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腐れたちの学園生活  作者: 馬鹿面
15/41

新しい家

 「・・・だるい・・・」

 俺は山道を歩いていた。きちんと整備はされており、アスファルトがしかれてはいるが、ただの居候学生にはタクシーを使う金があるわけもなく、かれこれ2時間ずっと歩き続けていた。

 「クソ!タクシー乗りたくなってきたけどタクシーが来ない!!」

 俺がなぜ山道を歩いているかというと、それは新しい居候先へ行くためである。その家は大層な金持ちであるらしく、財閥というものらしい。エロ写真を売ってちまちま稼いでいるような貧乏学生には、とてもじゃないが想像出来たものではない。

 「はぁ、しんど・・・」

 金持ちで車持ちだからって遠すぎだ!!俺は何度も何度もため息を漏らしながら、残り1時間もあるらしい長い道のりを、一人でとぼとぼ歩き続けた。






 「やっ、やっと着いた・・・」

 携帯を見ると、すでに時刻は午後1時。歩き始めたのは午前9時だったから4時間もかかったことになる。新しい義父からは3時間と聞いていたので、1時間もサバを読まれていた、ということになる。これは詐欺だな、訴えてやりたい。

 『ピンポーン』

 俺がチャイムを押す。門から家までがとにかく遠い。歩いて30分でも足りないくらいだ。

 『はい、こちら大王おおきみです。どちら様ですか』

 インターホンからやけに冷たい女性の声が聞こえてきた。

 「今日から大王の家の養子になることになりました、滝川仁です」

 『仁様でしたか、今から迎えに参ります。しばらくの間、私の裸体でも想像しながら待っていてください』

 変態発言しやがった!!声に抑揚がないから逆にエロいな、今度部長にもやらせてみるか。





 迎えがやってきたのは5分後だった。黒の、とてつもなく長いリムジンの運転席から出てきたのは、ピシッとした執事服を着た若い女だった。五十嵐先生より少し歳がいっているくらいか。

 「私の裸体は十分に想像できましたか?想像以上にきれいでしょう」

 とても執事の発言とは思えない。初対面でナルシストな変態発言とは・・・、なんとなく写メっておこう。

 「もっと撮ってもいいのですよ。どうせならフルヌードを・・・」

 「いえ!結構です!!」

 さすがの俺も断る。この人は本能的に怖い。

 「そうですか、仕方がありませんね。では家まで送ります、こちらの車に乗ってください。どうせなら私に乗っても構いませんよ?」

 「では車に乗ります」

 俺は華麗にスルーする。

 「中も凄いな」

 リムジンの中には長机があり、その上にはシャンパンが置かれていた。

 「私を酔わせて襲っても構いませんよ」

 「襲いません」

 この人といると調子が狂う。本当に襲ってしまおうか。





 「こちらでございます」

 俺は執事が指差さした先を見上げる。

 「くそデカイ・・・」

 首が痛くなる。豪邸過ぎだろ!これは家というよりも城だ。こんな金があるなら社員にまわせ!!

 「とりあえず入りましょう」

 変態女性秘書に従い豪邸の中に入る。中は、想定どうりというかなんというか、とにかく凄かった。床には赤い絨毯が敷かれ、高い天井には巨大なシャンデリアが光っている。玄関だけで普通の一軒家が丸ごと入ってしまいそうなほど大きかった。

 「早く靴を脱いでください、こちらスリッパです」

 こんな洋風でも靴は脱ぐんだ・・・。

 「大王おおきみ様は二階の書斎にいらっしゃいます」

 「え、あぁ、はい」

 俺は場違いな気がして緊張してきた。俺ってこんなキャラだったっけ?

