文化祭後
文化祭が終わった後、文芸部員とプラス和音が美術準備室に集まっていた。
「へぇ、和音ちゃんて言うんだ!カワイイね!!妹にしたいよ~!!」
飯塚さんは、和音にでれでれである。
「や、止めるのじゃ!べたべた触ってくるでない!!」
和音は飯塚さんを嫌がっている。
「なぁ和音?」
「なんじゃ、外道?」
飯塚さんから逃れながら和音が返事をする。
「これから暇な時でいいから文芸部に来いよ」
「ほっ、よいのか!?わしはこの学校の生徒ではないぞ?」
「この学校はいつでも見学オッケーだ。だからいつでも来れる」
和音が楽しそうに笑う。
「それでは剣道の稽古の無い日に来ることにしよう!」
「和音ちゃん来てくれるの?うれしぃ!」
飯塚さんが和音に抱き着く。
「は、離せ!恥ずかしいのじゃ・・・」
二人のじゃれ合ってる姿を写メっとく。
「ちなみに稽古のある日はいつだ?」
「月曜と木曜じゃが」
なら週三回くるということか、結構多いな。
「和音ちゃん、一緒に頑張ろうね!」
飯塚さん、いったい何を頑張るっていうんですか?文芸部は何もしない部活ですよ。
「おい、馬骨。お前はあまり来なくていいぞ」
「それはわしのことか!?」
部長はなぜか和音に対抗意識を燃やしていた。
「おい!なかなか楽しそうなことになってるじゃないか」
部室にかつかつとヒールの音を響かせながら五十嵐先生がやってきた。
「どうかしたんですか、五十嵐先生?」
飯塚さんが聞く。
「ああ、三ケ原と滝川が楽しそうにやってると聞いてな。少し気になって来てみたというわけだ」
「まぁそれなりに。それはそうと、先生、俺に友達が二人できましたよ」
「な、なにぃ!!」
そこまで驚くか・・・。
「こんな奴にまで友達ができるとは・・・。世の中、腐ってるんじゃないのか!?」
「自分に彼氏ができないからって世の中にあたらないでください」
「わ、私だって彼氏ぐらいいたさ!」
「いたさ?」
先生が失敗した、という感じで口に手をやる。俺はすかさずに写メる。
「おい、滝川!!渡せ・・・」
どす効かせすぎだろ。俺は、先生に見えるように消去ボタンを押してやる。
「よろしい。今度やったら成績下げるからな」
この先生は屑野郎だな。職権乱用も甚だしい。
「職員室にお前が来た時から気になっていたんだが、その子は誰だ?」
「和音のことですか?おい、挨拶しとけ」
「それもそうじゃの。わしの名は本多和音じゃ、よ、よろしくおねがいします。これからも、この部に遊びにくるつもりでおるのでおじゃります!!」
敬語を使うのには慣れていないようでかなりぎこちない。ていうか敬語ですらなくなっている。
「ああ、よろしく・・・。して、なんで君は鎧を預けに来て帯刀とかしてるんだ?」
先生の質問に対して先ほどまでオドオドしていた和音が熱く語りだす。
「世の中何が起こるか分からぬからのぉ。いつ何時、何が起きても対処できるようにしておかねばならぬ!」
だからって鎧を着て刀を差す必要はないんじゃないのか?
「そういえば和音、どうして足だけは武装してなかったんだ?」
他は重装備だったのに。
「そ、それは・・・」
和音がもじもじする。まぁ写メっておく。
「わ、わしも年頃の女の子じゃ・・・、少しのオシャレはよいであろう!!」
あれがオシャレなのか。だったらお面を先に取れよ。
「滝川、できた友達ってその娘と三ケ原か?」
「ええ、そうですけど」
「飯塚とはならないのか?」
飯塚さんか・・・、別にこれ以上友達を増やす気はない。
「友達にはなりませんね。というかなれません」
「どうして?」
先生ではなく、飯塚さんが聞いてくる。
「俺はリア充の人と仲良くなれる気がしないんです。大体、友情とか壊したくなるし・・・」
「本当に腐っちゃてるんだね・・・。なんだか可哀そうになってきたよ・・・」
同情されても困る。罵ってくれ。
「なら、私との友情はどうなるんだ!?壊したくなってしまうのか!!」
部長が聴いてくる。五月蝿いな。
「分からないな。俺に友達できたの初めてだしな」
部長がしばしためらった後、意を決したように口を開く。
「・・・もしも壊したくなったら、その・・・、先まで進んでいいからっ!!」
何を言ってるんだ?
「部長よ、おぬしも素直じゃないのぉ」
「うるさい馬骨!私のことを部長って呼ぶな!!」
「なんでじゃ?」
和音が首をかしげる。
「そ、それは・・・、外道しか呼んじゃだめ、だから・・・」
「本当に熱いのぉ!!外道、良かったの!」
何が良いのかはよく分からないが、照れた感じの部長を写メっておく。
「とりあえずは良い感じだな。三ケ原もだいぶ変わってきてるようだし」
先生は満足げだ。その姿がジジくさかったので写メっておく。
「とりあえず展示物を片付けて帰りますか」
友達を作ってみたはいいものも大して何も変わらない。何かした方がいいのだろうか?でもまぁ時間はまだまだある、これからでもやっていけばいいだろう。
「そういやあれってどうなったんですか?」
「あれって?」
飯塚さんの絵を壁からはがしながら、飯塚さんに聴く。
「小説ですよ。ほら、部長の書いた」
「あぁ、あれねぇ、私のクラスでアイスクリームとかと一緒に100円で売ったんだけど、20冊ぐらい売れたかな」
100円で20冊か、そこそこだな。
「でも、あの小説そこそこ良かったしな。飯塚さんに挿絵も描いてもらったし」
ちなみに小説の内容は友情ものだ。AさんとBくんがいじめや家庭問題などに直面しながらも、だんだんと仲良くなっていく、というストーリーである。部長は自分と俺を題材にでもしたのだろう。
「これからも口コミとかで売っていこうと思います。100冊印刷してあるのでじゃんじゃん売ってください」
「どんな小説なんじゃ?」
「えーとなぁ、とりあえず読んでみろ。面白いから」
部長の小説はかなり面白い。情景描写も繊細で、ギャグ要素もしっかりとある。一つ難点をあげるとすればグロさが少し足りないところか。
「外道が私の書いたものを誉めてくれている・・・。すごい、すごいぞ!!」
なぜか部長が興奮してるが無視しよう。
「これから部長には小説とか書いてもらう。これからの文芸部の活動はそれに決まりだな」
「なんで私だけなんだ?」
「それじゃあ俺も書いたりしてやるから」
「・・・頼めば大体なんでもやってくれるな、外道」
「断るのが面倒だなだけだ」
俺も部長と出会って変わってきたのかもしれない。人の頼みをまともに聞いてあげるなんて昔の俺からはとても想像のできないことだ。
「部長、ありがとな」
「へっ、な、なんだ?いきなりなんだ!?」
驚いた顔もかわいいな。蹴り殺すぞ。




