しておくか?」

 「あ、ああ、番号とかを交換しておかなければ業務連絡とかが出来ないからな」

 別に業務連絡じゃなくて連絡だけで十分なんじゃないじゃないだろうか。

 「携帯の登録方法とか分からないからそっちの方でやっておいてくれ」

 「へ、あ、ああ、わ、分かった!」

 こいつ知らないな。仕方ない、不本意ではあるが助けを借りるか。

 「飯塚さん、ケータイの番号登録とかってどうやるの?」

 「ん、どうしたの?」




 「ぷー」

 部長がふてくされていた。いいところでも見せたかったんだろうか?『私の番号も入れておいたから』とか飯塚さんが言っていたが、そのリア充感が腹立たしい。とはいえ、親戚の番号だけが入った俺のケータイに美少女二人分の番号が入ったことは大変喜ばしいことだ。

 「部長、ところで文芸部ってなにするところなんだ?」

 「んー、何だろう?私が入ったときには部員が一人もいなかったからな」

 「じゃあ何でお前はこの部に入ったんだ?」

 「む、むむむ・・・」

 部長は良い答えを探して少しの間悩んでいたが開き直る。

 「学校に自分だけのプライベート空間を作ってみたかったんだ、何か文句でもあるか」

 何じゃそら。それで手に入れてみたはいいものも一人でいると寂しかったから俺が呼ばれたと。ふざけるなよ。

 「それじゃあこの部の活動方針を決めておく。部長は職員室に行って五十嵐先生を呼んでこい。俺はここで待っておく」

 「何で私が?」

 「部長だろ?」

 最っ高だ!!部長だろ?と言うだけで大体部長に押し付けられる。なんて便利な世の中だ!

 「ぷー」

 渋々部長が職員室へと向かう。

 「いってらー」

 部長を送り出してから部長の荷物をあさる。すぐに元に戻せるように、キチッと考えながら。

 「ほー、5000円も持っているのか。生意気だな。100円だけでも盗っておいてやろう」

 その後も部長の荷物をあさり続け、廊下からかつかつとヒールの音が聞こえだしてから元に戻す。

 「おー、まさか本当に来てるとはな」

 顔だけはいい、性格オバサンの年齢25歳の女教師、五十嵐先生が話しかけてくる。

 「何なんですか。俺だって約束ぐらいは守りますよ」

 「しかしなんで女の子を出ていかせたんだ?」

 「職員室遠いですから。それに部長はこきつかわれるためにいますし」

 先生は長い髪を掻きあげながらため息をつく。

 「本当にお前はクズ野郎だな・・・」

 「どうもありがとうございます」

 もう恒例となった挨拶を交わしてから本題へと入る。

 「先生、文芸部って何をするところなんですか?俺たちは知らないので教えてください」

 「私の学生時代の話しかできないが、まぁ簡単に言えばオタクの集まりだったな。文化祭に描いたアニメの絵を飾ったり、自作の小説を展示したり」

 ほう、そんなものなのか。

 「部長、どうだ?」

 「んー、そういうのは好みじゃない。本を読んでその報告とかでいいんじゃないのか?」

 「それだと図書部になるんじゃないか?先生、この学校って図書部、ありましたっけ」

 「あったと思うぞ」

 「それじゃあ無理ですね。なら部長のヌード写真集を売り出せばいいじゃないですか?売り上げ、スゴいことになりますよ」

 「な、何を真顔でセクハラ発言してるんだ!!」

 顔を真っ赤にした部長に頭を叩かれる。これはこれで良いかもしれない。

 「あのな、まず最初に言っておいていいか?」

 「何をですか?」

 「正確には文芸部は部活じゃないんだ」

 俺は部長の方を睨みつける。部長は、その大きく綺麗な目を逸らす。

 「部っていうのは3人以上いなければ成立しないんだ。顧問のほうは私で大丈夫だが」

 「でも俺は入部届出しましたよ」

 「文芸部は元々名前だけだったんだ。そしてその部に三ケ原が入った。それでお前も」

 「部として存在はしているけど、認められてないってことですか?」

 部長は素知らぬ顔で本なんか読んでいる。しかし上下さかさまだ。

 「ああそうだ、だから文芸部はサークルみたいなもんだな」

 「なら俺たちって何もしなくていいじゃないですか!」

 「この部はお前たちを矯正する為のものだ。だから何かやることは必要だな」

 「そんなことを言うなら五十嵐先生、私達は何をすればいいんですか?」

 部長も会話に入ってくる。

 「そうだな・・・。こういうのはどうだ?人助けの部とか」

 「ありきたりすぎて嫌です。もっと他に何かないんですか?」

 「そんなことを言うんだったらお前たちで考えろ」

 「どうする、部長?」

 部長は長い睫毛を下げながらしばし考える。

 「・・・普通に小説を書く、でいいんじゃないのか?」

 「自分の書いた小説をみんなに見られるんだぞ。全校生徒から酷評を受けてもいいのか」

 「それは言い過ぎだと思うが、確かにそれはキツイな」

 しかも友達がいないぶん笑い話にならない。

 「やはりここはヌード写真集を」

 「それはムリだ!!」

 反応が早い、少し俺に慣れてきたのか?つまらない。と、そこへ飯塚さんがやって来た。

 「あの、外道君たち?私と一緒に絵とか描かない?」

 飯塚さんが小首をかしげる。それに伴って可愛らしいショートボブの髪が揺れる。

 「先生、美術部は飯塚さんしか居ないみたいですけど部なんですか?」

 「あぁ、美術部は幽霊部員が一杯いるからな。とりあえずは部だ」

 なら俺にいい案がある。他に部員が来ていないということは美術部は飯塚さん一人も同然。ならば美術部には飯塚さんがいなくても誰も困る人間はいないということだ。

 「部長」

 「何だ?・・・私はヌードなんかしないからな!!」

 プクッと頬を膨らませるその顔もかわいい。足を踏み潰してやろうか。

 「いいや、そうじゃなくて、飯塚さんを文芸部に入れてみないか?」

 「えっ!?」

 反応したのは飯塚さんだ。

 「飯塚さんに絵を描いてもらって、俺たちはだらだらと過ごすんだ」

 部長は長い髪を揺らしながら頷く。

 「それ、いいな!」

 「えっ、いいな、なの!?」

 よし決まりだ。飯塚さんを文芸部に入れよう。

 「私、美術部に入ってるから入れないよ!」

 「先生、兼部ってアリですよね」

 「ああ」

 「というわけでよろしく、飯塚さん!」

 「私の方からもよろしく!」

 「えっ、ええーっ!!」

 飯塚さんが可愛らしい声で悲鳴をあげる。

 「これで部として認められるな。部長、入部届!」

 「ここにあるぞ!」

 「ちょ、私の意見は・・・」

 

 こうして文芸部は、正式な部となった。

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