 「その前に私と寝ますか?」

 「寝ません!!」

 やっぱりなんか違うな・・・。





 「君が仁君、だね」

 書斎には、革のソファーに座った大男がいた。その大男は、高そうなタキシードを身にまとい、ガシガシとした黒髪にシルクハットをかぶっている。葉巻なんか初めて見た、実在してるんだな。

 「は、はい」

 俺の声が裏返る。この大男には、相手に有無を言わせない迫力がある。

 「これから私が君の父親となるわけだが、なにか質問はあるかね?」

 「えっと、今通ってる学校にはそのまま通えるんですよね?」

 「ああ、この前電話で頼まれたとうり、部室の増築も行っている」

 一週間ほど前に、俺はこの人と電話で会話した。その時に部室の増築、学校への残留を頼んだ。

 「あの、この場所、聞いてた以上に遠かったので車で送り迎えとかしてもらえますか?」

 「あぁ、そこの二葉ふたばに頼んでおく」

 あの変態執事は二葉というのか、名前だけは可愛らしいな。

 「カノン様と一緒でよろしいでしょうか?」

 「あぁ、仁君とは仲良くなってもらわねばならぬからな」

 「その仁君っての止めてもらえませんか?これからは司郎しろうなので」

 「ん!?どういうことだね?」

 「俺は家が変わるごとに、苗字だけじゃなくて名前も変えてるんです。いわゆる願掛けってやつですね」

 俺が名前で呼ばれるのを嫌がっていたのはこのためだ。ニックネームならば呼び方は変わらない。

 「それでは司郎君でいいのかね」

 「はい」

 これから俺は大王おおきみ司郎しろうだ。若干逢坂と被った感のある名前になったがしょうがない。逢坂の方に名前を変えさせてやろうか。






 書斎を出た後、俺は二葉さんに案内されてある部屋の前に立っていた。

 「ここは?」

 「私の部屋です。あなたに見せたかったのです。特にベットの方を、ガ八ッ!!」

 俺はついにチョップを繰り出した。

 「な、何をするんですか!!」

 二葉さんが初めて抑揚のある声を出す。ヤバイ!チョー楽しい!!

 「えーっと、これ以上セクハラ発言したら闇討ちしてボコボコにします!」

 俺はなるべく明るい笑顔を意識して言う。

 「あ、あなたは悪魔ですか?・・・」

 やっぱりそうだ、俺は友好的な笑顔を浮かべれば浮かべるほど恐ろしい顔になるらしい。今度不良狩りの時にでも使ってみよう、より相手の精神をズタボロにできる。

 「司郎様は最低ですね・・・」

 「ありがとうございます」

 やっと元の調子が戻ってきた。





 「ここがカノンとか言う人の部屋ですか?」

 「はい、ご主人様。私を罵ってください、首輪とかつけてください」

 なんだか二葉さんのキャラが崩壊した、これはこれで扱いづらい。俺は二葉さんにもう一度チョップを食らわせてから、ドアをノックして扉を開ける。

 「失礼します」

 重い木の扉を開けると、そこにはいかにもお嬢様って感じの部屋があった。巨大な化粧棚だったり天蓋ベットだったり。

 「ワタシがまだ許可も出していないのに勝手にドアを開けるとはどういうことなの?」

 その部屋の真ん中に、胸の前で腕を組んで偉そうに仁王立ちしている女の子がいた。中二ぐらいだろうか。長い金髪を縦ロールにして、威圧的な目が印象的だ。服装も部屋と同じくお嬢様って感じの可愛らしいドレスを着ていた。

 「五月蝿い黙れ、俺は義兄だぞ。もうちょっと敬え」

 「はぁ?あなたなんかがワタシの兄になる人なの!?」

 俺はいきなり評価が低くなった。最初はもっと下手に出ていた方が良かっただろうか?

