可哀そうな逢坂
『外道の休日』の次の日です。
「おい、外道。この僕が会いに来てやったぞ、せいぜい感謝するんだな」
1時間目の数学Aが終わった後、逢坂が偉そうに俺のクラスにズカズカと入ってきた。
「キャー!逢坂君よ!!ホントかっこいいよね、誰か付き合ってる人とかいるのかなぁ!?」
「そりゃいるでしょ。あんなイケメンなのに彼女がいなかったら、それこそ性格を疑うわ」
クラスの女子がざわめく。やっぱり周りから見てもイケメンなんだな。溺死しろ。
「なんだ逢坂、俺のクラスまで来て。部長のエロい写真ならないぞ」
「っ!その話はするな!!」
逢坂が周りをキョロキョロしながら吠える。
「五月蝿いな、いちいち喚くな負け犬が」
「ふん、全てで自分の方が劣っているからって僕を負け犬呼ばわりして気を紛らわそうとしてるんだろう。だが別に恥じることはない。この僕とは、そもそも立っている場所が違うんだからな」
なぜいつも上から目線なんだ?
「俺が言ってるのは部長のことだ」
「三ケ原さんのことか。ふっ、今朝、僕は三ケ原さんと会話をした。しかも!三ケ原さんが僕にニックネームをつけてくれたんだ!!うざい人、と!」
こいつはうざいの意味を知らないんだろうか。知ってて言ってるなら屑だな。どМだな。
「そんな程度か」
「何!?これで貴様と並んだはずだ!!」
「俺は部長と友達になった」
「・・・っ!!」
逢坂が胸倉を掴んでくる。
「貴様!!どうやった!!脅したのか!?脅したんだろう!!!」
うぜぇ・・・。俺は胸倉を掴んでいる逢坂の手から小指だけを掴み、本来なら曲がらない方向へと曲げてやる。
「ごが!!」
逢坂が絶叫する。もちろん骨は折ってない、こんなところで問題を起こす気はさらさらない。
「き、貴様ぁ!!」
小指を抑えて床に座り込む逢坂。いやぁ、調子乗ってるやつを見下すのって最っ高だな!!
「何アレ、滝川、ホントにやばいな・・・」
「あれって笑ってんだよな・・・」
「チョー怖っ!!」
「あいつに関わるとああなるぞ!!」
また俺の評判が下がった。部長と出会ってから周りからの評判は底を突き抜け続けている。
「逢坂、とりあえず帰れ。俺を超えられるもんなら超えてみろ!!」
「・・・僕に勝負を挑んだこと、すぐに後悔させてやる!!それではな、屑外道」
「外道!なぜ電話に出なかった!!」
俺が部室につくやいなや、先にいた部長からキレられた。
「そういや昨日・・・」
俺はケータイを見てみる。そこには5,60件にも及ぶ着信があった。正直怖い。
「もう一度聞く、なぜ電話に出なかった!!」
「・・・休日は、人と話したくないからです」
俺は素直に白状をする。こういうのは先に言っておいた方が長引かない。
「人と話すことが嫌いなのか?」
「当たり前だろ。なんで必要もない会話をしなければならない?」
「ならこの会話もか?」
少し悲しげな顔になる部長。クソ可愛いな。生首にして売り出したい。
「別にそういう訳じゃない。部長をからかうのは楽しい。でも部長の長所は顔だ。だから電話やメールは嫌だ」
「それって褒めているのか?それともけなしているのか!?」
けなしてるに決まってんだろ。
「とりあえず休日には電話をかけてこないでくれ。そうじゃなきゃ本当に死ぬ」
「外道、お前はそれほどまでに人が苦手だったのか・・・」
同情するな!けなせぃ!!
「な、なら!!その・・・、げ、外道と直接会えばいいんだな!!」
声が裏返っていた。
「はぁ?休日に会うのか!?」
「あ、ああ!!」
また声が裏返っている。
「別にいいぞ」
「え、えぇ!!いい、のか?」
部長が驚く。部長が言ったから許可したのに。
「俺は家から出たくはない。部長が勝手に来るなら別にいい」
「家から出ない!?ということは、私が外道の家に行くのか・・・!?」
「そうなるな」
部長の顔が、カッと赤くなる。
「・・・あぁ!!今度行かせてもらおう!!」
またまた声が裏返っている。
「でも今度引っ越すからその時にな」
「ひ、引っ越す!?」
「と言っても、この近くだから高校には通ったままだ。ただ住む家をかえるだけだ」
「ふぅ・・・」
部長が安心する。
「引っ越しは7月に入ると終わるから、またその時な」
「そ、そうだなっ!!」
部長が笑顔になる。本当に可愛いな。死ねばいいのに。




