外道の休日
文化祭の振替休日の月曜日のこと。
『・・・ブルブル、ブルブルブル』
俺が家のダイニングでざるうどんをすすっていると、ほとんど鳴ったことのない、俺の携帯電話が喚きだす。
「なんだ?」
詐欺かと警戒しながら、携帯の通話ボタンをゆっくりと押す。
「はい、もしもし?」
『あっ、繋がった!!私だ私!』
「新手のワタシワタシ詐欺ですか?・・・それじゃあ切ります」
『えっ!ちょっと待て!!私は・・・』
通話を終わらせる。俺に家族はいないし金だってない。かけてくるんだったらちゃんとリサーチしてからにしてほしいものだ。
『ブルブルブル、ブルブルブル』
また俺の携帯が鳴る。常にマナーモード設定だが、次からはサイレントマナー設定にしておこう。一応通話ボタンを押してみる。またワタシワタシ詐欺だったら切ればいいだけだ。
「はい、もしもし」
『おい、なんでさっきは切ったんだ!外道のくせに生意気だ!!』
「なぜ俺のあだ名を!?リサーチしてないはずじゃ・・・」
『リサーチ?何を言ってるんだ?」
リサーチもせずに俺のニックネームを知っているとは・・・、こいつ、予知能力者か!!
『私は三ケ原だ。この番号、外道のだよな』
「なんだ部長か、しょうもないな」
『どういうことだ!?私が電話をしたら悪いのか!?』
別にそんなことは言ってない。ただ、部長から電話が来たところで面白みがないだけだ。部長の長所は顔だ。だから顔が見えなければ部長の存在価値はほぼゼロだ。
『外道、今最低なことを考えてなかったか!?』
なぜ分かる!あんたはサイコメトラーですか!?
「で、なんで電話なんてかけてきたんだ?また明日になれば会えるだろう」
『それは、その・・・。外道の声が聞きたくて・・・』
彼女みたいなことを言うな!なんだか蕁麻疹がでてきた・・・。
「それじゃあもう聞けたな、切るぞ」
『だから待てって!!』
俺は通話を終わらせる。ふぅ、休日も人と話すことになるとは。俺はケータイをサイレントマナー設定にする。もういっそのこと携帯の電源を落としてしまおうかと思ったが、カメラ機能はよく使うので残しておく。ケータイをポケットにしまうと、俺はうどんを食べるのに集中する。やっぱりうどんはざるが一番だな。
「部長は顔が一番だな」
人に聞かれるとドン引きされるかもしれないが、これが俺だ、仕方ない。
ざるうどんを食べ終えると俺の部屋に戻る。今住んでいるのは、父方の叔父さんの嫁の弟の嫁の父親の姉の夫が前の妻との間に作った娘の家族の家だ。正直全く血は繋がっていない。俺は両親を亡くしてから親戚の家を転々としている。高校に入ってからお世話になっているこの家も、もうすぐ出ていく予定だ。次の家は金持ちなので高校卒業までは養ってほしい。いちいち引っ越すのも面倒だ。
「パソコン起動っと」
俺はノートパソコンを起動させる。大体いつも俺はパソコンをいじっている。
「ほう、写真売れたのか」
俺が売ったのは和音の写真だ。オークションに出して売るのではなく、仲介人を使って売りさばく。そもそも犯罪すれすれというよりも犯罪だ。ネットに上げれば即逮捕だ。
『そこそこいい値段で売れたで』
仲介人からのメールが来ていた。仲介人は長曽我部という名前で、俺は敬意を込めて長曽我部先輩と呼んでいる。
『しかしかわええなぁ!僕もこんな子と付きおうてみたいわ~。ロリイズジャスティスやで!!』
何言ってんだ?とりあえず仲介人はおしゃべりだ。
『こいつとは付き合ってません』
打ち込んですぐに長曽我部先輩からメールが返ってくる。
『そやな、外道君は部の部長と付きおうとんねんな。ほんまずるいわ~、こんなきれいな娘と付き合えるとか』
『それも違います。俺と部長は最近友達になったばかりですよ』
『何なん!?そのドラマティックなシュチュエーションは!僕にも少し分けたってぇな』
『五月蝿いです。それに長曽我部先輩は社会人じゃありませんでしたっけ』
『今から高校生になってもええやん。僕も部活でリア充満喫したいわ』
『ってゆうか何歳なんですか?』
『な・い・しょ』
『気持ち悪いので死んでください』
『相変わらず手厳しいなぁ。新しい自分に目覚めてまいそうや!』
勝手に目覚めとけ。俺は新しく町中で撮った見えそうで見えないパンチラ写真をのっけてメールを出す。
『しかし相変わらず写真上手いね!こんなんどうやって撮るん?』
『教えるわけないでしょう。俺の収入が長曽我部先輩に取られます』
『それもそうやね。それじゃあこの辺でお開きゆうことで』
『今度は金曜日の午後8時で』
『分かったわ、またええの仕入れてな。銀行にお金入れといたから受けとっといてな』
『それじゃあ、さようなら』
俺はパソコンを閉じる。この間、部長に小説を書くと言ってしまったので練習がてら適当に小説を書いてみる。
「R-18確定だな!」
さすがは俺、完璧だ。