 「お前がカノンか?」

 「ええ、そうよ!こんな美人見たことないでしょ!!」

 ナルシストか。最近ナルシストをよく見るな。逢坂とか二葉さんとかカノンとか。

 「カノン様、ご主人様にそんな口を叩かないでください」

 「ご主人様?パパに変なこと言ったかしら?」

 「ご主人様はこのお方です」

 二葉さんが俺を指差す。

 「ど、どうも・・・」

 何となく頭を下げてみる。

 「・・・なっ!!あなた、どうやって二葉さんを買収したの!?ワタシにもうまく制御できなかったのに!!」

 「チョップして笑いかけたらこうなった」

 俺は素直に答えてやる。

 「それじゃあワタシもチョップを・・・」

 カノンがチョップをしようと二葉さんに近付く。俺は気付かれないように、カノンのドレスの下を撮っておく。

 「カノン様、先ほどパンツの写真を撮られましたよ」

 ばらすな!!カノンが俺のことを睨んでくる。

 「おい、俺は何も撮ってないぞ。勝手なことを言わないでくれ」

 俺は二葉さんの頭を叩く。二葉さんが恍惚な表情を浮かべるが、今はそんなことはどうでもいい。

 「もし俺が本当に撮っていたとして、お前はどうする」

 「殺すわ」

 即答だ!しかもニッコリ笑顔で!!俺は速攻でデータを消去する。

 「ほら、俺はなにも撮っていないだろう!!?」

 俺は携帯をカノンに投げつける。しばらくの間俺の携帯をいじっていたカノンだったが、それが終わるとベットのそばに置いてあった護身用と思われるスタンガンを取り出す。

 「えっ!なんでだ!?お前のは無かったはず!!」

 「私のは無くても他の女の子のがあったのよ!!」

 「フギャ!!」

 俺はスタンガンを受けてしまう。電流の強いスタンガンだったらしく、俺の意識が一瞬とびそうになる。

 「な、何をするんだ!!」

 「この変態!!義理でもこんなやつが兄になると思うと虫唾が走るわ!!」

 酷い言われようだな。

 「カノン様、私にもスタンガンをうってください。私に刺激を」

 二葉さんが変態丸出しだが無視をする。

 「俺は観賞用として撮ってるんじゃなくて売るために撮ってるんだ!だから変態じゃない!!」

 「そっちの方が変態よ!!」

 もう一度スタンガンを食らいそうになるが、すんでのところでかわす。

 「とりあえず話し合おう!!」

 「話し合いたくないわよ!こんな変態と!!」

 和音の時もこんな感じだったな、と思いながら、カノンがもう一度繰り出したスタンガンを受けつつチョップする。

 「フギャ!!」

 それほどうまく決まらなかったが、十分隙は作れた。俺はカノンを押し倒す。

 「な、何を!?」

 カノンの手からスタンガンを奪い取ると、そのまま部屋の隅へ投げつける。

 「くっ、離しなさい!!こんなことをしてただで済むと思ってるの!?パパに報告して家から出てってもらうから!!」

 「嫌だ。なんならお前がその報告をできなくなるような恥を、今ここで作ってやってもいいんだぞ?」

 「け、汚らわしい!!ワタシに触らないで!!二葉さん!助けて!!」

 二葉さんは入口のところでじっと立ったままだ。

 「離しなさい!!」

 「嫌だ」

 俺はカノンにのしかかるようにして抱きしめる。

 「は、離しなさい!!触らないでよ!!!」

 ものすごく嫌がられているが、大体こういう時は、抱きしめたら何とかなるんじゃないだろうか。彼女がいない歴=年齢の俺は、なんとなく想像で考えてみる。

 「俺はお前が好きだ!付き合ってくれ!!」

 「は、はぁ!!?」

 大体こういう時は、告白すれば何とかなるんじゃないだろうか。告白をされたこともしたこともない俺は、適当に考えてみる。

 「結婚してくれ!!」

 「な、何言ってんのよ!!!」

 大体こういう時は、プロポーズをすれば何とかなるんじゃないだろうか。恋愛ドラマすら見ない俺は、フワフワとした想像のもと考えてみる。

 「私も押し倒してください、ご主人様」

 二葉さんが鬱陶しいが無視をする。

 「とにかく俺を許してくれ。これでも反省はしてるんだ」

 本当は全くしてないけどな。

 「あ、貴方はいきなり何を言うの!?ワタシは14歳だし!貴方も15,6でしょう!!」

 プロポーズのやつ引っ張ってるのか?

 「年齢なんて関係ない、愛は国境を超える!」

 何言ってんだ、俺!?

 「その、まだ付き合ってすらいないのに結婚なんて・・・」

 愛の告白シリーズは失敗だったか。なんだか面倒くさい。

 「とにかく、俺がこれからお前の兄だ。よろしくな」

 「う、うん・・・」

 とにかくこれからは、大王司郎として金持ちライフを送っていこう!

 「私は犬にしてください、ご主人様」

 ベットの上で服を脱ぎ始めた二葉さんにチョップを食らわす。

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